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第三章
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しおりを挟むどうしよう。
「どうしよう。好きかもしんない」
私、凪のこと、好きかもしれない。ううん、きっと好き。
いつから? 嘘でしょ? って自問自答&自分ツッコミを何回もしたけど、この気持ちは勘違いじゃないと思う。
本気の恋、だと思う。
だって、こんなにドキドキしてる。
凪の顔を思い浮かべるだけで、しっかりバッチリ、ドキドキしちゃってる。
どうしよう。どうしよう。どうしようっ。
「好き」
凪が、好き。
「でも……」
凪への気持ちを自覚できたのはいいけど、前途多難なのよ。だって、あの子……。
「めっちゃ! モテてる! 女子にめっちゃモテてる!」
知らなかった。麻生凪って、女子にすごく人気がある子だったんだ。
見かけたのは偶然。お昼休み、バスケ部の一年生に用があるという鮎佳に付き合って、一緒に一年のクラスを覗いた。そうしたら、すごく楽しそうにキャッキャしてる女子の集団がいて、ついつい目をやったら、その中心に凪がいた。
ものすごい衝撃だった。
「……ちっちゃくて可愛かった」
凪の席を囲んでた子たちは、皆、可愛かった。大女でガサツな私とは正反対。
ふわふわ系の華奢な『おんなのこ』たちの真ん中で笑ってた凪はとても眩しくて……すごく遠くに感じてしまったから、私はそこから逃げ出した。
凪、いるかなー。私が突然クラスに顔出したらびっくりするかなーってサプライズ気分でウキウキしてたのが一気に急降下した。そのまま、帰宅した今もずっと気持ちが沈んだままだ。
私は勝手だ。今まで散々あの子に素っ気なくしておいて、自分が知らなかった凪の姿にショックを受けてる。
でも、恋を自覚した途端に、その相手が超モテ男子だった現実を突きつけられたんだもん。いくら能天気な私でも落ち込む。
あの子より二つも年上の私は、あと半年もしないうちに卒業するんだから、はっきりと見えてる別れの日を思って立ち竦んでしまう。
それに、ずっと気になってることもある。
人生初のプロポーズ以来、九年。凪は飽きもせずに私に『好き好き』と言ってくるけど、年々、彼が口にする『好き』が変わってきてる。『好き』に込められた熱が減ってる気がする。
気のせいじゃなく、単なる挨拶のような……ただの恒例行事で言ってるだけのような、軽薄さ。
そんな気配を察知してしまってるから、ごく軽く口にされる『今日も好きだよー』に、私は素っ気ない態度しか取れない。
彼に恋してるって気づいた今は、せめて弟扱いくらいは終わらせたいって思うんだけど……。
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