パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強

こはるんるん

文字の大きさ
47 / 70
3章。バフ・マスター、Lv6覚醒

47話。【イブSIDE】剣聖、バフ・マスターの策を実行する

しおりを挟む
 剣聖の少女イブは300名のブラックナイツを率いて、川の上流にやって来ていた。
 アベルから授けられた作戦を実行するためだ。

「ここが良い。さあ、土嚢を積み上げて堤防を作る!」

 イブの号令に、鎧を脱いだ騎士たちが、川に入って堤防を作り出す。

「急いで! これは時間との勝負。うまくいったらルーンナイツとの合コンをセッティングしてあげるとのアベル殿からのお達し」

「うぉおおお! マジっすか!? がんばるっす!」

「新生ブラックナイツ、最高です!」

 若い騎士たちが、鬼のような勢いで土嚢を川に積み上げていく。

 彼らは全員、バフ・マスターでステータスを10倍に強化されていた。筋力、体力、敏捷性が4桁に達した彼らの作業効率は、人間技を超えていた。

 なにより、美少女たちと合コンできるという欲望パワーが、ブラックナイツに限界以上の力を与えていた。

「……すごい。これなら間に合いそう」
 
 イブは安堵の息を吐く。

 フォルガナ軍1万5000の兵は、夕方には王国の西を流れる川に差し掛かることが予想された。

 その時に、川の流れを堰き止めて貯めた水を一気に放出することで、水攻めを行う作戦だ。
 もっとも、これだけでフォルガナ軍を壊滅することはできない。

 敵軍が川を渡っている最中に、水流を増して敵軍を分断し、敵指揮官を討つのが狙いだ。

 敵の総大将は、『鉄壁』の異名を取る猛将ゼルギウス。彼は高い防御力を活かして先陣に立って戦うタイプの将軍だ。

 わずか500名の少女たちで構成されたルーンナイツの先頭に、次期国王のアベルがいたら、迷わず突撃してくると予想できた。

「敵の性格も考慮した見事な作戦」

 ゼルギウスはバランほど単純ではないだろうが、それでもアベル自らが囮になるなら、間違いなく釣れるだろう。
 アベルの勇敢さと、冷静な知略には頭が下がる。

 ふつう大軍に二箇所から攻め込まれたりしたら、パニックになってしまうモノだ。
 危機的状況においてこそ、その人間の真価は問われるのである。

 バランなどは窮地に陥ったら、部下を見捨てて逃げ出そうとした。

「アベル殿のような英雄の下で働けるのは武人冥利に尽きる」

「誠でごさいますな。あのお方は、まさしくシグルド様の再来」

 副団長に指名した古参の騎士が賛同した。
 
「この年まで生き長らえてきたかいが、ございましたわい」

「うん」

 イブはシグルドがアンデッドにされて、アンジェラ王女の騎士となっている事実を聞かされていたので、複雑な気分だ。

 できれば、シグルドを崇拝するこの純朴な老騎士には真実を知って欲しくないが……
 そんな甘いことも言っていられないだろう。

 それにイブは、かつて及ばなかったシグルドと再び剣を交えてみたいという欲求があった。
 高みを目指す彼女にとって、それはあがらえない気持ちである。
 
「イブ団長! 堤防ができました!」

 2時間もしないうちに、堤防が完成した。水がどんどん貯まり、下流の水嵩が引いていく。
 
「うん。みんなご苦労さま。
 数名を残して、これから森まで移動。そこで、休息を取る。後は合図を待つだけ」

 騎士たちは川から上がって、休む間もなく騎乗した。
 ブラックナイツは、合図が来たら堤防を崩し、騎馬突撃で敵の側面を突く作戦だ。それまでは姿を隠し、力を蓄えておかねばならない。
 
 待ち伏せのためのポイントに到着すると騎士たちは、さすがに疲れたのか、鎧を脱いで休み出した。

「合図でございますぞ!」

 しばらくて狼煙が上がった。
 フォルガナとの決戦が始まろうとしていた。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜

ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。 その一員であるケイド。 スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。 戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。 それでも彼はこのパーティでやって来ていた。 彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。 ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。 途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。 だが、彼自身が気付いていない能力があった。 ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。 その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。 自分は戦闘もできる。 もう荷物持ちだけではないのだと。 見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。 むしろもう自分を卑下する必要もない。 我慢しなくていいのだ。 ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。 ※小説家になろう様でも連載中

冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します

みおな
ファンタジー
 王国の公爵令嬢として、王太子殿下の婚約者として、私なりに頑張っていたつもりでした。  それなのに、聖女とやらに公爵令嬢の座も婚約者の座も奪われて、冤罪で処刑されました。  死んだはずの私が目覚めたのは・・・

処理中です...