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お弁当を食べよう
しおりを挟むていうかここは外!!
しかもアティカスやアーネラ様もいるのに!!
恥ずかしいっ!と急いで二人の方を見る。
…うん、いまだに湖の近くで二人の世界を作ってるな。躓いたらしいアーネラ様をアティカスが支えて、そのまま見つめ合っている。
お熱いなぁ。
本当にもう付き合うといいよ。ふふふ。
さて、気を取り直して。
「王子、お弁当食べよう。今朝、アーネラ様と一緒に作ったんだよ」
二人が戻ってくるまで待ってようと思ったけど、これじゃあ当分帰ってこないだろう。
なので、先に食べてしまう事を許して欲しい。
「ニナが作ってくれたのはどれ?」
「このハムとチーズのサンドイッチはオレが作ったよ!って挟んだだけなんだけど…」
ナイフでさっくりと切り込みを入れたバケットに、発酵バターをたーっぷり塗りこんで、スライスしたお高いハムとチーズをこれまたたーっぷりと挟んだサンドイッチ。
屋敷の厨房には、王都から持ってきた物や頂き物の高級食材が沢山あって凄かった。
「素材は良い物だから美味しいと思うよ」
へへっと笑うオレに、王子がニコリと微笑む。
「ニナ、食べさせて?」
「う、えっ?…うん」
今日の王子ってば、何だか甘えん坊だ。
こっちが照れてしまう程、可愛いんですけど。
サンドイッチを食べやすいサイズにカットして、王子の口元に持って行く。
「あ、…あーん」
「あーん」
くっ…しつこいかもだけど可愛い…。
パクリと上手にサンドイッチに噛りついて、上品に咀嚼する王子。
さすが王族。サンドイッチって食べるの難しいのに綺麗に食べるなぁ。
「美味しい」
「本当??良かった」
今日はとってもご機嫌で穏やかな王子が、ふわりと優しく微笑む。
そういえばと辺りを見渡す。
やはりこの辺りは木の実が豊富だなあ。
熟したブルーベリーは、まろやかで甘みが口いっぱいに広がって最高なんだよ。
ぽぽん!とホワイトタヌキの姿に戻る。
(王子!オレ、ちょっと木の実採ってくるね)
「…気をつけるんだよ、と言っても森はニナの方が詳しいか」
(うん、大丈夫!すぐ戻るから待っててね!)
みんなにも採れたての木の実を食べさせてあげるんだから!!
テテテとオレは木の実スポットに向かう。
確か、この辺り。
(ほわぁ~たわわじゃーん)
キラキラと輝くのは、色とりどりの瑞々しい木の実達。
艶々でぷっくりとした実は、今にも弾けてしまいそうだ。
うーん、この実はあまり甘くもないし美味しくないんだよな。けど、日本でいう漢方薬みたいな薬にもなる。
あっ、これ好き!山葡萄みたいなやつ!
美味しいんだよなっ!
どれ。一粒食べてみる。
(あむっ……あんま~い)
もう一粒食べちゃおうと首を伸ばしたその時、ガサガサと草木を掻き分ける音がした。
びくびくっと身体を縮込ませるオレ。
なっなに??!!
「おっ、おまえ!!」
(え…?)
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