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3章。魔王の領地奪還作戦
22話。暗黒騎士ウォルターから忠誠を受ける
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「さすがは、カイ様なのじゃ。エルザの手下どもを、こうも簡単に倒してしまうとは!」
「【MPドレイン】を、私達3人が同時に使うことで、敵の魔力をすべて奪って無力化してしまう……カイ様の策が見事に決まりましたね」
グリゼルダたちが、俺を手放しで褒めてくれる。
「グリゼルダたちが協力してくれたおかげだ。おかげで楽に勝てた」
魔法障壁を展開している状態で襲えば、最悪、倒しきれずに逃げられる恐れがあった。
「おおっ! そう言っていただけるとは、うれしいのじゃ!」
「まさか、これ程の使い手とは……貴殿ほどの戦士と戦って負けたとなれば、悔いはなし。殺すが良い」
元騎士と名乗った男が、潔く頭を垂れた。
この男はエルザの手下だが、多少は見どころがある人物のようだ。
なにしろ……
「い、いやぁだああああッ! なんでもします! なんでもしますから、あっしは殺さねぇでくだせぇええ!」
もうひとりの男はみっともなく泣き喚いていた。
もう情報は得たので、生かしておく価値はない。
俺は魔剣の一振りで、その男をこの世から消滅させた。
そして、元騎士に向き合う。
「あっ、お待ち下さいにゃ! その騎士さんは、私を庇ってくれていたのにゃ! 妹にコッソリ、薬も渡してくれたのにゃ! 殺さないで欲しいですにゃ!」
猫耳少女が意外なことを告げてきた。
「……俺は闇属性クラス【暗黒騎士】として、不当な扱いを受けてきたからな。お前たちに多少、同情したに過ぎん」
男は自嘲気味な笑みを浮かべる。
この男も、俺と同じ闇属性クラスだったのか。
「あんた、名前は……?」
「ウォルターだ。こんな家業をしているのだ。覚悟はできている」
「エルザではなく俺に仕える気はないか、ウォルター? あんたが騎士を辞めたのは闇属性クラスであることが問題視されて、騎士団を追放されたとかじゃないのか?」
「その通りだが? 俺に仕えろとは……?」
「俺はグリゼルダの領地を奪い返したら、魔族を率いて聖王国と戦うつもりだ。ここで死ぬくらいなら、お前を冷遇した奴らに一泡吹かせてやらないか?」
「なんと……ッ!」
ウォルターは衝撃を受けたようだった。
「カイ殿は、なにゆえに聖王国に刃を向けられるのですか?」
「俺の婚約者の聖女コレットを奪い返すためだ。それを邪魔するヤツは、誰であろうと滅ぼす。その後、魔族領に、人間と魔族が共存できる理想の国を作るつもりだ。無論、闇属性クラスだと差別するようなことは許さない」
俺は魔王となることを選んだ。
なら俺の安住の地は、俺自身の手で作るしかない。
「なんとっ……! そんな国があれば、俺のような闇属性クラスの者が不当な扱いを受けることも……」
ウォルターは肩を震わせた。
そして、身の上を語ってくれた。
「俺は聖堂騎士の家系に生まれ、15歳で準騎士となりました。だが【暗黒騎士】のクラスを授かり、正騎士への叙任は永久に無くなってしまったのです。それでも3年ほど聖堂騎士団に所属していましたが、手柄を立てた途端、殺しの罪を着せられて……逃げてここに流れたのです」
ウォルターは泥を払って立ち上がる。
もう麻痺は抜けたようだった。
「実は俺が殺したとされたのは、俺の婚約者だったのです。闇属性クラスの俺が出世することを快く思わぬ者が、彼女の命を奪い、その罪を私に被せた。聖堂騎士団は……いや聖教会は腐っている!」
そうか。この男も俺とほぼ同じ境遇だったのだな。
自分を憎む者に尽くして、愛する者を奪われた。
「俺には信頼できる仲間が必要だ。ウォルター、お前の剣を俺に預けてくれないか?」
「なんと、ありがたい。はっ! 我が忠誠をカイ殿に捧げます」
片膝をついたウォルターは、剣を抜いて逆手に持つ。刃を自分の胸に当て、柄の部分を俺に向けた。
これは相手に対して忠誠を誓う騎士の『剣の誓い』の儀式だ。
「【暗黒騎士】ウォルターの忠誠。確かに受け取った」
俺はその剣を受け取って掲げ、ウォルターに返した。
ウォルターは俺の家臣となったのだ。
『エルザ一党から、荷車を強奪しました。おめでとうございます。【イヴィル・ポイント】300を獲得しました!』
「【MPドレイン】を、私達3人が同時に使うことで、敵の魔力をすべて奪って無力化してしまう……カイ様の策が見事に決まりましたね」
グリゼルダたちが、俺を手放しで褒めてくれる。
「グリゼルダたちが協力してくれたおかげだ。おかげで楽に勝てた」
魔法障壁を展開している状態で襲えば、最悪、倒しきれずに逃げられる恐れがあった。
「おおっ! そう言っていただけるとは、うれしいのじゃ!」
「まさか、これ程の使い手とは……貴殿ほどの戦士と戦って負けたとなれば、悔いはなし。殺すが良い」
元騎士と名乗った男が、潔く頭を垂れた。
この男はエルザの手下だが、多少は見どころがある人物のようだ。
なにしろ……
「い、いやぁだああああッ! なんでもします! なんでもしますから、あっしは殺さねぇでくだせぇええ!」
もうひとりの男はみっともなく泣き喚いていた。
もう情報は得たので、生かしておく価値はない。
俺は魔剣の一振りで、その男をこの世から消滅させた。
そして、元騎士に向き合う。
「あっ、お待ち下さいにゃ! その騎士さんは、私を庇ってくれていたのにゃ! 妹にコッソリ、薬も渡してくれたのにゃ! 殺さないで欲しいですにゃ!」
猫耳少女が意外なことを告げてきた。
「……俺は闇属性クラス【暗黒騎士】として、不当な扱いを受けてきたからな。お前たちに多少、同情したに過ぎん」
男は自嘲気味な笑みを浮かべる。
この男も、俺と同じ闇属性クラスだったのか。
「あんた、名前は……?」
「ウォルターだ。こんな家業をしているのだ。覚悟はできている」
「エルザではなく俺に仕える気はないか、ウォルター? あんたが騎士を辞めたのは闇属性クラスであることが問題視されて、騎士団を追放されたとかじゃないのか?」
「その通りだが? 俺に仕えろとは……?」
「俺はグリゼルダの領地を奪い返したら、魔族を率いて聖王国と戦うつもりだ。ここで死ぬくらいなら、お前を冷遇した奴らに一泡吹かせてやらないか?」
「なんと……ッ!」
ウォルターは衝撃を受けたようだった。
「カイ殿は、なにゆえに聖王国に刃を向けられるのですか?」
「俺の婚約者の聖女コレットを奪い返すためだ。それを邪魔するヤツは、誰であろうと滅ぼす。その後、魔族領に、人間と魔族が共存できる理想の国を作るつもりだ。無論、闇属性クラスだと差別するようなことは許さない」
俺は魔王となることを選んだ。
なら俺の安住の地は、俺自身の手で作るしかない。
「なんとっ……! そんな国があれば、俺のような闇属性クラスの者が不当な扱いを受けることも……」
ウォルターは肩を震わせた。
そして、身の上を語ってくれた。
「俺は聖堂騎士の家系に生まれ、15歳で準騎士となりました。だが【暗黒騎士】のクラスを授かり、正騎士への叙任は永久に無くなってしまったのです。それでも3年ほど聖堂騎士団に所属していましたが、手柄を立てた途端、殺しの罪を着せられて……逃げてここに流れたのです」
ウォルターは泥を払って立ち上がる。
もう麻痺は抜けたようだった。
「実は俺が殺したとされたのは、俺の婚約者だったのです。闇属性クラスの俺が出世することを快く思わぬ者が、彼女の命を奪い、その罪を私に被せた。聖堂騎士団は……いや聖教会は腐っている!」
そうか。この男も俺とほぼ同じ境遇だったのだな。
自分を憎む者に尽くして、愛する者を奪われた。
「俺には信頼できる仲間が必要だ。ウォルター、お前の剣を俺に預けてくれないか?」
「なんと、ありがたい。はっ! 我が忠誠をカイ殿に捧げます」
片膝をついたウォルターは、剣を抜いて逆手に持つ。刃を自分の胸に当て、柄の部分を俺に向けた。
これは相手に対して忠誠を誓う騎士の『剣の誓い』の儀式だ。
「【暗黒騎士】ウォルターの忠誠。確かに受け取った」
俺はその剣を受け取って掲げ、ウォルターに返した。
ウォルターは俺の家臣となったのだ。
『エルザ一党から、荷車を強奪しました。おめでとうございます。【イヴィル・ポイント】300を獲得しました!』
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