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悲しい告白 【1】
しおりを挟むあ……冷たい。でも、思ってたよりも柔らかいな。
初めて知る、人の唇の温度と感触。
ちょんっと触れ合わせてみたけれど、自分がしていることが怖くなって、すぐに離れる。
鼓動が、一気に跳ね上がった。ドクドクと波打つその音で耳がおかしくなるほどに。
「先輩っ」
湧き上がる感情は、その名前を呼ぶことでしか表現できない。
「……ん……真南?」
――びくんっ
「どうした? あれ……眼鏡、かけてる?」
「あっ! こ、これは、ほんのいたずら心でっ」
うわ、どうしよう。こっそり先輩の眼鏡をかけてるとか、絶対、引かれた。気持ち悪いって!
慌てて外してサイドボードに戻したけど、もう遅い。どうしよう。どう……。
「なぁ。お前、泣いてんのか?」
「え? うわっ!」
え? え? 何? 何が起きてる?
『来いよ』と聞こえた時には、手首が掴まれていた。
「お前に、泣き顔は似合わない」
ベッドに引き倒されたんだ。すかさず、先輩の身体に押しつけるように抱え込まれる。
頬を濡らす涙も、指先で拭ってくれた。
「何があった? どんな悲しいこと? 言ってみろ。俺に出来ることなら何でもしてやる」
「……っ」
『何でもしてやる』
千葉先輩のこの言葉が、一瞬で脳内を占領した。
何でも? 本当に?
俺の脳裏に、別の俺が囁きかけてくる。言ってしまえ、と。今がチャンスだ、と。
『この機会を逃すな』と。
「……本当、ですか? 本当に、“何でも”してくれる?」
「うん? あぁ、お前に嘘はつかない」
「先輩。俺もね? ずーっと好きな人がいるんですよ」
「え?」
「でもね、片想いなんです。この想いは絶対に叶わない。だから――」
低く呟きながら、体勢を変える。
「……っ! 真南? 何をっ……」
先輩の腹の上に、跨がった。
「先輩を慰めてあげるから……俺のことも、慰めて?」
「何、言っ……んっ」
そのまま倒れ込んで、唇を重ねた。強引に。
もう引き返せない。自分がやってることが怖くて手が震える。
けど、キスは続ける。
何も言わせない。拒絶の言葉を封じるように。
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