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終
からくれないに、色づいて #11
しおりを挟む「え? からくれ……それ、何?」
「唐紅。色の名称だ。紅色よりも濃い赤のことだよ」
「や、うん。それはわかるけど……でも、その赤色が今の話と何の関係があるん?」
「ここに、息づいてるだろ? それが」
チュッと音を立てて、手首に口づけた。
「えー? もしかして……血液のことを言うてるん?」
「あからさまに情緒ねぇワードを使うんじゃねーよ。それに、単なる色の話だけじゃないぞ」
唇を押し当てたまま、続ける。
「無事に、何事もなく一日を終えられること。それを、ここに脈打つ熱を感じながら確認して、明日も同じようにと願う。『特に意味はない』なんて言ってたけど、本当は、お前にとってすごく意味のあることなんだろ?」
「……っ」
「だから、『からくれない』だ。俺にとってのからくれないは、お前を形作る全てだ。丸ごと、お前自身のイメージなんだから」
「イメージ?」
「温かく、鮮やかで、艶めいていて激しい――――お前の“生命の色”そのもの。お前を見る度、触れる度。ずっと、そう感じてたよ。なんて綺麗なんだろう、って」
「あ……ふふっ。何、言うてんの?」
俺の言葉に振り向き、目を見開いていた初琉が、不意に笑み崩れた。
「今のそれ、零央のことやん。その言葉、そっくりそのままお返しするわ」
「あ?」
「鮮やかに激しく、艶やかな、とっても温かいひと。こんなに綺麗な男の人、見たことないって、ずっと思ってたんは私のほうなんやけど?」
「何だ、それ。じゃあ俺ら、似たもの夫婦になれるな」
「ふふっ。かなーりイタいけどね」
「ははっ! 違いない。てゆうかさ、やっぱお前のほうが綺麗な色してるよ。絶対」
「え? あ……」
「ここが恥ずかしげに染まれば、控えめな朱色」
髪に指を差し込み、滑らかな頬に口づける。
「ここは常に俺を誘ってやまない、艶めく緋色」
そのまま下に滑らせ、唇をついばむ。
「零央……」
俺の名をあえかに呼んだ初琉と唇を合わせながら微笑み合い、もっと奥にある熱を求めて、自然と口づけが深まっていく。
「この熱が、焦げつくような――――からくれない」
舌を絡ませ、擦れ合わせ、熱を交換しあって、たぎる想いを確認しあう。
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