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宣言 #4
しおりを挟む十束が言う、『覚悟』がどれくらいの重みと範囲を指しているのか。
いまだ詳細を知らされていない俺には完全には理解出来ていないし、窺い知る事情で見当をつけて推し量ることしか出来ない。
が、これだけは確実に言えること。自信を持っていることだけは、先に伝えておかなければと、口を開いた。
「俺は、初琉が好きだ」
「……っ」
目を見開いた十束に、畳みかけるように言葉を繋いでいく。
「だから、初琉の全てを受け止める」
目は、逸らさない。
「例え、初琉が俺に何も預けようとしなくても。アイツが抱えてる重み全てを。涙も、思いも、過去も、時間も、未来も」
真っ直ぐ、揺るぎない信念を、宣言するように。
「初琉が生きて、感じている現在の丸ごとを――――その全てを、俺が受け止めてみせる」
――サァッ
秋風が、背後から全身を撫でて吹き抜けていく。俺の正面に立つ十束の白衣が、強くたなびいた。
風をやり過ごした後、髪をかき上げながら俺に目線が戻ってくる。
「君。今の熱弁は、言う相手を間違えてませんか?」
少しの沈黙の後、無表情で言葉が紡がれた。
「おまっ……お前が聞くから、言ったんだろうが! てゆうか、お前への告白じゃねぇっ!」
ふざけんな!
「けど、悪くない」
「あ?」
「ここまで恥ずかしいことを堂々と宣言出来る人間は、嫌いじゃない……ふっ」
口元に笑みが浮かんで、眼鏡越しに流し見られた。
「だから、お前が言わせたんじゃねぇかっ!」
叫ぶ俺に軽く笑って、先に戻ろうとする後ろ姿を「待て」と追いかければ。
「僕と同じことを考えるヤツ、他にも居たんだな……はーちゃん、良かったね」
小さな呟きが、風に乗って届いてきた。
これは、聞こえなかったふりをして黙って後ろに続く。心持ち、歩くスピードを緩めて白衣との間に距離を取った。
振り仰いだ夜空の中天には、下弦の月。その周囲、一面に点在する星々も、菫色の空で白銀の瞬きを見せている。
星空に特に思い入れのない俺でさえ、どこか感傷的な気分にさせられる清澄な佳景だ。
「……美しいな。アイツが回復したら、乙女のロマン溢れる星空観察、またつき合ってやるか」
この秋の星月夜の光景は、二度と忘れられない、記憶に残るものとなった。
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