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試される覚悟 #3
しおりを挟むおいおい、お前わかってんのか? 俺が自制してるから、この程度の触れ合いで済んでるんだぞ?
幼稚園児のままごとだぞ、これ。中学生でも、もう少し進んでるんだからな?
だから、早く離れてくれ。
ほぼ限界に近い状態で、懇願を込めて見つめた。そこに、おずおずと顔を上げた初琉の目元に息を飲む。
ぱっちりと大きな瞳に浮かんでいたのは、まるで俺にすがるような、色を含んだ光。
駄目だ、離せない!
せっかく緩めた腕に、力がこもった。思いっきり抱きしめてしまう。
「れっ、零央?」
抱き潰す勢いの俺に驚いた初琉の声に、かろうじて理性を取り戻す。
「はあぁ……」
やべぇ。やばかった。
深く長い息をついて心を落ち着かせて、ようやく身体を離すことが出来た。だが、名残惜しすぎる。
「腹へったー! 鍋!」
「は?」
「み、ぞ、れ、な、べ!」
こうなったら、食欲で誤魔化すしかねぇ。
「……はいはい、わかりましたー。その代わり手伝ってよ?」
腹が減って待ちきれない風を装って玄関へと促した俺に、仕方ないなとでもいう表情が見上げてきた。
「りょうかーい、お母はん」
それに、敬礼のポーズをとって、おどけて見せる。
「誰がお母はんやねん! あんたみたいな生意気な子、産んだ覚えないわっ!」
「あっははははは!」
そうそう、その調子だ。そんな風に突っ込みを入れてくれてるうちは、俺も自制心が働くんだからな。
もう少しの間、無意識に煽ってくるのは控えといてもらわねぇと、俺も色々とマズい。そう、もう少し――。
しかし、どうしたもんか……。
初琉との触れ合いが濃厚なものになっていることに満足している反面、今はもうひとつの問題が俺に重くのしかかってきている。
ここでの滞在期間が残り僅かになってきているということ、だ。
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