百戦錬磨のバードは美味なる籠絡に首ったけ!

冴月希衣@商業BL販売中

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恋の作法 【3】

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 愛する人のくれた思いがけない告白が、孤独と寂寥に彩られていた夜を甘やかな至福に変えていく。

 ドクドクと、うるさいくらいに鼓動が波打ってる。嬉しさで胸がはちきれそう。

 『美点だらけのシン』だって。何それ。照れくさすぎて身悶えちゃうっ。

 あー、でも困ったな。いくら嬉しくても、ここで『ありがとう!』なんて、ババーンっと登場するわけにいかないよ。立ち聞きならぬ、茂みで隠れ聞き、なんだから。

 でもでも、ファナの顔を見るくらいならいいよね?

 どんな表情で僕のことを語ってくれてるのか、その様子をチラ見するくらいなら許されるはずー。よし、ちょっと覗いて……。

「……あ、あれ? 居ない。ファナ、どこ?」

 日干し煉瓦の壁に手を添えて伸び上がり、窓からそうっと覗き見た部屋には誰も居なかった。

 明かりを灯していないそこには、満月が清澄な光を届けているだけで、艶めいた掠れ声を持つ僕の恋人(もう決定!)の姿は見当たらない。

「どこ行ったの? まさか、出かけ……」


――ガシャーンッ!

「……っ! ファナっ?」


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