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第二章
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しおりを挟む「ひーちゃんっ」
「何?」
「あのさ、来月の試合、応援に来てくれるんだって?」
どうして、ここにいることがわかったのか。放課後、図書室で勉強してると、ジャージ姿の後輩が現れた。ニコニコと上機嫌だ。
「行かないよ」
「え? 俺、バレー部の女子から聞いたよ。ひーちゃんが練習試合の応援に行くって約束してくれたって」
「確かに、女バレの後輩とは約束したけど、男子の試合までは観ないわよ。私だって忙しいんだから」
「えー? じゃあ午前で帰っちゃうってこと? 午後までいてよ。俺に声援、送ってよ。俺、めっちゃ頑張るからさ。ねっ? いいだろ? この通り、お願いしまーす」
もう、しつこいなぁ。
カウンター席の隣にちゃっかりと居座った相手が下げた頭を見ながら、かける言葉を探す。一言、「しつっこい」と言ってやってもいいんだけど……。
「応援してほしいってことは、凪、スタメンで出るってこと?」
「うんっ。初めてのスタメンなんだよ。だから、ひーちゃんに観てもらいたくて!」
「静かに。ここ、図書室」
「あ、ごめん」
「試合の件は考えとくから、出てってくれる? あんた、勉強の邪魔」
「ごめん。すぐ出てくよ。でも、試合は絶対に観にきてほしいんだ。前向きに検討してね。絶対だよ?」
凪ってば、絶対、を二回も言った。
名残惜しげに振り返りつつ出ていった子の残した『絶対』を、気づけば私も反芻していた。
「ふーん。スタメン、ね。練習試合とはいえ、一年でリベロのスタメンを勝ち取るなんて、頑張ったじゃん」
祥徳学園の男子バレー部は、地区では強いほうだ。はっきり言って身長に恵まれてない凪じゃレギュラーは厳しいと思ってたけど、すごく頑張ったじゃん。
「なら、応援に行ってあげてもいい、かな」
それで、もしも勝ったら、褒めてあげてもいいかもしれない。
頑張ったね、いっぱい努力してたもんね、良かったねって褒めちぎって、ねぎらってあげたいな。
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