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2章。500人の美少女から溺愛される
32話。温泉にみんなで入る
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「ふぃ~~~~~~~~。生き返るなぁ」
その夜、ボクは屋敷に併設された領主専用の露天風呂に浸かっていた。
身体にじんと染み渡る熱い湯は、地下から湧き出す温泉だ。
ここオーダンは火山地帯であり、温泉施設があちこちに作られていた。この土地唯一のメリットと言って良い。
空には月と星々がきらめき、絶景だ。
湯船の中で、ゆっくり手足を伸ばす。
心配ごとのいくつかが片付き、今夜は温泉で、たまった疲れを洗い流すことにした。
浴場に入るための唯一の出入り口である脱衣所は、エリザが守ってくれている。
ミリアが「お姉様と一緒にお風呂に入りたいんです! 背中の流しっこがしたいんです!」と暴れて言うことを聞かったからだ。
聖騎士団二番隊隊長のフィナも
「無防備となる浴場での警護! ぜひ、フィナにお任せください! 魔力も回復してご覧にいれます!」
と、ボクと一緒に風呂に入ろうとしてきた。
美少女たちと一緒にお風呂に入るなど、想像しただけで、頭がのぼせ上がってしまう。
自分の身体を洗うのですら、目をつぶっていないと抵抗があるのだから、かんべんして欲しい。
エリザに相談したところ『それでは私が入浴中のルカ様をお守りします!』と胸を叩いてくれた。
悪いかと思ったが、王女の身辺警護こそ近衛騎士の本懐だそうだ。
ボクの身体を洗おうとする侍女たちの申し出もすべて断って、ひとりで至福の時間を堪能していた。
「エリザ! ここを通しなさい! 私の私のお姉様の聖域が広がっているのよ!」
「なりません! 例え誰であっても、お通しするなとのご命令です!」
「ルカお姉様! 今、参ります!」
ドッタンバッタン押し問答する声が、脱衣所から響いてくる。
しばらくすると、脱衣所は静かになった。やれやれ一安心と、気を緩めた瞬間……
「お姉様!」
タオルを一枚、身体に巻いただけのミリアがぴょんと姿を現した。
「はぁっ!? ミ、ミリア! 一体どうやって……!」
驚愕して、ボクは後退る。露天風呂の岩に背中がぶつかった。
「ふっ……エリザの食事に眠り薬を入れました。無味無臭で、口に入れてもまず気づかない新薬です。ちょうど、この時間帯に効果を発揮するように調整したんですよ?」
ミリアが不適に笑う。
「な、なぜ、そこまでする……!?」
「もちろん、お姉様との愛のためですよ! さぁ、お姉様! 私と背中の洗いっこをしましょう!」
ミリアが勢いよく湯船に飛び込んできて、飛沫が跳ね上がった。
「ひゃぁああああ!」
ボクはタオルを身体に巻いて、逃げの一手だ。だが、慌てていたせいで、石鹸を踏んづけて転んでしまった。
痛っ!?
「はうっ! お姉様。な、なんて、おきれいな身体をされているですか!? ……し、しかも、そんな涙目で見上げられたら、もう我慢できません!」
「ちょっと待て! わかっているだろう、ボクが男だってこと!? こ、こんなことをして正気か!?」
「身体は女の子なんですから、何の問題もないですよ! さあ泡にまみれて姉妹としての絆を深め合いましょう!」
「だぁあああ!? 助けて!」
「そこまでです!」
その時、露天風呂の丸太の壁が派手にぶち壊された。隣の女湯から、猫耳少女が飛び出してくる。
「聖騎士団二番隊隊長フィナ! ルカ姫様をお守りするため、推参です!」
彼女に続いて、タオルを身に巻いただけの犬耳や狐耳といった獣人の女の子たちが乗り込んで来た。フィナの部下の獣人少女部隊だ。
どうやら隣の浴場では、彼女たちが温泉を楽しんでいたらしい。
「姫様、お怪我はありませんか!?」
「ぶっ!」
あられもない姿の少女たちに取り囲まれて、鼻血が漏れそうになる。
湯気のおかげで、はっきり見えないのが何よりの救いだった。
「ミリア様! ルカ姫様は嫌がっておいでですよ! はっ!? 鼻血が出て、これは典型的な魔力欠乏症の症状ですね! 姫様はフィナがハグして癒やします!」
「いや、いいからこっちに来るな!」
ボクは転がるように脱衣所を目指して、走る。
「お姉様、お待ちください! まだ、お身体が洗えてないですよ!?」
「もう洗ったの!」
「二番隊! 総員、敵を……ミリア様を足止めしてください!」
「はっ!」
「あなたたち邪魔しないで! これは、お姉様との距離を縮める神聖な儀式なのよ……!」
「ルカ姫様! フィナが、フィナが癒やして差し上げます!」
「だぁあああ! お前ら、ボクはもう上がるから放っといてくれっ!」
フィナが獣人の驚異的な脚力で、ボクを追いかけてくる。
ボクは油断するとタオルがはだけて、肌が見えてしまいそうになるので、全力で駆けることができなかった。
あわや捕まるかというその時……
「……ルカ様、申し訳ありません!」
エリザが、ふらつきながらも姿を見せる。軽装ではあるが鎧を着込んでいた。
「あなた、もう動けるようになったの!?」
ミリアが驚きの声をあげる。
「ミリア様、それに二番隊! ここには何人たりとも立ち入るなというルカ姫様のご命令であるぞ! 主命に逆らうとは、貴様らそれでも騎士か!?」
「エリザ団長!? フィナは姫様の助けを呼ぶ声に応じてっ……!」
「問答無用!」
エリザは手にした木刀を豪快に下から振った。
それを受けたフィナは空高くぶっ飛んでいき、きらっと星になった。
「あっ、隊長!?」っと、獣人少女たちが、空を呆然と見上げる。
さらにエリザは、ミリアに音もなく近づくと、手刀を首に当てて失神させた。
「……ルカ様。不甲斐ないエリザをお許しくだい!」
安心して、その場にへたり込むボクの前に歩み出て、エリザが片膝をついた。
もうなんか、スゴイ疲れた……
ミリアもフィナも、ボクのことが好きなのはわかるんだけど。いい加減、身がもたないんで、かんべんして欲しい。
その夜、ボクは屋敷に併設された領主専用の露天風呂に浸かっていた。
身体にじんと染み渡る熱い湯は、地下から湧き出す温泉だ。
ここオーダンは火山地帯であり、温泉施設があちこちに作られていた。この土地唯一のメリットと言って良い。
空には月と星々がきらめき、絶景だ。
湯船の中で、ゆっくり手足を伸ばす。
心配ごとのいくつかが片付き、今夜は温泉で、たまった疲れを洗い流すことにした。
浴場に入るための唯一の出入り口である脱衣所は、エリザが守ってくれている。
ミリアが「お姉様と一緒にお風呂に入りたいんです! 背中の流しっこがしたいんです!」と暴れて言うことを聞かったからだ。
聖騎士団二番隊隊長のフィナも
「無防備となる浴場での警護! ぜひ、フィナにお任せください! 魔力も回復してご覧にいれます!」
と、ボクと一緒に風呂に入ろうとしてきた。
美少女たちと一緒にお風呂に入るなど、想像しただけで、頭がのぼせ上がってしまう。
自分の身体を洗うのですら、目をつぶっていないと抵抗があるのだから、かんべんして欲しい。
エリザに相談したところ『それでは私が入浴中のルカ様をお守りします!』と胸を叩いてくれた。
悪いかと思ったが、王女の身辺警護こそ近衛騎士の本懐だそうだ。
ボクの身体を洗おうとする侍女たちの申し出もすべて断って、ひとりで至福の時間を堪能していた。
「エリザ! ここを通しなさい! 私の私のお姉様の聖域が広がっているのよ!」
「なりません! 例え誰であっても、お通しするなとのご命令です!」
「ルカお姉様! 今、参ります!」
ドッタンバッタン押し問答する声が、脱衣所から響いてくる。
しばらくすると、脱衣所は静かになった。やれやれ一安心と、気を緩めた瞬間……
「お姉様!」
タオルを一枚、身体に巻いただけのミリアがぴょんと姿を現した。
「はぁっ!? ミ、ミリア! 一体どうやって……!」
驚愕して、ボクは後退る。露天風呂の岩に背中がぶつかった。
「ふっ……エリザの食事に眠り薬を入れました。無味無臭で、口に入れてもまず気づかない新薬です。ちょうど、この時間帯に効果を発揮するように調整したんですよ?」
ミリアが不適に笑う。
「な、なぜ、そこまでする……!?」
「もちろん、お姉様との愛のためですよ! さぁ、お姉様! 私と背中の洗いっこをしましょう!」
ミリアが勢いよく湯船に飛び込んできて、飛沫が跳ね上がった。
「ひゃぁああああ!」
ボクはタオルを身体に巻いて、逃げの一手だ。だが、慌てていたせいで、石鹸を踏んづけて転んでしまった。
痛っ!?
「はうっ! お姉様。な、なんて、おきれいな身体をされているですか!? ……し、しかも、そんな涙目で見上げられたら、もう我慢できません!」
「ちょっと待て! わかっているだろう、ボクが男だってこと!? こ、こんなことをして正気か!?」
「身体は女の子なんですから、何の問題もないですよ! さあ泡にまみれて姉妹としての絆を深め合いましょう!」
「だぁあああ!? 助けて!」
「そこまでです!」
その時、露天風呂の丸太の壁が派手にぶち壊された。隣の女湯から、猫耳少女が飛び出してくる。
「聖騎士団二番隊隊長フィナ! ルカ姫様をお守りするため、推参です!」
彼女に続いて、タオルを身に巻いただけの犬耳や狐耳といった獣人の女の子たちが乗り込んで来た。フィナの部下の獣人少女部隊だ。
どうやら隣の浴場では、彼女たちが温泉を楽しんでいたらしい。
「姫様、お怪我はありませんか!?」
「ぶっ!」
あられもない姿の少女たちに取り囲まれて、鼻血が漏れそうになる。
湯気のおかげで、はっきり見えないのが何よりの救いだった。
「ミリア様! ルカ姫様は嫌がっておいでですよ! はっ!? 鼻血が出て、これは典型的な魔力欠乏症の症状ですね! 姫様はフィナがハグして癒やします!」
「いや、いいからこっちに来るな!」
ボクは転がるように脱衣所を目指して、走る。
「お姉様、お待ちください! まだ、お身体が洗えてないですよ!?」
「もう洗ったの!」
「二番隊! 総員、敵を……ミリア様を足止めしてください!」
「はっ!」
「あなたたち邪魔しないで! これは、お姉様との距離を縮める神聖な儀式なのよ……!」
「ルカ姫様! フィナが、フィナが癒やして差し上げます!」
「だぁあああ! お前ら、ボクはもう上がるから放っといてくれっ!」
フィナが獣人の驚異的な脚力で、ボクを追いかけてくる。
ボクは油断するとタオルがはだけて、肌が見えてしまいそうになるので、全力で駆けることができなかった。
あわや捕まるかというその時……
「……ルカ様、申し訳ありません!」
エリザが、ふらつきながらも姿を見せる。軽装ではあるが鎧を着込んでいた。
「あなた、もう動けるようになったの!?」
ミリアが驚きの声をあげる。
「ミリア様、それに二番隊! ここには何人たりとも立ち入るなというルカ姫様のご命令であるぞ! 主命に逆らうとは、貴様らそれでも騎士か!?」
「エリザ団長!? フィナは姫様の助けを呼ぶ声に応じてっ……!」
「問答無用!」
エリザは手にした木刀を豪快に下から振った。
それを受けたフィナは空高くぶっ飛んでいき、きらっと星になった。
「あっ、隊長!?」っと、獣人少女たちが、空を呆然と見上げる。
さらにエリザは、ミリアに音もなく近づくと、手刀を首に当てて失神させた。
「……ルカ様。不甲斐ないエリザをお許しくだい!」
安心して、その場にへたり込むボクの前に歩み出て、エリザが片膝をついた。
もうなんか、スゴイ疲れた……
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