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しおりを挟む「やあ、昨日ぶりだね」
うっすらと微笑みを添えて、「昨日ぶりだね」なんて皮肉をおっしゃるスタンリー様。
そんなに私の顔を見たくないのなら、今すぐ婚約破棄してくれ。
「お忙しい所をお邪魔して申し訳ありません」
「謝る事ないよアデリナ。オレ達は夫婦になるのだから」
吐きそう…帰りたいよ…。
がくがく震える手を必死で抑える。
それにしてもここ、スタンリー様の自室?
なぜ??客間で構わないのだけど…。
重厚な家具に絢爛豪華だけど下品じゃないベッド…さすがの公爵邸。今、座っているソファも恐ろしく座り心地が良いわ。
「…そのお話なのですが…昨日はあまりに驚いてしまいお返事が出来なかったもので…」
「返事?返事なら分かりましたと言っていたよね?」
長い足を組み直し、心底不思議そうな顔をするスタンリー様。
どんな顔をしてもイケメンですこと。
「…正直申し上げますと、昨日は婚約破棄をされると覚悟しておりました」
「へぇ」
「ですから分かりましたと素直に応じようと思ったのです」
「酷いなアデリナ。なぜオレが婚約破棄など…悲しいよ」
全く悲しい顔なんてしてない。なんなら鼻で笑われた気がする。
「まあ…色々考えていたものね。どうすればオレとの婚約を円満に解消できるのか」
「なっ」
「ふふっ、その可愛い小さな頭で一生懸命ね」
今、完全に馬鹿にしたよね?この人。
「だけど聖女試験を受けようとしていたのは、震撼モノだったよ。さすがのオレも神殿には手を出しづらい」
スタンリー様も震え上がることがあるのね。
仕方ないじゃない。最悪聖女にでもなって、神殿に入るしか道はないと思っていたのだから。
聖女と言っても何か秘めた力があるとかじゃなく、志願者はだいたい聖女になれちゃうんだよね。
その代わりめちゃくちゃ厳しい修行に耐えなければいけないみたいだけど…例えば、聖女見習いは修行中の3年間は誰であろうと結婚出来ない…とかね。
そんな事より…。
「なぜそれを…」
「君が雇っている情報屋の今の雇い主はオレだ」
何て事ないように話すスタンリー様の言葉に、頭をエグられたような衝撃を覚える。
「…もお…驚きすぎて動機が止まりません…」
「それは良くない。ベッドで休んでいくかい?」
眉なんか寄せて心配そうにするな。
「結構です…それでは…カミラ様との事はどうなんです?」
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