「私のために死ねるなら幸せよね!」と勇者姫の捨て駒にされたボクはお前の奴隷じゃねえんだよ!と変身スキルで反逆します。土下座されても、もう遅い

こはるんるん

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1章。偽勇者、本物に成り代わる

5話。500人の美少女聖騎士団に絶対の忠誠を誓われる

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 北城門前広場には、完全武装した500名ほどの聖騎士たちが、すでに集結していた。
 信じられないことだが、その全員が見目麗しい美少女だ。

 エリザが「姫様に悪い虫が付いてはいけません!」と、選りすぐりの天才少女ばかりを集めた結果だった。

 この世界では、女性は男性よりも強い魔力を持って生まれてくる。強者を揃えると、7割は女性となるのだが、ここまで徹底していると壮観だった。

 少女たちはボクが姿を見せると、一斉に下馬して、臣下の礼を取る。
 そのような態度を取られると、緊張で心臓がバクバクした。

 ボクは女の子に慣れてもいなければ、誰かにかしずかれた経験もない。
 
 だが、こうしている間にも魔王軍の攻撃は続いている。
 破城槌を撃ち込まれた城門が、金属のひしゃげる耳障りな音を立てていた。

 城壁の上では、襲いくる飛竜の群れに翻弄されながらも、懸命に矢を放ち続ける守備兵たちがいる。
 彼らのためにもモタモタしている暇はない。
 
「みなよく今日まで、ボクについてきてくれた! アルビオン王国第二王女、イルティア=ミレーヌ=アルビオンは、みんなの忠誠に深く感謝する!」

 イルティアは聖騎士たちからも、愛想を尽かされていたハズだが。

 予想に反して、少女たちは崇拝するような目でボクを見つめていた。

 おそらく、ボクが身体を張って民を守ったこと。
 四天王に率いられた暗黒騎士団を倒したことを団長エリザから、伝え聞いたのだろう。

 不慣れな演説に挑むのに、エリザからのこれ以上ない援護だった。

「最初に宣言するが、イルティアの名は捨てる! ボクはこれからルカと名乗ることにする!」

 ボクの隣に立ったエリザが「……はっ!?」と、驚きの声を上げた。
 彼女が困惑するのは当然だろうけど……考えた末に、最初に改名。もとい、ボク本来の名前で呼ぶように通達することにした。

「ルカとは世界を変革した偉大なる初代勇者の名だ! 今までのダメな自分を捨てて、生まれ変わるために。ルカに改名することにする!」

 これはイルティアに対する宣戦布告でもあった。

 ボクこそが本物の勇者であり、あいつはその偽物なのだ。
 ルカの名で20万の魔王軍に勝利することで、それを国中に知らしめる。

 そうしなければ、イルティアは必ず勝利の手柄を自分の物とし、ボクは勇者を騙った大罪人として処断されるだろう。

 いずれ勇者イルティアがふたりいることは、白日の元となる。その際に、ボクこそ魔竜王を倒した真の勇者だと主張するための改名宣言だった。

 例え、あいつが本物の聖剣を持っていたとしても、民を見捨てて逃げ出した勇者など誰が認めるものか。

 ルカの声望を高め、イルティアを勇者の座から追い落としてやるんだ。
 そう考えると腹がすわった。

「動じずに聞いて欲しい……国王陛下の援軍は来ない!」

 援軍は来ないと知っても、整列した聖騎士たちは微動だにしなかった。多少、息を呑む声は聞こえたが、ボクの話に傾注してくれている。
 さすがは世界最強の誉れ高き騎士団だ。
 
「だが、ボクは決してみんなを、この地の人々を見捨てない! これから聖騎士団はボクが先頭となって。敵総大将、魔竜王ヴァルヴァドスの本陣に突撃する!」

 一瞬、さざ波のような動揺が、聖騎士たちに走った。

「援軍が来ない以上、このままではジリ貧だ。ここで勝負に出る! みんなの力を貸して欲しい!」

「お待ち下さい! 姫様が突撃の先頭ですと!? 栄えある一番槍はこのエリザがたまわります! イルティ……いえ、ルカ様は後方に控えて、力を温存ください!」

「エリザ、大丈夫だ! ボクは女神様から、さらなる力を頂いた。この輝ける星の聖剣に宿った【HP自動回復(リジェネレーション)】の力は、進化して、【超HP自動回復(ハイ・リジェネレーション)】になったんだ! どんな攻撃を受けても瞬時に傷が回復する。まさに不死身の力。
女神様はボクに勝利せよと告げているんだ!」

 偽聖剣を抜いて天高くかざすと、少女たちから感嘆の声が上がった。

 ボクのスキル【コピー復元】の力は、不老不死となることだ。
 これは聖剣の力の完全なる上位互換。聖剣が本物であると証明するためにも、聖剣の力が進化したことにした。

「そ、それは誠でございますか!? いや、それでもいけません! ルカ姫様を守ることこそ我らが務め。姫様への攻撃は、すべてこのエリザが盾となって、お守りいたします。どうか、ご自重くだい!」

「ダメだ。エリザはボクの後ろに控えて、聖騎士団の指揮を代わりに取ってもらう。
ボクはヴァルヴァドスに一騎打ちを挑むつもりだ!」

 例え、聖騎士たちがボクに信頼を寄せてくれたとしても。ボクに精鋭中の精鋭である彼女たちの指揮なんて、絶対に無理。
 ここはエリザに丸投げするしかない。

「いいえ! こればかりは譲れません! 20万の大軍から袋叩きにされれば、痛みから気絶されることも大いにあり得ます! 落馬でもなされたら、後続の我らが姫様を踏み潰すなどという最悪の事態が……!」

「さっき、お医者様から痛み止めの薬をいっぱいもらってきたから、大丈夫だって!
エリザの言う通り、ボクが先頭を駆ければ、魔王軍は絶対にボクに攻撃を集中させる。
そうしたら、みんな死ななくてすむでしょ? 全員は無理かも知れないけれど……」

 ボクが頬をかきながら笑顔を向けると、エリザは落雷に打たれたように全身を震わせた。

「ル、ルカ姫様……それは本気で、おっしゃっているのですか?」

「本気も何も……お前が先頭を走れとか、死ねと言っているようなモノじゃないか。嫌だよ、女の子を盾にするなんて。ボクは、できればこの中の誰にも死んで欲しくないんだ」

 聖騎士団の中には、おそらく15歳。妹とさほど変わらない歳の娘もいた。

 そんな女の子がボクの命令のせいで死んだら、寝覚めが悪い。
 せめて彼女たちが、ひとりでも多く生還できるように力を尽くしたかった。

 すると突然、すごい力でエリザに抱きしめられた。
 彼女は号泣している。
 ぐぇっ、胸が圧迫されて息が苦しい……

「わぁああああ! 死なせません! 死なせません! ルカ姫様はこのエリザが絶対に死なせません! あのクソ竜めは、私めが姫様に代わって八つ裂きにしてやります!」

「姫様! 私が先鋒をたまわります! どうか、どうか!」

「でしゃばるな! 栄光ある先鋒はこのあたしにこそ、ふさわしい……! ルカ様、あたしにお任せください!」

「いえ、栄えあるアルビオン貴族である、このわたくしこそ、ルカ姫様の盾となるべき者! どうか我が命、存分に使い潰しくださいませ!」

 どういうわけか、美少女たちが感激に打ち震えた様子で、ボクに詰めかけてきた。
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