14 / 68
3
ありがとう #1
しおりを挟む「よっ、お帰りー」
「ぎゃあぁっ!」
おおぉ、すげぇ叫び声。
自動改札機を通って出てきた初琉に駆け寄り、肩を抱いて顔を覗き込んだ途端の叫び声。俺は予想してたからいいけど、お前、バッチリと注目浴びてるぞ?
近鉄・橿原神宮前駅――――初琉の利用する最寄り駅の改札口に立つこと、三十分。
本当に聞かされてた通りの時刻に出てきたから、ちょっと笑ってしまった。寄り道なしの真面目かよ。
けど、姿を見つけて軽く手を挙げた俺は完全スルーされて。気づけば、初琉の背中を間抜けな顔で見送っていた。挙手したまま。
待て待て待て。お前、どんだけ前しか見てねぇんだよ。
悔しいから、驚かせるついでに ぴったりと密着してやった。
……ら、叫ばれた。俺は、不審者か。
「なっ、なんで? なんで、零央がこんなとこにおるん?」
「んー? お姫さまのお迎えに決まってんじゃん。夜道の一人歩きは、危ないぞ? 俺、姫専属ボディーガード」
「お迎えって! お、おひっ、おひひひっ?」
ふっ、何も言えてねぇ。アワアワしすぎだろ。つーか、肩抱かれてんだぞ。俺に。気づけよ、いい加減。無防備も可愛いな。
初琉を待ってる間、無駄に俺の周囲をウロウロする女子学生たちを気づかないふりで無視したり、こっそり盗み撮りされるのを黙認してた甲斐があったな。
「というか夜道ちゃうし、まだ夕方やし。心配いらん……あっ、ちょっと! この手は何? いつまでくっついてるん。離れてよっ」
お、気づいた。しかも結構な力で、叩きやがった。
でも、顔だけじゃなく首まで真っ赤だぞ。俺にそんな表情見せて、どうするつもりなんだ? 可愛すぎんだろ。
「んだよ、つれないなー。俺のお姫さまは」
「そ、それっ。おひっ……とか。お、俺の、とか。何、言うてんのっ?」
「合ってるだろ? 別に、いいじゃん」
榊教授には悪いが。俺は、俺なりの接し方でいくことにした。
初めて本気の恋愛感情を抱いた相手が、こんなにすぐ傍にいる。ジメジメと密かに想い続けるなんて、俺の性に合わない。
けど、これでも、ちゃんと一線は引いてるんだ。教授から、くれぐれもと念押しされた通り。『好きだ』という言葉だけは、口に出してない。
だから、これは約束を破ったことにはなってない。
ギリギリセーフ。許容範囲内。の、はずだ。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる