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3章。魔王の領地奪還作戦
24話。ミスリル鉱山を奪還する
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「開門! 大変なことが起こった!」
「はぅううううッ! 早く開けてくださいにゃあああ!」
メルティの引く荷車に乗って、俺たちはミスリル鉱山までやってきた。
幌があることに加えて、月が出て暗くなっているため、荷台にいる俺たちの姿は敵からは見えない。
「どうした? なにがあった!?」
「野盗に襲われて、エドガーたちが殺されたのだ!」
「なにぃいいい!? 俺たちに楯突くヤツがいるだと? どこのどいつだ!?」
ミスリル鉱山は、丸太で作られた城柵に覆われていた。
物見櫓も立てられており、これはちょっとした砦だな。
その堅固な門が、なんの疑いも無く開かれる。
「それは……俺たちだ!」
俺とグリゼルダは中に入ったと同時に、周囲に【黒雷(くろいかずち)】を放った。
「がっ!?」
なにごとかと集まってきていたエルザの手下どもが、麻痺して地面に倒れる。
「わらわはこの地の正当なる支配者、吸血姫グリゼルダなるぞ! 魔王カイ様の助力を得て、みなを解放しに来たのじゃ!」
グリゼルダが大声で叫んだ。
この時を待ち望んでいた彼女の声には、力がみなぎっている。
「聞け! 不当なる侵略者ども、貴様らの栄華もここまでじゃ!」
「なんと、グリゼルダ様だぁ! 姫様が助けに来てくれたぞ!」
遠くに見える収容所から、魔族たちの歓声が上がった。
「はぁ!? グリゼルダ、魔王だと!?」
敵は動揺している。今が好機だ。
「俺が魔王カイだ! この砦は、数千のアンデッド軍団に包囲されているぞ!」
門を制圧した俺は、暗がりに伏せていた300体のアンデッドを喚んだ。
武器を手にした聖堂騎士たちの成れの果てが、一斉に突入してくる。
「ひぎゃあああ!? なんて数のアンデッドだ!?」
「数千だとッ!?」
敵は狙い通り、大混乱に陥った。
アンデッドは人間の本能的な恐怖を刺激する。暗いこともあって、どれほどの数に攻められているかわからないことも混乱に拍車をかけた。
「地獄の底より来たれ、アークデーモン!」
「承知ッ!」
さらに物見櫓の真上に、アークデーモンを召喚した。
物見櫓から弓で俺を狙っていた敵がいたが、アークデーモンの剛腕に粉砕される。その衝撃に、物見櫓が倒れて大勢の敵を下敷きにした。
「あ、あれは、アークデーモンだと……!?」
「マスターに逆らう愚か者ども。全員、地獄に叩き落してくれよう」
血に飢えたような声を出すアークデーモンに、敵は震え上がった。
アークデーモンは、口から火炎の奔流を吐き出す。火災が発生して、さらに敵の恐怖と混乱を煽った。
奇襲は大成功だ。
「ウォルター、サーシャ、ここは任せた。グリゼルダ、メルティ、魔族の収容所に行くぞ。みんなを解放するんだ!」
「はっ、カイ様、ご武運を!」
「はい、ですにゃ。メルティが案内しますにゃ!」
「うむ。みんなを助けるのじゃ!」
暴れまくるアンデッド軍団と派手なアークデーモンに注目が集まっている中、俺たちは収容所に急ぐ。
収容所は魔族たちが逃げられないように、神聖な結界で覆われていた。
「クソッ、てめぇらは!?」
「来い、魔剣ティルフィング!」
俺は見張りごと、神聖結界に魔剣の黒炎を叩き込む。
すさまじい衝撃と共に、聖なる輝きが消え失せた。
「さすがは、カイ様なのじゃ。道を開けい!」
グリゼルダが集まってきた敵に、魔法で生み出した巨大な火球を投げつける。
「どぁあああああッ!?」
「カイ様の力で強化されたわらわは無敵なのじゃ!」
敵を蹴散らして、グリゼルダは勝ち誇った。
「おふたりとも、すごいですにゃ! てっ、メルティも!?」
メルティも敵をぶっ飛ばして、自身の力に驚いていた。【魔王軍の幹部】のクラスを与えられて強化された能力の感覚を、まだ掴めていないようだ。
扉を蹴って突入すると、痩せこけた魔族たちがいた。
「お、おおうっ……グ、グリゼルダ様!?」
グリゼルダの元家臣と思わしき魔族が、感激に声を震わせる。
「みんな無事であったか!? こちらが新たなる魔王カイ様じゃ!」
「メルティお姉ちゃん!? ゴボッ、ゴボッ……」
「メルル、もう大丈夫にゃ! 魔王様とグリゼルダ様が来てくれたにゃ!」
メルティが妹のところにすっ飛んで行く。咳き込む妹の背中を、さすってやっていた。
「なんと、魔王様ですと……!?」
「みんな、もう大丈夫だ【ダーク・ヒール】」
俺はここに至るまでに、闇の回復魔法を詠唱していた。
すべての魔族に効果が行き渡るように、効果範囲を拡大させて放つ。
「おおっ、こ、これは……!」
「お姉ちゃん、喉が痛くないよ!?」
魔族たちの体力が全快し、病気や怪我も良くなったようだ。【ダーク・ヒール】は、魔族に対して効果てきめんだった。
「なんという絶大な闇の魔力であるか!? し、しかし……!」
だが、俺が人間であるためか、魔族の何人かは懐疑的な目を向けてきた。
ここで、ウダウダ問答している時間はない。
「俺が言いたいことはひとつだ……この地を戦って取り戻せ! 俺が先頭に立つ!」
俺が魔剣を掲げて叫ぶと、鬨の声が上がった。
「みなの者、魔王カイ様に続くのじゃ!」
「うっ、うぉおおおおお! 魔王様、バンザイ!」
「俺は魔王様について行くぞ!」
元気を取り戻した魔族たちは、手枷足枷を引き千切る。神聖結界が、彼らの能力値もダウンさせていたが、その枷からも解放されたのだ。
「エルザ一党は残らず、叩き潰すぞ!」
俺の後ろに大勢の魔族が続いた。俺が魔族の軍団を手に入れた瞬間だった。
「はぅううううッ! 早く開けてくださいにゃあああ!」
メルティの引く荷車に乗って、俺たちはミスリル鉱山までやってきた。
幌があることに加えて、月が出て暗くなっているため、荷台にいる俺たちの姿は敵からは見えない。
「どうした? なにがあった!?」
「野盗に襲われて、エドガーたちが殺されたのだ!」
「なにぃいいい!? 俺たちに楯突くヤツがいるだと? どこのどいつだ!?」
ミスリル鉱山は、丸太で作られた城柵に覆われていた。
物見櫓も立てられており、これはちょっとした砦だな。
その堅固な門が、なんの疑いも無く開かれる。
「それは……俺たちだ!」
俺とグリゼルダは中に入ったと同時に、周囲に【黒雷(くろいかずち)】を放った。
「がっ!?」
なにごとかと集まってきていたエルザの手下どもが、麻痺して地面に倒れる。
「わらわはこの地の正当なる支配者、吸血姫グリゼルダなるぞ! 魔王カイ様の助力を得て、みなを解放しに来たのじゃ!」
グリゼルダが大声で叫んだ。
この時を待ち望んでいた彼女の声には、力がみなぎっている。
「聞け! 不当なる侵略者ども、貴様らの栄華もここまでじゃ!」
「なんと、グリゼルダ様だぁ! 姫様が助けに来てくれたぞ!」
遠くに見える収容所から、魔族たちの歓声が上がった。
「はぁ!? グリゼルダ、魔王だと!?」
敵は動揺している。今が好機だ。
「俺が魔王カイだ! この砦は、数千のアンデッド軍団に包囲されているぞ!」
門を制圧した俺は、暗がりに伏せていた300体のアンデッドを喚んだ。
武器を手にした聖堂騎士たちの成れの果てが、一斉に突入してくる。
「ひぎゃあああ!? なんて数のアンデッドだ!?」
「数千だとッ!?」
敵は狙い通り、大混乱に陥った。
アンデッドは人間の本能的な恐怖を刺激する。暗いこともあって、どれほどの数に攻められているかわからないことも混乱に拍車をかけた。
「地獄の底より来たれ、アークデーモン!」
「承知ッ!」
さらに物見櫓の真上に、アークデーモンを召喚した。
物見櫓から弓で俺を狙っていた敵がいたが、アークデーモンの剛腕に粉砕される。その衝撃に、物見櫓が倒れて大勢の敵を下敷きにした。
「あ、あれは、アークデーモンだと……!?」
「マスターに逆らう愚か者ども。全員、地獄に叩き落してくれよう」
血に飢えたような声を出すアークデーモンに、敵は震え上がった。
アークデーモンは、口から火炎の奔流を吐き出す。火災が発生して、さらに敵の恐怖と混乱を煽った。
奇襲は大成功だ。
「ウォルター、サーシャ、ここは任せた。グリゼルダ、メルティ、魔族の収容所に行くぞ。みんなを解放するんだ!」
「はっ、カイ様、ご武運を!」
「はい、ですにゃ。メルティが案内しますにゃ!」
「うむ。みんなを助けるのじゃ!」
暴れまくるアンデッド軍団と派手なアークデーモンに注目が集まっている中、俺たちは収容所に急ぐ。
収容所は魔族たちが逃げられないように、神聖な結界で覆われていた。
「クソッ、てめぇらは!?」
「来い、魔剣ティルフィング!」
俺は見張りごと、神聖結界に魔剣の黒炎を叩き込む。
すさまじい衝撃と共に、聖なる輝きが消え失せた。
「さすがは、カイ様なのじゃ。道を開けい!」
グリゼルダが集まってきた敵に、魔法で生み出した巨大な火球を投げつける。
「どぁあああああッ!?」
「カイ様の力で強化されたわらわは無敵なのじゃ!」
敵を蹴散らして、グリゼルダは勝ち誇った。
「おふたりとも、すごいですにゃ! てっ、メルティも!?」
メルティも敵をぶっ飛ばして、自身の力に驚いていた。【魔王軍の幹部】のクラスを与えられて強化された能力の感覚を、まだ掴めていないようだ。
扉を蹴って突入すると、痩せこけた魔族たちがいた。
「お、おおうっ……グ、グリゼルダ様!?」
グリゼルダの元家臣と思わしき魔族が、感激に声を震わせる。
「みんな無事であったか!? こちらが新たなる魔王カイ様じゃ!」
「メルティお姉ちゃん!? ゴボッ、ゴボッ……」
「メルル、もう大丈夫にゃ! 魔王様とグリゼルダ様が来てくれたにゃ!」
メルティが妹のところにすっ飛んで行く。咳き込む妹の背中を、さすってやっていた。
「なんと、魔王様ですと……!?」
「みんな、もう大丈夫だ【ダーク・ヒール】」
俺はここに至るまでに、闇の回復魔法を詠唱していた。
すべての魔族に効果が行き渡るように、効果範囲を拡大させて放つ。
「おおっ、こ、これは……!」
「お姉ちゃん、喉が痛くないよ!?」
魔族たちの体力が全快し、病気や怪我も良くなったようだ。【ダーク・ヒール】は、魔族に対して効果てきめんだった。
「なんという絶大な闇の魔力であるか!? し、しかし……!」
だが、俺が人間であるためか、魔族の何人かは懐疑的な目を向けてきた。
ここで、ウダウダ問答している時間はない。
「俺が言いたいことはひとつだ……この地を戦って取り戻せ! 俺が先頭に立つ!」
俺が魔剣を掲げて叫ぶと、鬨の声が上がった。
「みなの者、魔王カイ様に続くのじゃ!」
「うっ、うぉおおおおお! 魔王様、バンザイ!」
「俺は魔王様について行くぞ!」
元気を取り戻した魔族たちは、手枷足枷を引き千切る。神聖結界が、彼らの能力値もダウンさせていたが、その枷からも解放されたのだ。
「エルザ一党は残らず、叩き潰すぞ!」
俺の後ろに大勢の魔族が続いた。俺が魔族の軍団を手に入れた瞬間だった。
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