同居人は王子様。

mnkn

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はじめまして、王子様。

#6

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何で俺はここにいるんだ。
俺はさっき、城の部屋から飛び出した。直後にこの女に出会った。その後、頭痛で気を失って....
まさか俺、この小せえ女に誘拐された?
そうか、誘拐か....。まあ、悪くはないか。どっちにしろあの城から飛び出そうとしていたところだ。条件次第では、上手く利用しない手はない。
それにしても、ここはどこだ...?


何でこの男はここにいるの?
ていうかどうやって入ってきた?
今朝夢で見た格好と同じような、高級そうなスーツに身を纏っている。
あの夢は現実だった?いや、そんなわけないよね。
いや、ていうか、不法侵入以外の何者でもないよね。




「「あの、」」
2人の声が重なった。


「あ、すまない」
先に謝ったのは、男のほうだった。
「な、何ですか?」
そう言われて、男はあおいのほうにきちんと姿勢を正して向き合った。

「お前は敵国のスパイか?」
「........は」
想像の斜め上を行っているセリフに、あおいは目をパチクリさせた。
返事をしないあおいを見て、目の前の男は饒舌に喋り始めた。
「図星だな?....まあいい。俺はあの国から逃げ出したかったんだ。お前は俺を誘拐したことで手柄になる。俺はあの家から逃げ出せる。だから俺らはwin-winってやつで、」
「あの、ちょ、ちょっと待って」
慌てて制止するあおい。
「あんた、自分から人の家に勝手に忍び込んどいて何言ってんのよ!!!だいたい、スパイって何?敵国?意味わかんないだけど!!!そんなことより、人の家ではまずその革靴を脱ぎなさい!!!!」

ふぅ。つい早口で捲し立てて喋ってしまった。
大声で叫んだあおいに、どうやら目の前の男は狼狽えている。
「....は?忍び込む?家?ここ、お前の家なのか?」
男は、目を丸くして呟いた。
「....うちのトイレより狭いな。犬小屋かと思った。」
「はっ...?あんた何言ってんの?意味わかんないんだけど!」

...何も返事がない。
そう思ってたのは束の間、少し間をおいて突然笑い始めた目の前の男。
「なっ...なによ」
「...いや、何かよく分かんねえけど、こんなに俺に生意気な態度をとる庶民は初めてだ」

男はスクッと立ち上がって、あおいの顔を覗き込んだ。綺麗な顔が、至近距離に迫ってくる。
「お前、気に入った。スパイだろうが庶民だろうが何だって構わない。」
「...だから、スパイって、」違うってば、そう言おうとしたあおいの口に、そっと男は人差し指を突き立てて制止した。

「俺のこと、誘拐してくれよ」

怪しげな雰囲気を醸し出しながら、目の前でクツクツと笑う男。

だ、だから、何なんだこのおとこ~~~!!!!!
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