64 / 70
4章。限界突破の外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
64話。神の意思の体現者2
しおりを挟む
「ぉおおおおおおお──ッ!」
僕はフォルガナ王ダレスに斬撃を叩き込んだ。
ぎっんッッッ!
耳をつんざく金属音。
見ればダレスの回りに出現した光の壁が、神剣グラムを弾き返していた。
「ほうっ? なかなかやるようだが、余の【対物魔法障壁(アンチ・マテリアルシェル)】の前では、物理攻撃など無意味!」
「なら、これならどうだ! 神剣グラムを強化! 【筋力】を限界突破!」
『了解』
「はぁあああああ──ッ!」
攻撃力を極限まで強化した僕は、暴風のような勢いで、剣を連続で振るう。
「ば、バカな……ッ!?」
大気を震わせる衝撃音。激しく散る火花。
やがてダレスの魔法障壁に亀裂が走って、砕け散った。
「ちぃいいいいい──ッ!?」
ダレスが地面を蹴って、距離を取る。僕の剣はその鼻先をかすめた。
「調子に乗るなぁああっ!」
追撃しようとするが、ダレスから連続で魔法の矢が放たれる。
「アベル、避けて! 【聖盾(ホーリー・シールド)】」
リディアから警告と同時に、魔法防御力を高める防御魔法が飛ぶ。
「ぐぅッッッ!?」
ダレスの魔法の矢が突き刺さった右肩から、血が噴き出した。信じられないくらいの魔力だ。
「【魔法防御力】を限界突破!」
さらに魔法の矢を連射され、僕は守りに徹する。
周囲の地面が抉れ飛んで、大穴がいくつも開いた。
こいつはヤバい。
【魔法防御力】を限界突破すれば耐えられるが。一度にふたつ以上の能力値を限界突破できないため、攻撃に転じることができない。
「真・鳳凰剣!」
ティファがダレスに向かって、魔法剣の奥義を放った。翼を広げた炎の鳥がダレスを襲う。
「この力はっ!?」
真・鳳凰剣は、ダレスの防御を破って、その身を焼いた。以前よりも、威力が上がっている。
「見たか! ティファの【恋刃(このは)】は大好きな人のために魔法剣を使うと攻撃力が数倍に跳ね上がるスキルだ!
……てっ、そうか。ティファは僕のことが、もっと好きになっているんだな」
「いやぁあああ! 解説しないでください! 恥ずかしいっ!」
ティファは顔を真っ赤にして慌てていた。
「えっ? なんで恥ずかしがる必要があるんだ?」
「なるほどな。これがバフ・マスターの力か。余の【大聖者】と同じく、神の領域に届きうる力……いささか、あなどっていたようだ」
ダレスの負った火傷がみるみる回復していく。
「だが、余の力に勝るほどではないな。クククッ。【大聖者】の能力がひとつ【HP自動回復・極】(リジェネレーション)だ。
余にはドラゴンゾンビ並の回復力が備わっておる。
この身を滅ぼすことなど、何人たりとも不可能だと知れ!」
ダレスが勝ち誇るかのように嘲笑った。
リディアとティファが気圧されたように、うめく。
「これがフォルガナ王の【大聖者】。【大聖女】とは、完全に別物じゃないの!?」
リディアの【大聖女】は神聖魔法と回復魔法の効果を3倍に高めるスキルだ。
ダレスの【大聖者】は、それに加えて複数の能力を併せ持っているらしい。
だが……
「お前を滅ぼすことは不可能? そうかな? じゃあ、なんで、こちらの攻撃を、そんな必死にかわそうとしているんだ?
その能力は心臓や頭を潰されても、復活できるのか? 身体を八つ裂きにされても?」
ダレスの笑いが止まった。
「それは試したことがないんだろう? そして、限界があることには薄々気づいている。回復にタイムラグがあるからな」
ティファが与えた火傷は、一瞬で回復したりはしなかった。
ドラゴンゾンビ同様、回復する前に殺しきれば勝てるハズだ。つまり、ダレスは決して神でも無敵でもない。
「ほぅ? 今のわずな攻防で、【HP自動回復・極】(リジェネレーション)の底を見抜いたというのか? おもしろい」
ダレスの顔から見下したような色が消え去った。
「これは久々に、全力を出して戦えそうであるな」
代わりにヤツが浮かべたのは歓喜だった。
僕はフォルガナ王ダレスに斬撃を叩き込んだ。
ぎっんッッッ!
耳をつんざく金属音。
見ればダレスの回りに出現した光の壁が、神剣グラムを弾き返していた。
「ほうっ? なかなかやるようだが、余の【対物魔法障壁(アンチ・マテリアルシェル)】の前では、物理攻撃など無意味!」
「なら、これならどうだ! 神剣グラムを強化! 【筋力】を限界突破!」
『了解』
「はぁあああああ──ッ!」
攻撃力を極限まで強化した僕は、暴風のような勢いで、剣を連続で振るう。
「ば、バカな……ッ!?」
大気を震わせる衝撃音。激しく散る火花。
やがてダレスの魔法障壁に亀裂が走って、砕け散った。
「ちぃいいいいい──ッ!?」
ダレスが地面を蹴って、距離を取る。僕の剣はその鼻先をかすめた。
「調子に乗るなぁああっ!」
追撃しようとするが、ダレスから連続で魔法の矢が放たれる。
「アベル、避けて! 【聖盾(ホーリー・シールド)】」
リディアから警告と同時に、魔法防御力を高める防御魔法が飛ぶ。
「ぐぅッッッ!?」
ダレスの魔法の矢が突き刺さった右肩から、血が噴き出した。信じられないくらいの魔力だ。
「【魔法防御力】を限界突破!」
さらに魔法の矢を連射され、僕は守りに徹する。
周囲の地面が抉れ飛んで、大穴がいくつも開いた。
こいつはヤバい。
【魔法防御力】を限界突破すれば耐えられるが。一度にふたつ以上の能力値を限界突破できないため、攻撃に転じることができない。
「真・鳳凰剣!」
ティファがダレスに向かって、魔法剣の奥義を放った。翼を広げた炎の鳥がダレスを襲う。
「この力はっ!?」
真・鳳凰剣は、ダレスの防御を破って、その身を焼いた。以前よりも、威力が上がっている。
「見たか! ティファの【恋刃(このは)】は大好きな人のために魔法剣を使うと攻撃力が数倍に跳ね上がるスキルだ!
……てっ、そうか。ティファは僕のことが、もっと好きになっているんだな」
「いやぁあああ! 解説しないでください! 恥ずかしいっ!」
ティファは顔を真っ赤にして慌てていた。
「えっ? なんで恥ずかしがる必要があるんだ?」
「なるほどな。これがバフ・マスターの力か。余の【大聖者】と同じく、神の領域に届きうる力……いささか、あなどっていたようだ」
ダレスの負った火傷がみるみる回復していく。
「だが、余の力に勝るほどではないな。クククッ。【大聖者】の能力がひとつ【HP自動回復・極】(リジェネレーション)だ。
余にはドラゴンゾンビ並の回復力が備わっておる。
この身を滅ぼすことなど、何人たりとも不可能だと知れ!」
ダレスが勝ち誇るかのように嘲笑った。
リディアとティファが気圧されたように、うめく。
「これがフォルガナ王の【大聖者】。【大聖女】とは、完全に別物じゃないの!?」
リディアの【大聖女】は神聖魔法と回復魔法の効果を3倍に高めるスキルだ。
ダレスの【大聖者】は、それに加えて複数の能力を併せ持っているらしい。
だが……
「お前を滅ぼすことは不可能? そうかな? じゃあ、なんで、こちらの攻撃を、そんな必死にかわそうとしているんだ?
その能力は心臓や頭を潰されても、復活できるのか? 身体を八つ裂きにされても?」
ダレスの笑いが止まった。
「それは試したことがないんだろう? そして、限界があることには薄々気づいている。回復にタイムラグがあるからな」
ティファが与えた火傷は、一瞬で回復したりはしなかった。
ドラゴンゾンビ同様、回復する前に殺しきれば勝てるハズだ。つまり、ダレスは決して神でも無敵でもない。
「ほぅ? 今のわずな攻防で、【HP自動回復・極】(リジェネレーション)の底を見抜いたというのか? おもしろい」
ダレスの顔から見下したような色が消え去った。
「これは久々に、全力を出して戦えそうであるな」
代わりにヤツが浮かべたのは歓喜だった。
75
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる