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お祭りのあと
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同じマンション内に、祖母がいる。
夏休みの間は毎日そっちへ遊びに行って、ぼーっとした。
お祭りで神輿を担いで歩き回った次の日みたい。
次の日が何日も続いた。
気が付けば学力の確認テストが行われた。
多分ぎりぎりで合格をもらっている。
毎朝走っていた距離をこっちで走ったら、市の境を越える。
東京までだって入れた。
すごい距離感だ。
つむぎは学校に自転車でも通学する届け出を出した。
髪を切り直してさっぱりする。
北海道の一番いい季節の前に帰るなんてあほだな。
8月の半ばに、琉人からそんなテキストが届く。
アルバムには、富良野のラベンダーや、峠の鮮やかな緑とまっすぐな道の写真があった。
負けたくないので、夜景やら夏のイベントやら花火やらいろいろ撮った。
雑踏の写真を撮って、気候の違いが分かるようにもした。
こちらはとにかく朝も夜も暑い。
琉人とはその後も進路の相談を時々やり取りした。
学年が変わる少し前に、寛登から連絡が来た。
「明日、成田に着きます。羽田から夜の便で帰ります。
亀さん元気?成田近かったら会える?」
寛登の穏やかな口調がそのままの文面だった。
近況が聞きたくて会いに出かけてみる。
近所ではなかったけれど。
寛登はヨーロッパで行われる大会について行っていたと話した。
「出場しただけなんだよ。
場慣れってことで」
そう言っていたが、すごいことだ。
一応同級生。
真っ黒なのは雪焼けぽい。
クロスカントリースキーの道具を一式持ちながら空港内を歩いていた。
誰かにお願いして一緒に写真を撮ってもらう。
寛登から、SNSに載せていいか聞かれた。
つむぎも載せるつもりだったので無論OKである。
電車で羽田まで向かうというので一緒に行く。
「俺ね、高校か大学からは内地に来るかもしれない」
電車の中で、迷うな~とゆっくりした口調で言った。
「北海道の方が長く雪の上走れるもんね。
でもこっちの方が教えてくれる人多いし」
相変わらずにこにこしている。
「琉人ね、あれからすっごく勉強頑張ってるんだ。
お姉さんの受験が終わるまで塾には行かせてもらえないんだけど。
勉強系のYouTubeたくさん見てるのさ。
亀さんが教えてたんでしょ?琉人一生懸命吸収してる」
「遠藤くん超えた?」
「それはまだ。だけど林太郎も焦ってるよ」
すごいなあ。
教えた当人は大した成績ではないが。
つむぎの成績で、英語は、すごく伸びた。
将来使いたいので、すごく勉強した。
「もしかしたら、近いうちにこっちでみんなと会うかもね。
したらその時はまたなんかやれるといいね」
寛登は別れ際にそう言った。
つむぎは大きく何度もうなずいて、友達を見送った。
そうなれ、と念じながら。
夏休みの間は毎日そっちへ遊びに行って、ぼーっとした。
お祭りで神輿を担いで歩き回った次の日みたい。
次の日が何日も続いた。
気が付けば学力の確認テストが行われた。
多分ぎりぎりで合格をもらっている。
毎朝走っていた距離をこっちで走ったら、市の境を越える。
東京までだって入れた。
すごい距離感だ。
つむぎは学校に自転車でも通学する届け出を出した。
髪を切り直してさっぱりする。
北海道の一番いい季節の前に帰るなんてあほだな。
8月の半ばに、琉人からそんなテキストが届く。
アルバムには、富良野のラベンダーや、峠の鮮やかな緑とまっすぐな道の写真があった。
負けたくないので、夜景やら夏のイベントやら花火やらいろいろ撮った。
雑踏の写真を撮って、気候の違いが分かるようにもした。
こちらはとにかく朝も夜も暑い。
琉人とはその後も進路の相談を時々やり取りした。
学年が変わる少し前に、寛登から連絡が来た。
「明日、成田に着きます。羽田から夜の便で帰ります。
亀さん元気?成田近かったら会える?」
寛登の穏やかな口調がそのままの文面だった。
近況が聞きたくて会いに出かけてみる。
近所ではなかったけれど。
寛登はヨーロッパで行われる大会について行っていたと話した。
「出場しただけなんだよ。
場慣れってことで」
そう言っていたが、すごいことだ。
一応同級生。
真っ黒なのは雪焼けぽい。
クロスカントリースキーの道具を一式持ちながら空港内を歩いていた。
誰かにお願いして一緒に写真を撮ってもらう。
寛登から、SNSに載せていいか聞かれた。
つむぎも載せるつもりだったので無論OKである。
電車で羽田まで向かうというので一緒に行く。
「俺ね、高校か大学からは内地に来るかもしれない」
電車の中で、迷うな~とゆっくりした口調で言った。
「北海道の方が長く雪の上走れるもんね。
でもこっちの方が教えてくれる人多いし」
相変わらずにこにこしている。
「琉人ね、あれからすっごく勉強頑張ってるんだ。
お姉さんの受験が終わるまで塾には行かせてもらえないんだけど。
勉強系のYouTubeたくさん見てるのさ。
亀さんが教えてたんでしょ?琉人一生懸命吸収してる」
「遠藤くん超えた?」
「それはまだ。だけど林太郎も焦ってるよ」
すごいなあ。
教えた当人は大した成績ではないが。
つむぎの成績で、英語は、すごく伸びた。
将来使いたいので、すごく勉強した。
「もしかしたら、近いうちにこっちでみんなと会うかもね。
したらその時はまたなんかやれるといいね」
寛登は別れ際にそう言った。
つむぎは大きく何度もうなずいて、友達を見送った。
そうなれ、と念じながら。
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