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第3話·逃れない運命
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再び目覚めたときには、既に見覚えのない部屋に閉じ込められていたようだった。私の動きをじっくりと監視してきたらしいメイドは、明らかに私の目覚めに無関心で、無表情のまま私に近づき、ゆっくりと口を開いた。
「やっとお目覚めのようですね、リリス・タロシアさん」
「・・・・・・」
嘗てそんなにも冷たい態度で接されたことがない。意識がぼんやりして、言うべきことは思い当たらない。
「医者に解毒剤を処方してもらったので、もう体は大丈夫でしょ。」私の無言を目にして、メイドは冷たくも話を進めた。
「・・・そう」
その態度から全て明らかになっていることがわかった。毒殺のことが。
「・・・私、どれぐらい寝てた?」
「もう三日間です」
意識が少しずつはっきりとしてきた。
・・・あれから三日、未来の太子妃ためなら、王家はきっと迅速に対応している。そしてそれだけの時間があれば既に紛れもない証拠が把握されているだろう。
私は、もうおしまいね。
「リリス・タロシアさん、あなたには準太子妃様の毒殺の容疑があると思われています。目覚めた以上、審判室までついてきてください。」
「・・・」何も言えない。今更言い訳することなど、無意味な行動に過ぎない。
最初から一人で生き残ることなんて思ってもいなかった。
エリナとともに死のうと思っていた。ただ、エリナの最後を見届けるために半分の毒を吐き出したのが原因で、死ななかったことこそ予想外だった。
されどもうどうでもいい。
証拠が十分か不十分か、もう構わない。
無意味な人生を長生きするつもりもない。
生きていてもつらいことばかり。
抵抗することなく、私は大人しく ついて行った。
明るい通り道を過ぎて、サビのついた鉄の扉を開けると、 目の前に映しだされたのは、血まみれの拷問器具のそろった部屋。息苦しい血と肉の匂いが漂ってきて、臆病者ならすぐにも失禁しそうな雰囲気だった。私は無理矢理にも心から溢れてくる恐怖感を必死に抑えようとする。
部屋の中央にはテーブル一つと椅子二つ、テーブルの向こうにはすでに厳しい表情の拷問官らしい人が座っている。目線が合うとすぐにも殺されそうで、私は目線をそらして震えながらも座った。
もし私が嘘でもついたら、きっと拷問器具で虐げられ、無理やり白状させられることになるだろう。
本当に不器用な私。死ぬ覚悟はできていたのに少し脅されただけで 、一瞬にして冷静さを失ってしまった。
私の不安げな顔をちらりとみて、拷問官は話を始めた。
「リリス・タロシア、3日前にあなたは準太子妃様に一緒に酒を飲むように誘ったようですよね。しかし私たちの調査によると、その酒に毒が入れられていた。 またその酒はあなたがあらかじめと用意していたもので、そしてあなたが平民の町まで行っておかしなものを購入したとの証言もある。よって我々の判断では・・・」
「ええ、そうです。私がエリナを毒殺した。」まだ拷問官が話の途中だが、言い訳をするつもりはない私は思わずその話を断ち切った。
「ほう!?・・・」私の突如とした白状に、拷問官も驚いた。そう簡単に白状されるとは思わなかったようだ。
「 そう、私がエリナを毒殺した。」無表情で私は言葉を繰り返した。
私の言葉を聞いて、拷問官は怒りを覚えたかのように、表情が豹変した。
「やはりお前か!よくもあんなに善良な準太子妃様に手をかけたな!!!幸いにもあの日・・・」
「太子殿下、こちらです。」扉の外からの声が拷問官の言葉を断ち切った。
今何て言った!?幸いにあの日?どうした!?エリナはどうした!?
私はすぐにでも拷問官にはっきり続きを聞こうとした。
けど、もうそんな必要はなかった。
なぜなら・・・
「太子殿下、準太子妃様」拷問官はすぐに立ち上がり、礼をした。
「あっ・・・」私は一瞬に言葉を失った。
目の前に映った光景があまりにも理不尽で、 理解できない。
「先ほど、リリス・タロシアが準太子姫様を毒殺しようとしたことを白状いたしました。」
「どうして・・・」全身の震えが止まらない。
「エリナ・・・?」絶望と恐怖につつまれた。
どうしてエリナはまだ生きている。
ありえない 、そんなはずがない。
確実に死ぬ量の毒を飲ませたはずだった。
たとえどれほど強い解毒剤があるとしても、死んだ人間を蘇らせることのできる薬はない。
なのに目の前に悲しく立っていたのは、紛れもないあのエリナだった。
「リリ・・・ス」エリナは今にも泣き出しそうに、 きれいな顔が悲しみに歪んだ。
「本当に・・・私を殺そうと?」エリナは強いて涙を我慢して、私へ伸ばした手は震えている。
私は頭を下げたまま何も言えない。
あまりにも理解できない現実であった。
「リリス、もう1度問う。エリナを殺そうとしたのはお前か?」カシリア殿下は怒りを強く抑え、身体全身をこわばらせながら、大きな声で私に尋ねる。
「・・・」ようやく、状況を理解した。
されど言える言葉は、それを置いて他ならない。
「・・・ええ、私がエリナを殺そうとした」 怖くても素直に言うことしかできない。
「リリス!!!お前は!!!」私の回答を聞いたカシリア殿下は、刹那に怒りを爆発させ、私の髪を強く掴み、私を顔を無理やり引き上げる。
「あああ!」頭から伝わってくる痛みに耐えられず不意に苦痛を声にした。
「 なぜだ!!なぜこんなことをした!!答えろ!!」すぐにも私を切り殺しそうなほど、殿下は目に血を走らせ、私に全力で叫んでいる。
「あの日は・・・エリナが体調不良で宴会から早めに帰ったにもかかわらず、我慢してお前の相手をした!なのにお前は、お前は!!」
「もしあの日、エリナがワインを吐き出さなければ、今もうとっくに・・・」
何を・・・言っている・・・
なるほど、そういうことか
道理で一人で宴会から先に戻ったわけか。
体調不良だったのか。それでも私の誘いに乗ったのか。
それで私と同じようにワインをこっそり吐き出したわけね?
そう、そういうことね。
徹底的な敗北。
全てを失った私の、命がけの謀殺も、あっけなく失敗した。
もしかするとこれこそが私の運命なのかもしれない。
これこそが、罪人である私に訪れるべき運命かもしれない。
「答えろ!!なんでそんなことをした!!」カシリア殿下は感情を抑えきれず 、まるで私の髪をそのまま引き抜いてしまいそうなほどの強い力で私を掴み上げている。
「私は・・・」
もう今更何を言っても無駄ね。
意味がない。
全て私のせいだもの。
「理由なんてありません。」私は抵抗を諦めて冷静ぶって答えを口にした。
「冗談じゃない!!!ふざけるな!!」一瞬にして、カシリア殿下はもう片方の手で、近くの衛兵から剣を抜き取り、私の首を狙って切りかかってきた。
「やめて!!!」エリナはすぐに反応して、カシリア殿下を止めようとした。
「ぎゃああ・・・!」しかし剣は私の肩に当たり、噴き出した鮮やかな血は服を濡らした。
「はぁ・・・はぁ・・・」 涙まみれのエリナに抱かれた殿下は少し冷静さを取り戻し、強いて殺意を我慢して、私の髪を掴んだ手も離した。
「・・・もう行こう」殿下はエリナを優しい愛情あふれた目で見る。
「・・・ええ」エリナは涙を止められず、ただ殿下の手を取って、外へ出ようとする。
「彼女を幽閉しろ!審判を待つんだ!」歩く途中、殿下は私に叫んだ。
死ぬ覚悟はできていたはず。 拷問されるのも、予想していたはず。
けど、それが現実となれば、臆病者の私は、なにもかも怖くて、震えが止まらず、全身の力を失って、立つことすらできず、みっともなくその場に座り込んだ。
本当に、不器用な私と、絶望だらけの人生だった。
「やっとお目覚めのようですね、リリス・タロシアさん」
「・・・・・・」
嘗てそんなにも冷たい態度で接されたことがない。意識がぼんやりして、言うべきことは思い当たらない。
「医者に解毒剤を処方してもらったので、もう体は大丈夫でしょ。」私の無言を目にして、メイドは冷たくも話を進めた。
「・・・そう」
その態度から全て明らかになっていることがわかった。毒殺のことが。
「・・・私、どれぐらい寝てた?」
「もう三日間です」
意識が少しずつはっきりとしてきた。
・・・あれから三日、未来の太子妃ためなら、王家はきっと迅速に対応している。そしてそれだけの時間があれば既に紛れもない証拠が把握されているだろう。
私は、もうおしまいね。
「リリス・タロシアさん、あなたには準太子妃様の毒殺の容疑があると思われています。目覚めた以上、審判室までついてきてください。」
「・・・」何も言えない。今更言い訳することなど、無意味な行動に過ぎない。
最初から一人で生き残ることなんて思ってもいなかった。
エリナとともに死のうと思っていた。ただ、エリナの最後を見届けるために半分の毒を吐き出したのが原因で、死ななかったことこそ予想外だった。
されどもうどうでもいい。
証拠が十分か不十分か、もう構わない。
無意味な人生を長生きするつもりもない。
生きていてもつらいことばかり。
抵抗することなく、私は大人しく ついて行った。
明るい通り道を過ぎて、サビのついた鉄の扉を開けると、 目の前に映しだされたのは、血まみれの拷問器具のそろった部屋。息苦しい血と肉の匂いが漂ってきて、臆病者ならすぐにも失禁しそうな雰囲気だった。私は無理矢理にも心から溢れてくる恐怖感を必死に抑えようとする。
部屋の中央にはテーブル一つと椅子二つ、テーブルの向こうにはすでに厳しい表情の拷問官らしい人が座っている。目線が合うとすぐにも殺されそうで、私は目線をそらして震えながらも座った。
もし私が嘘でもついたら、きっと拷問器具で虐げられ、無理やり白状させられることになるだろう。
本当に不器用な私。死ぬ覚悟はできていたのに少し脅されただけで 、一瞬にして冷静さを失ってしまった。
私の不安げな顔をちらりとみて、拷問官は話を始めた。
「リリス・タロシア、3日前にあなたは準太子妃様に一緒に酒を飲むように誘ったようですよね。しかし私たちの調査によると、その酒に毒が入れられていた。 またその酒はあなたがあらかじめと用意していたもので、そしてあなたが平民の町まで行っておかしなものを購入したとの証言もある。よって我々の判断では・・・」
「ええ、そうです。私がエリナを毒殺した。」まだ拷問官が話の途中だが、言い訳をするつもりはない私は思わずその話を断ち切った。
「ほう!?・・・」私の突如とした白状に、拷問官も驚いた。そう簡単に白状されるとは思わなかったようだ。
「 そう、私がエリナを毒殺した。」無表情で私は言葉を繰り返した。
私の言葉を聞いて、拷問官は怒りを覚えたかのように、表情が豹変した。
「やはりお前か!よくもあんなに善良な準太子妃様に手をかけたな!!!幸いにもあの日・・・」
「太子殿下、こちらです。」扉の外からの声が拷問官の言葉を断ち切った。
今何て言った!?幸いにあの日?どうした!?エリナはどうした!?
私はすぐにでも拷問官にはっきり続きを聞こうとした。
けど、もうそんな必要はなかった。
なぜなら・・・
「太子殿下、準太子妃様」拷問官はすぐに立ち上がり、礼をした。
「あっ・・・」私は一瞬に言葉を失った。
目の前に映った光景があまりにも理不尽で、 理解できない。
「先ほど、リリス・タロシアが準太子姫様を毒殺しようとしたことを白状いたしました。」
「どうして・・・」全身の震えが止まらない。
「エリナ・・・?」絶望と恐怖につつまれた。
どうしてエリナはまだ生きている。
ありえない 、そんなはずがない。
確実に死ぬ量の毒を飲ませたはずだった。
たとえどれほど強い解毒剤があるとしても、死んだ人間を蘇らせることのできる薬はない。
なのに目の前に悲しく立っていたのは、紛れもないあのエリナだった。
「リリ・・・ス」エリナは今にも泣き出しそうに、 きれいな顔が悲しみに歪んだ。
「本当に・・・私を殺そうと?」エリナは強いて涙を我慢して、私へ伸ばした手は震えている。
私は頭を下げたまま何も言えない。
あまりにも理解できない現実であった。
「リリス、もう1度問う。エリナを殺そうとしたのはお前か?」カシリア殿下は怒りを強く抑え、身体全身をこわばらせながら、大きな声で私に尋ねる。
「・・・」ようやく、状況を理解した。
されど言える言葉は、それを置いて他ならない。
「・・・ええ、私がエリナを殺そうとした」 怖くても素直に言うことしかできない。
「リリス!!!お前は!!!」私の回答を聞いたカシリア殿下は、刹那に怒りを爆発させ、私の髪を強く掴み、私を顔を無理やり引き上げる。
「あああ!」頭から伝わってくる痛みに耐えられず不意に苦痛を声にした。
「 なぜだ!!なぜこんなことをした!!答えろ!!」すぐにも私を切り殺しそうなほど、殿下は目に血を走らせ、私に全力で叫んでいる。
「あの日は・・・エリナが体調不良で宴会から早めに帰ったにもかかわらず、我慢してお前の相手をした!なのにお前は、お前は!!」
「もしあの日、エリナがワインを吐き出さなければ、今もうとっくに・・・」
何を・・・言っている・・・
なるほど、そういうことか
道理で一人で宴会から先に戻ったわけか。
体調不良だったのか。それでも私の誘いに乗ったのか。
それで私と同じようにワインをこっそり吐き出したわけね?
そう、そういうことね。
徹底的な敗北。
全てを失った私の、命がけの謀殺も、あっけなく失敗した。
もしかするとこれこそが私の運命なのかもしれない。
これこそが、罪人である私に訪れるべき運命かもしれない。
「答えろ!!なんでそんなことをした!!」カシリア殿下は感情を抑えきれず 、まるで私の髪をそのまま引き抜いてしまいそうなほどの強い力で私を掴み上げている。
「私は・・・」
もう今更何を言っても無駄ね。
意味がない。
全て私のせいだもの。
「理由なんてありません。」私は抵抗を諦めて冷静ぶって答えを口にした。
「冗談じゃない!!!ふざけるな!!」一瞬にして、カシリア殿下はもう片方の手で、近くの衛兵から剣を抜き取り、私の首を狙って切りかかってきた。
「やめて!!!」エリナはすぐに反応して、カシリア殿下を止めようとした。
「ぎゃああ・・・!」しかし剣は私の肩に当たり、噴き出した鮮やかな血は服を濡らした。
「はぁ・・・はぁ・・・」 涙まみれのエリナに抱かれた殿下は少し冷静さを取り戻し、強いて殺意を我慢して、私の髪を掴んだ手も離した。
「・・・もう行こう」殿下はエリナを優しい愛情あふれた目で見る。
「・・・ええ」エリナは涙を止められず、ただ殿下の手を取って、外へ出ようとする。
「彼女を幽閉しろ!審判を待つんだ!」歩く途中、殿下は私に叫んだ。
死ぬ覚悟はできていたはず。 拷問されるのも、予想していたはず。
けど、それが現実となれば、臆病者の私は、なにもかも怖くて、震えが止まらず、全身の力を失って、立つことすらできず、みっともなくその場に座り込んだ。
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