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2章。バフ・マスター、Lv5覚醒
18話。【バラン団長SIDE】バラン、アベルを逆恨みして暗殺者を送り込む
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翌日の昼――
「ほ、本気ですか!? 団長!」
「そうだ。このフォルガナの紋章入りの剣で、今夜リディア王女を襲撃しろ!」
バランの執務室に集められた3人の騎士たちは、全員、驚きに目を剥いた。
彼らは先の剣術大会で、上位の成績をおさめた手練たちだ。そして、バランの命令にすべてイエスと答える優秀なイエスマンである。
「無論、手傷を負わせるだけだ。決して殺してはならん。本当の狙いは、分不相応にも王女殿下の婚約者となったアベルを討つことだ」
バランはリディア王女と結婚し、王になる野望を未だに持ち続けていた。
「多少、武功を上げた程度でアベルを王家に迎えるなど……国王陛下は乱心されたとしか思えん!」
バランの実家、オースティン侯爵家は王家の分家筋である。これまで積み上げてきた武功といい、自分には王女を娶る資格が十分にあるとバランは考えていた。
名門に生まれた自分は支配者であり、やがて王となるべき人間なのだ。
それをアベルに横から奪われては、黙っていられなかった。嫉妬と憎悪で、気が狂いそうな程である。
それにあの小僧は、この俺を見下し『どんな武将も運悪く戦いに敗れることがあります。これからは共に王国を守っていきましょう』などと言って来た。
とうてい許せるモノではなかった。
「アベルを討てば王女殿下も、この俺こそ、ご自分の結婚相手に相応しいと思い直すに違いない」
「……いや、さすがにそれは……」
騎士のひとりが思わずツッコミを入れそうになり、慌てて口をつぐんだ。
「この俺のような優れた人間に統治されてこそ、民も幸せというものだ」
「は、はぁ……」
配下たちが顔を見合わせているが、バランは気づかない。
バランは、自分を大勢の部下の前で叱りつけたリディア王女が膝を屈し、ぜひ妻にして欲しいと懇願してくる場面を妄想して、気を良くしていた。
リディアは生意気な小娘ではあるが、高貴さがあり、バランの好みだった。
ああいう高貴で可憐な姫を自分のモノにできると思うと、血がたぎる。
あの女は俺のモノだ。
「この剣には即効性の猛毒が塗ってある。アベルの小僧が、バフで多少強くなっていようが、当たれば数分であの世行きだ」
リッチの毒魔法がアベルを苦しめていたのを見て閃いたアイディアだ。
自分の頭の良さにバランは、策略家としての才能も感じていた。
防御力が高ければ、そもそも刃が通らないのだが……アベルの防御力がドラゴンブレスをも無効化できるレベルにあるとは、バランは思いもしていなかった。
「フォルガナの仕業に見せかけて、アベルを暗殺するのは良いのですが……リディア王女殿下に剣を向ければ、下手をすれば反逆罪に問われるのでは?」
「王女殿下には少々、灸をすえるだけだ。剣にて王国を守護してきた我らをさしおいて、魔法に長けた騎士団を新設? さらにはアベルを夫とする? 正気の沙汰とは思えんだろう!?」
「……た、確かにそれは」
剣にて真っ向から敵を粉砕する。これこそ、正統な騎士の姿であり、魔法など邪道。
その思いは、ここにいる全員が抱いているところだ。
「しかし……我らがルーンナイツに助けられたのも事実なのですが……」
部下のひとりがボソッと言うが、無視する。
あれは、たまたまというものだ。
「証拠さえ残さなければ、我らが疑われることはない。貴様らなら、例えティファが邪道だてしてきても問題あるまい?
祝勝会の後で、酒に酔ったところを狙え」
「はっ」
直立不動で、騎士たちが答える。
祝勝会ではアベルとリディア王女の婚約が発表されるということだが……
クククッ、せいぜい一夜の栄華を楽しむがいい。
この俺をコケにしてくれたことを、たっぷり後悔させてやる。
「俺は剣聖イブと、模擬戦を行おうと思う。アベルに教えを請いたいだと? 存外、目の曇った小娘だ。
俺の力を見せつけ、イブにどちらがブラックナイツの団長に相応しいか思い知らせてくれる!」
「それは良きお考えかと……」
剣聖といってもまだ10代の小娘だ。
戦場にて剣を磨いてきた自分にかなう訳がない。
バランはそう考えていたのだが……
1時間後、バランは大勢の部下の前でイブにコテンパンにやられるのであった。
「ほ、本気ですか!? 団長!」
「そうだ。このフォルガナの紋章入りの剣で、今夜リディア王女を襲撃しろ!」
バランの執務室に集められた3人の騎士たちは、全員、驚きに目を剥いた。
彼らは先の剣術大会で、上位の成績をおさめた手練たちだ。そして、バランの命令にすべてイエスと答える優秀なイエスマンである。
「無論、手傷を負わせるだけだ。決して殺してはならん。本当の狙いは、分不相応にも王女殿下の婚約者となったアベルを討つことだ」
バランはリディア王女と結婚し、王になる野望を未だに持ち続けていた。
「多少、武功を上げた程度でアベルを王家に迎えるなど……国王陛下は乱心されたとしか思えん!」
バランの実家、オースティン侯爵家は王家の分家筋である。これまで積み上げてきた武功といい、自分には王女を娶る資格が十分にあるとバランは考えていた。
名門に生まれた自分は支配者であり、やがて王となるべき人間なのだ。
それをアベルに横から奪われては、黙っていられなかった。嫉妬と憎悪で、気が狂いそうな程である。
それにあの小僧は、この俺を見下し『どんな武将も運悪く戦いに敗れることがあります。これからは共に王国を守っていきましょう』などと言って来た。
とうてい許せるモノではなかった。
「アベルを討てば王女殿下も、この俺こそ、ご自分の結婚相手に相応しいと思い直すに違いない」
「……いや、さすがにそれは……」
騎士のひとりが思わずツッコミを入れそうになり、慌てて口をつぐんだ。
「この俺のような優れた人間に統治されてこそ、民も幸せというものだ」
「は、はぁ……」
配下たちが顔を見合わせているが、バランは気づかない。
バランは、自分を大勢の部下の前で叱りつけたリディア王女が膝を屈し、ぜひ妻にして欲しいと懇願してくる場面を妄想して、気を良くしていた。
リディアは生意気な小娘ではあるが、高貴さがあり、バランの好みだった。
ああいう高貴で可憐な姫を自分のモノにできると思うと、血がたぎる。
あの女は俺のモノだ。
「この剣には即効性の猛毒が塗ってある。アベルの小僧が、バフで多少強くなっていようが、当たれば数分であの世行きだ」
リッチの毒魔法がアベルを苦しめていたのを見て閃いたアイディアだ。
自分の頭の良さにバランは、策略家としての才能も感じていた。
防御力が高ければ、そもそも刃が通らないのだが……アベルの防御力がドラゴンブレスをも無効化できるレベルにあるとは、バランは思いもしていなかった。
「フォルガナの仕業に見せかけて、アベルを暗殺するのは良いのですが……リディア王女殿下に剣を向ければ、下手をすれば反逆罪に問われるのでは?」
「王女殿下には少々、灸をすえるだけだ。剣にて王国を守護してきた我らをさしおいて、魔法に長けた騎士団を新設? さらにはアベルを夫とする? 正気の沙汰とは思えんだろう!?」
「……た、確かにそれは」
剣にて真っ向から敵を粉砕する。これこそ、正統な騎士の姿であり、魔法など邪道。
その思いは、ここにいる全員が抱いているところだ。
「しかし……我らがルーンナイツに助けられたのも事実なのですが……」
部下のひとりがボソッと言うが、無視する。
あれは、たまたまというものだ。
「証拠さえ残さなければ、我らが疑われることはない。貴様らなら、例えティファが邪道だてしてきても問題あるまい?
祝勝会の後で、酒に酔ったところを狙え」
「はっ」
直立不動で、騎士たちが答える。
祝勝会ではアベルとリディア王女の婚約が発表されるということだが……
クククッ、せいぜい一夜の栄華を楽しむがいい。
この俺をコケにしてくれたことを、たっぷり後悔させてやる。
「俺は剣聖イブと、模擬戦を行おうと思う。アベルに教えを請いたいだと? 存外、目の曇った小娘だ。
俺の力を見せつけ、イブにどちらがブラックナイツの団長に相応しいか思い知らせてくれる!」
「それは良きお考えかと……」
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