【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん

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5章。ユーステルム攻防戦

36話。勝利し、美少女たちからモテまくる

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「陛下ぁあああ! 姫様、ご無事であられましたか!?」

 その時、グリフォンにまたがった獣魔師団のエルフたちが、上空から声を張り上げてやって来た。

「みんなぁ! 無事ですよ!」

 コレットが手を振り上げて、無事を知らせる。

「なぁ!? あ、あれは、エルフども!?」

 ボルド将軍が目を丸くしている。
 攻撃でもされたら厄介なので、俺は慌てて告げる。

「捕虜にしたエルフたちを寝返らせたと伝令を送りましたが、聞いていませんでしたか? 彼らがそうです」

「あ、いや、それについては聞き及んでおりましたが……それにしても陛下?」

 ボルド将軍は首を捻った。
 エルフたちは着地すると、グリフォンより飛び降りて俺に平伏する。

「慈悲深きアッシュ陛下の御心を同胞らに伝えましたが、愚かにも彼奴らは聞く耳持たず。約束通り、我らは陛下の兵として、馳せ参じた次第です!」

「あっ、ああ。ありがとう……」

 崇拝するような目を向けられ、俺は何と言って良いかわからず言葉を濁す。

 貴族相手の礼儀作法は学んでいたが、自分が忠誠を向けられる側になるとは思っていなかったため、どう対応して良いかわからなかった。
 ユーステルム子爵家の一員となったからには、これではダメなんだろうけどな。

「皆の者、大儀でありました。これからは我が未来の夫、アッシュ様を共に盛り立てて参りましょう!」

「はっ!」

 コレットの言葉に、エルフたちが威勢良く応える。

「あ、いや、だからエルフ王になるつもりは無いって!」

 慌てて俺はツッコミを入れた。
 ここらで、本気で誤解を解いておかないとマズイだろう。

「そうよ! アッシュお兄様は、この私とユーステルムでずっと一緒に幸せに暮らすのよ!」

「あるじ様、お腹空いたぁ!」

 コレットだけでなく、ミリアとリルも好き勝手なことを叫ぶ。

「だぁあああっ! もう、とにかく兵だけでなく、グリフォンたちも怪我をしているようだし。まずはこれで傷を癒してくれ」

 俺はエリクサー草を大量召喚する。最上級の薬草が、広場に溢れかえった。

「おおっ、陛下! グリフォンたちにも慈悲を与えてくださるとは!?」

「な、な、なんと……!? 噂には聞いておりましたが、こ、これが【植物王(ドルイドキング)】ですか!?」

 ボルド将軍が驚嘆の声を上げる。

「ええっ。第三師団にも負傷者がいたら、遠慮なく使ってください」

「こ、これはありがたい! し、しかし、アッシュ殿、そちらの美しい少女がエルフの王女殿下でありますな? 未来の夫やエルフ王という話が出てきましたが……?」

「実は、この【世界樹の剣】の所有者は、エルフ王となる資格を得るとかで……」

 するとコレットが口を挟んできた。

「ご主人様がエルフ王となれば、もうエルフと人間が争うこともなくなります。ルシタニア王国の国王陛下にも、ぜひわたくしたちの結婚式に参列していただきたく存じます」

「そ、それは我が国にとっても願ってもないことでありますな」

 ルシタニア王国は、食料難と野盗の跋扈で疲弊している。戦争をしている余裕は無いようだ。

「それとアッシュ殿。【植物王(ドルイドキング)】は、食料を無限に生み出すことができると聞きました。正直、半信半疑だったのですが……」

 ボルド将軍は俺が出現させたバナナに齧り付くリルに視線を移す。リルは喜びを爆発させていた。

「美味しぃいいいいっ!」

「どうやら本当のことだったようですな。できれば、王国への食料援助などしていただければと思うのですが、いかがでしょうか?」

「むっ。対価もなく食料をもらおうなんて。お兄様、ちょっと虫が良すぎる申し出ですよ」

 ミリアが俺の袖を引っ張って、ヒソヒソ声で告げる。

「下手にOKしたら、扱いやすいと思われて無限にたかられる可能性があります。飲むにしても、何らかの条件をつけるべきです。貴族は性善説ではやっていけませんよ」

 食料を大量に保有していることは、ユーステルムの強みのひとつだ。領主であるミリアはそれをタダで手放したくはないのだろう。

「大丈夫だ。対価はもらうから。それなら、今後、ルシタニア王国はエルフやハーフエルフを不当に扱わない、差別しないと約束してくれますか?」

 アルフヘイムとの戦いに勝利したら、ルシタニア王国は、エルフたちから財産を奪ったり、彼らを奴隷にするだろう。
 戦勝国とはそういうものだ。

 それにこの条件はアルフヘイムと国境を接するユーステルムにとって長期的なメリットがある。
 この条件をルシタニア王国に飲ませれば、ユーステルムとエルフたちは今後、良好な関係を築くことができるだろう。

 コレットを仲立ちにして、交易を開くこともできるかも知れない。今まで小競り合いを繰り返してきたことを考えれば、大きなプラスになる。

「……なっ!? わかりました。国王陛下にお伺いいたしましょう」

 ボルト将軍の権限では、すぐに返事ができないようだ。だが、食料難である以上、おそらく国王はこの条件で承諾するだろう。

「ご主人様!?」

「アッシュ団長、その条件は……!?」

 コレットだけでなく、ハーフエルフの魔法剣士レイナまで感激に声を震わせた。

「ご主人様とわたくしの間に産まれてくる子供はハーフエルフ! わたくしたちの子供のことまで考えてくださっているのですね!?」

「いや、それは違う! っていうか、ひっつくなぁ!」

 コレットが俺にしがみついてきたので、慌てて引き剥がす。

「ユーステルムの利益に加えて、コレットやレイナが人間たちから変なふうに扱われるのは、嫌だと思っただけだ」

「ああっ! やっぱりご主人様はわたくしのことを一番に愛して! わたくしとの未来を一番に考えていらっしゃるのですね!」

「はぁっ!? なぜ、そうなる!?」

 俺、ユーステルムとレイナについても触れたよな?

「ちょっと違うわよ! アッシュお兄様が一番好きなのは、この私! だからユーステルムの繁栄につながる条件にしてくださったのですよね!?」

 ミリアがコレットと押し合いへし合いする。

「違いますぅ! アッシュ隊長が一番愛しているのは、この私です! 見て下さいアッシュ隊長からもらったお揃いのミンサガ! これぞ愛の証です!」

 そこに満身創痍のサーシャが息を切らしながらやって来た。
 どうやらディアドラは無事に撃退できたようだが……

「いや、ちょっとお前ら、いい加減にしてくれ!」

 俺の絶叫が響き渡った。
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