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拒絶
しおりを挟む「断る」
「え?」
冷え冷えとした声色が、静かに響く。
「お断りだって言ったんだよ」
美しい翆緑の瞳に浮かんでるのは、僕を突き刺す硬質な光だ。
「盗賊対策のための護衛なんて要らない。そもそも、うちに盗まれて困る物なんかないし」
うん。こんな風に迷惑がられることは、わかってた。
「なんで護衛を断るの? 相手は、ひとり暮らしの美女ばかりを狙ってる危険な盗賊なんだよ? つまり、次に狙われるのはファナかもしれない。いや、ファナに決まってる!」
だから、そんなのに怯んでられない。ここは、説得あるのみ!
「その決めつけの理由を知りたいけど時間の無駄だから、やめとくよ。とにかく、うちに泊まり込んで護衛したい、なんて要望は却下」
「じゃあ、じゃあ! 家の外は? 庭とかテラスとか、扉一枚隔てた所なら、居てもいい?」
頑張れ、僕。なんとか食い下がって許可を得るんだ!
「シン……良い機会だから言っておくよ。あたしにとって、あんたは『ただの客』。それ以上になることはないよ。だから、自宅にあんたを入れる気はないし、私的な時間に傍に居られるのも迷惑でしかない」
「そんなぁ」
「この線引きを守れないなら、店への出入りも禁止するけど?」
出入り禁止? そ、それは……困る……。
「うっ……わ、わかり、まし、たぁ」
せっとく、しっぱい。
うああぁっ! 拒絶されるだろうことは想像に難くなかったけど、ここまで厭わしげな表情で見られるとは、思ってもみなかった。
どうしよう。常に前向き思考の僕だけど、さすがに落ち込む。これは、落ち込むよぉ……。
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