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何かが変わる予感。
#20
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メッセージは既読になった。
でも、返事は1時間経っても返ってこない。
どうしよう。そう考えていたあおいの携帯に一件の電話が入った。
名前を確認して、あおいは慌てて電話に出た。
「もしもし、あの」
『あおいちゃん、大丈夫だった?』
電話の向こうから、目黒は心配そうにあおいに声をかける。
あおいの張り詰めていた心が、優しい目黒の声でホッと和らいだ。
「大丈夫じゃなさそうです.....でも、お気になさらないでください。ご心配おかけしてすみません」
『いや....俺こそ、ごめんね。あおいちゃんに彼氏がいるって知らずに軽率なことして....』
いや、ちょっとまって。
彼氏?
その言葉にあおいはぴくりと反応し、勢いよく言い放った。
「あ、あの。こいつは彼氏なんかじゃないです!!」
『え?うそ、さっき彼氏って言った時否定しなかった....』
そう言われて記憶を遡ってみるが、あおいはその言葉を覚えていなかった。
「彼氏だなんて言ってましたか...?すみません、気が動転しちゃって...」
2人の間に沈黙が流れる。どうしよう。とあおいが思っていた時だった。
『....じゃああおいちゃんってさ、彼氏がいないって解釈してもいいのかな?』
「え、あの....」
それって、どういう意味ですか?もしかして、もしかすると私がフリーか確認してますよね?
と、心の中で自問自答するあおい。
「い、いないです....」
その答えに、目黒は電話越しで微笑んだ。
『....そっか、良いこと聞いたかも』
「え、いま何か言いました?」
『ん?ううん。なーんにも』
「と、とにかく、昨日の電話の男は彼氏なんかじゃないです。あ、あれです!田舎から来た弟でして、恋愛対象とか、あり得ないですから!!!」
蓮井の姐さんもそう言って誤魔化せたし、いけるはず!
なんて思いからその言葉を口走った時、コンコンと壁を軽く叩く音が聞こえた。
その音に振り返ると、
「レオン.....!!!!!」
壁にもたれかかって、高身長の男が立っていた。
でも違う。
いつものレオンじゃない。
こんなに鋭い目をした男を見るのは、初めて夢の中で出会ったあの時くらいしか.....
そう思考を巡らせていた時だった。
ズンズンとレオンがあおいに向かってきて、携帯を取り上げて通話をブチ切った。
「ちょ、レオ
___その瞬間だった
抗議の声をあげようとしたあおいの唇に、レオンは自らの唇を激しく押し付けた。
肩を掴む力はあり得ないほど強く、ジリジリと食い込んで痛い。
「っ.....やめてよ!!!!!」
なんとか必死の思いでレオンの胸を押し返し、あおいは自身の呼吸を整えた。
途端にぽろぽろと涙が溢れてくる,。
「さいっあく!!!!!」
あおいはその場を逃げ出したい一心でトイレに閉じこもった。
....なんで、こんなことを。
あおいは、ぽろぽろと泣きながら必死に口を擦るしか出来なかった。
「.....お前が悪いんだ.....俺を侮辱しやがって......」
レオンはドンッ、と思いっきり拳でリビングの壁を殴った。
一晩で頭を冷やして、あおいからのメッセージを見て、勝手に家を飛び出した俺も悪かったなと思って帰ってきた。
しかし、帰ってきた瞬間に見たものは、俺の存在に気づかず、頬を赤く染めて電話をするあおいの姿。
昨日の男.....俺のことか?
弟....?恋愛対象じゃない.......?
もしかして、昨日一夜を共にした男との電話なのか....?
そう考えた途端、レオンは気づけばあおいの唇を奪っていた。
荒々しい口づけ。
それは、腹が立ったから。侮辱されたから。否定されたのが癪に障るから。
......ただ、それだけの話だ。
別に、それ以上の深い意味なんて、あるわけがない。
何処からか、何故か、湧いてくる苛立ちを抑えきれないレオンは、左手に握っていたスマホを床に叩きつけた。
でも、返事は1時間経っても返ってこない。
どうしよう。そう考えていたあおいの携帯に一件の電話が入った。
名前を確認して、あおいは慌てて電話に出た。
「もしもし、あの」
『あおいちゃん、大丈夫だった?』
電話の向こうから、目黒は心配そうにあおいに声をかける。
あおいの張り詰めていた心が、優しい目黒の声でホッと和らいだ。
「大丈夫じゃなさそうです.....でも、お気になさらないでください。ご心配おかけしてすみません」
『いや....俺こそ、ごめんね。あおいちゃんに彼氏がいるって知らずに軽率なことして....』
いや、ちょっとまって。
彼氏?
その言葉にあおいはぴくりと反応し、勢いよく言い放った。
「あ、あの。こいつは彼氏なんかじゃないです!!」
『え?うそ、さっき彼氏って言った時否定しなかった....』
そう言われて記憶を遡ってみるが、あおいはその言葉を覚えていなかった。
「彼氏だなんて言ってましたか...?すみません、気が動転しちゃって...」
2人の間に沈黙が流れる。どうしよう。とあおいが思っていた時だった。
『....じゃああおいちゃんってさ、彼氏がいないって解釈してもいいのかな?』
「え、あの....」
それって、どういう意味ですか?もしかして、もしかすると私がフリーか確認してますよね?
と、心の中で自問自答するあおい。
「い、いないです....」
その答えに、目黒は電話越しで微笑んだ。
『....そっか、良いこと聞いたかも』
「え、いま何か言いました?」
『ん?ううん。なーんにも』
「と、とにかく、昨日の電話の男は彼氏なんかじゃないです。あ、あれです!田舎から来た弟でして、恋愛対象とか、あり得ないですから!!!」
蓮井の姐さんもそう言って誤魔化せたし、いけるはず!
なんて思いからその言葉を口走った時、コンコンと壁を軽く叩く音が聞こえた。
その音に振り返ると、
「レオン.....!!!!!」
壁にもたれかかって、高身長の男が立っていた。
でも違う。
いつものレオンじゃない。
こんなに鋭い目をした男を見るのは、初めて夢の中で出会ったあの時くらいしか.....
そう思考を巡らせていた時だった。
ズンズンとレオンがあおいに向かってきて、携帯を取り上げて通話をブチ切った。
「ちょ、レオ
___その瞬間だった
抗議の声をあげようとしたあおいの唇に、レオンは自らの唇を激しく押し付けた。
肩を掴む力はあり得ないほど強く、ジリジリと食い込んで痛い。
「っ.....やめてよ!!!!!」
なんとか必死の思いでレオンの胸を押し返し、あおいは自身の呼吸を整えた。
途端にぽろぽろと涙が溢れてくる,。
「さいっあく!!!!!」
あおいはその場を逃げ出したい一心でトイレに閉じこもった。
....なんで、こんなことを。
あおいは、ぽろぽろと泣きながら必死に口を擦るしか出来なかった。
「.....お前が悪いんだ.....俺を侮辱しやがって......」
レオンはドンッ、と思いっきり拳でリビングの壁を殴った。
一晩で頭を冷やして、あおいからのメッセージを見て、勝手に家を飛び出した俺も悪かったなと思って帰ってきた。
しかし、帰ってきた瞬間に見たものは、俺の存在に気づかず、頬を赤く染めて電話をするあおいの姿。
昨日の男.....俺のことか?
弟....?恋愛対象じゃない.......?
もしかして、昨日一夜を共にした男との電話なのか....?
そう考えた途端、レオンは気づけばあおいの唇を奪っていた。
荒々しい口づけ。
それは、腹が立ったから。侮辱されたから。否定されたのが癪に障るから。
......ただ、それだけの話だ。
別に、それ以上の深い意味なんて、あるわけがない。
何処からか、何故か、湧いてくる苛立ちを抑えきれないレオンは、左手に握っていたスマホを床に叩きつけた。
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