「私のために死ねるなら幸せよね!」と勇者姫の捨て駒にされたボクはお前の奴隷じゃねえんだよ!と変身スキルで反逆します。土下座されても、もう遅い

こはるんるん

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4章。5億人の美少女から神と崇められる

51話。エルフの女王から絶対の忠誠を誓われる

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 魔王領の荒野に、空中都市アルフヘイムは墜落した。大地が揺れ、瓦礫が飛び、盛大な粉塵が吹き上がる。

 ボクの故郷オーダンから遠く離れた位置に落ちたため、オーダンへの影響はまったくなかった。
 アナスタシア姫が、アルフヘイムを制御してくれたおかげだ。

「姉上!」

 ボクたちは空を飛ぶ幻獣フェリオの上で、その光景を見ていた。
 エリザは涙腺が決壊し、ずっと大泣きしている。

「エリザ、すまない……アナスタシア姫を助けることができなかった」

 限界を超えた力を出さねばシュナイゼルには勝てなかった。それが皮肉にも空中都市の崩壊に繋がってしまったのは、悔やんでも悔やみきれない。
 
「いえ、ルカ様。アルフヘイムに残ること、陛下と共に逝くことを選ばれたのは、姉上自身。ルカ様が責任を感じる必要はありません。むしろ、姉上は本懐を遂げられて幸せだったと思います」

 エリザを慰めるつもりが、逆に慰められてしまった。
 彼女は涙を拭って、笑顔を見せる。

「それにルカ様のおかげで、オーダンの者たち、いえ、この国、この世界すべての者たちが救われたのです。
 魔王は滅ぼされれば、歴史上、数十年は姿を表しません。魔物どもは統率を失って弱体化し、これからこの世界は黄金時代を迎えるでしょう」

 魔王はこの世界にひとりしか存在できない。魔王となったシュナイゼルを討ったことで、魔王の脅威は取り除かれた。

「そうだな……コレットやみんなを守れたんだ」

 無我夢中だったが、ようやく実感がわいてきた。
 これでオーダンの人々は、魔王軍の襲撃に怯えることなく暮していけるだろう。

「私はエルフの女王となる大役を仰せつかってしまいました。正直、自信はありませんが……」

 エリザはアナスタシア姫より授けられた王笏を掲げた。

「ハーフエルフやクォーターエルフが差別されることなく生きて行ける世を作ることこそ、姉上の悲願でした。
 私はその意志を継ぎたいと思います」

「エリザならきっとできると思う。でもそうなると、聖騎士団長は別の誰かに任せるしかないな……」

 一瞬、イルティアの顔が脳裏に浮かんだが、あの娘では、他の聖騎士たちとうまくやっていけるか不安だ。

 性格に若干難があるが、みんなのまとめ役は貴族出身のアンジェラが引き継ぐのが妥当かも知れない。

「はっ! 一時のお暇をいただくことになると思います。しかし、エリザはルカ様に剣を捧げた身。エルフの女王となっても、その忠誠は永遠に変わりません」

「ええっ!? エルフの女王様に忠誠を捧げてもらうなんて……ボクはただの平民なんだよ?」

 この国を共和制にする改革が終わったら実家に帰って、冒険者として家族を支えるつもりだった。
 そんなトンデモない存在になるつもりはない。

「エルフ王国は再興されるとしても、これからしばらく混乱が続くと思います。偉大なる新生アルビオン王に後ろ盾になっていただかなくては、立ち行きません。ルカ様、どうかこの私を助けていただけないでしょか?
 ……正直に申します。不安なので、どうか助けください!」

「それを言うならボクだって、王様なんて絶対に無理だって!」

 むしろ聖騎士団長という重職に就いていた分、エリザの方がよっぽど女王に向いていると思う。

「なにをおっしゃいますか。ルカ様以上に王にふさわしい方など、おりません。それは聖剣の輝きの強さからも明らかです!」 

 確かに、ボクの聖剣の攻撃力は、今では5万を超えていた。それだけボクを強く支持してくれる人々がいるということだ。

「ルカ様は、もはや王の器など超越しておられます! まさに女神の化身! いえ、女神そのもの! エルフ王国はルカ様をもうひとりの女神として信仰したいと思います! エルフの血を引く者は世界に5億人はおりますが、それらの者たちに、あまねくルカ様の英雄譚を伝えます!」

「ご、5億人!?」

 ボクは驚きのあまり、馬上から転がり落ちそうになった。

 確かエルフとの混血児は、なぜか美形の女性しか生まれてこず、しかも10代の姿のまま歳を取らないと聞いたことがある。
 5億人の美少女が、ボクを神と崇めるというのか?

 想像するだに血の気が引いた。

「い、いや、それはちょっとカンベンして欲しい!」

「なぜですか? 無論、ルカ様の正体については秘密にいたしますが……」

 エリザが真顔で聞いてくる。

「ボクはふつうの人間として生きて行きたいの!」

 これは、やはりイルティアに身代わりになってもらうしかないな。
 勝利に沸くオーダンへと向かう途中で、ボクはひとりごちた。

 大勢の人々が手を振って、熱狂と共にボクを迎えてくれた。
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