正反対の恋人

4.自己紹介

ガラガラとドアを開ける。
時計は校門をくぐってから二時間後を指していた。
予定ではあと一時間くらいで帰れると樹が思っていると前からプリントが回ってきた。
前の人に、
「このプリントって何に使うの？」
と聞いたら、
「これから自己紹介するからそのときに使うプリントだってさ。」
と返された。
樹はプリントを後ろへ回しながら自己紹介の内容を埋めていく。
書く内容は…
・好きな事
・得意な教科
・入ろうと思っている部活
…の３つだった。
樹は無事にプリントを書き終え、念のため見直した。
ちょうど見直しが終わった時、先生の口が開いた。
「皆書き終わったか？そろそろ自己紹介を始めるぞ。」
先生はざわつく生徒達に静かにするように注意し、
「順番はそうだな…先生から始まって出席番号順にしよう。」
先生は自己紹介の順番を伝えてから自己紹介を始めた。
「先生の名前は　秋葉　哲也　といいます。好きな事は読書で得意教科は国語だ。これから一年間よろしくな。」
樹は先生の自己紹介を聞き、自分が自己紹介をしている姿を創造していた。

少し時間がたち、樹の番になった。
樹はガタッと椅子から立ち上がり、教卓の前に立つと紙を広げ、緊張しながらも自分が書いた内容をスラスラと読んでいった。
「僕の名前は　若草　樹　です。好きな事は植物を観察したり、育てることです。得意な教科は理科で自然科学部に入ろうと思っています。これからよろしくお願いします。」
そう言い終わり、ペコリとお辞儀をして自分の席に戻っていった。
やっぱり人の前にたつと疲れるなと樹が考えていると、ガタタンッと椅子が大きな音をたてていて、樹はいまいち状況がわからずにいると、前に雪乃が出てきた。
人の感情に鈍感な樹でも分かるほど、明らかに緊張しているようだったが、雪乃は深呼吸をし、自己紹介を始めた。
「私の名前は　羽柴　雪乃　です。好きな事は…走ることで…、えっと…陸上競技部に入ろうと思ってます。これからよろしくお願いします。」
樹は自分のことを一所懸命伝えようとしている雪乃をみて、笑ってしまいそうになったが、ここで笑ってしまったらきっと雪乃を傷つけてしまうと思いこらえていた。