46 / 46
5章。最終決戦。勇者の最期
46話。エピローグ。グリゼルダの誓い
しおりを挟む
【吸血姫グリゼルダ視点】
祝福の鐘の音と紙吹雪が、魔王城のバルコニーから降り注いでおる。
今日はカイ様とコレットの結婚式じゃ。
正装に身を包んだカイ様は、輝く程にカッコ良かった。
カイ様に従う魔族たちだけでなく、聖王国から聖王とアンジェリカ王女まで来賓としてやってきておる。
実に、めでたい。実にめでたいのじゃが……
「ぐぅうおぉおおおん! サーシャアァアア!」
「ああっ、よしよし、グリゼルダ様。吸血鬼である私たちの寿命は長いのです。きっとグリゼルダ様にも、今後、素敵な男性が現れますよ」
「そんな訳なかろう! カイ様以上の男など、未来永劫現れんのじゃ!」
わらわは会場の隅っこで、号泣していた。
「……それは確かにそうですが」
カイ様はわらわにとって初恋の男性じゃった。
周りの者たちは、わらわが嬉し泣きしていると思っておる。
「わかりました。今はとにかく、泣きましょう。泣いて、気持ちをスッキリさせるしかありません」
サーシャが、わらわの頭を撫でて慰めてくれる。
「カイ様! カイ様に従わないオークどもを服従させて来ました。私に私に、領地を下さい!」
「エルザ、ご苦労だった。じゃあ次は、西にいる火竜王アドラヌスを退治してきてくれないか?」
「はぁあああ!? いや、ちょっと、アレをまさか1人でぇえええ!?」
エルザが、カイ様に無理難題を吹っかけられて絶句しておる。
カイ様を魔王と認めない魔族を従属させるために、エルザは働かされていたのじゃ。
戦場からトンボ返りのエルザは、ひとりだけ軍装で浮きまくっていた。
「カイ、おめでたい日なんだから、彼女も休ませてあげたら……?」
「やったぁ! 奥方様、そうだよね!? という訳で、カイ様、ぜひ領地を!」
「まだグリゼルダの家臣たちは、エリザを許していない。もっと手柄をあげてからだな」
「はぅうううッ!?」
エルザはコレットに取り入ることで、魔王軍での地位を得ようとしているようじゃった。
抜け目の無い娘じゃな。
しかし、カイ様はエルザを信用していないので、手厳しい。
「だが、働きは見事だった。今日は休んで良いぞ。いずれ領地をやるから、励んでくれ」
「はぃいいいッ! やったぁ!」
エルザは言質を取ると、スキップせんばかりに喜んで離れて行く。
「いずれですか……ふふふっ、カイ様もお人が悪いですね。いつになることやら」
サーシャは微笑ししつ、酒をわらわに注いでくれた。
含みのある言い方じゃが。もしや、エリザが領地を与えられるのは100年後とかかの……?
「では、グリゼルダ様! 今日は、とことん飲みましょう!」
「うむ……ッ!」
カイ様の幸せが、わらわの幸せじゃ。
わらわが奪われた大切なモノを、カイ様はすべて取り返してくれた。
カイ様が現れなかったら、わらわは勇者アレスにサーシャともどもなぶり殺しにされていたじゃろう。
なにより、カイ様は、わらわを大切な存在だと言ってくれた。
その一言が、どれほど嬉しかったことか……
胸に響いたことか……
何があろうとも、わらわはカイ様に付いて行くのじゃ。
そう誓って、わらわはやるせない気持ちと一緒に酒をあおった。
『魔王グリゼルダ。お前こそ真の魔王』
その時、わらわの頭の中に、不思議な声が響いた。
「……誰じゃ?」
周りを見回すが、声の主らしき者は見つからない。
『お前が望むなら、お前が欲するモノを手に入れる力をくれてやろう。聖女コレットを討ち、愛しい男を自分のモノにしたくないか?』
「……なんじゃと?」
こやつ、何者じゃ?
わらわが真の魔王とは、何の冗談じゃ?
信じられぬことに、カイ様がやってきた未来では、わらわが魔王になってたそうじゃが……
「グリゼルダ様、どうなさいましたか? もう酔われたのですかぁああ?」
意外と酒に弱いサーシャは、もう呂律が回らなくなっておる。
『お前が魔王となれば、その望みが叶うぞ。さあ、我と契約を……』
「ふんッ! 誰だか知らぬが断るのじゃ。わらわは魔王カイ様の四天王がひとり。そのカイ様をさしおいて魔王になるなんぞ、あり得んのじゃ!」
『……』
「それに、コレットを討つなどもってのほかじゃ。そんなことをすれば、カイ様が嘆き悲しむじゃろう。失せるが良い!」
わららが強く拒絶すると、声は聞こえなくなった。
はて、なんだったのじゃろう……?
「それでは、誓いのキスを……!」
ちょうど式はクライマックスとなり、カイ様はコレットと口付けを交わすこととなった。
ふたりはとても幸せそうじゃった。
わらわの胸がズキンと痛む。
……じゃが、これで良い。
この先、いかなることがあろうとも。
わらわはカイ様の家臣として、お仕えし続けるのじゃ。
カイ様の幸せこそ、わらわの幸せであるが故に……
※※※
やがてカイは世界を統べる史上最強の魔王となっていく。
カイには、その覇業を助けた四天王がいた。
グリゼルダは四天王筆頭として、いついかなる時も先頭に立ち、魔王カイのために戦い続けたという。
祝福の鐘の音と紙吹雪が、魔王城のバルコニーから降り注いでおる。
今日はカイ様とコレットの結婚式じゃ。
正装に身を包んだカイ様は、輝く程にカッコ良かった。
カイ様に従う魔族たちだけでなく、聖王国から聖王とアンジェリカ王女まで来賓としてやってきておる。
実に、めでたい。実にめでたいのじゃが……
「ぐぅうおぉおおおん! サーシャアァアア!」
「ああっ、よしよし、グリゼルダ様。吸血鬼である私たちの寿命は長いのです。きっとグリゼルダ様にも、今後、素敵な男性が現れますよ」
「そんな訳なかろう! カイ様以上の男など、未来永劫現れんのじゃ!」
わらわは会場の隅っこで、号泣していた。
「……それは確かにそうですが」
カイ様はわらわにとって初恋の男性じゃった。
周りの者たちは、わらわが嬉し泣きしていると思っておる。
「わかりました。今はとにかく、泣きましょう。泣いて、気持ちをスッキリさせるしかありません」
サーシャが、わらわの頭を撫でて慰めてくれる。
「カイ様! カイ様に従わないオークどもを服従させて来ました。私に私に、領地を下さい!」
「エルザ、ご苦労だった。じゃあ次は、西にいる火竜王アドラヌスを退治してきてくれないか?」
「はぁあああ!? いや、ちょっと、アレをまさか1人でぇえええ!?」
エルザが、カイ様に無理難題を吹っかけられて絶句しておる。
カイ様を魔王と認めない魔族を従属させるために、エルザは働かされていたのじゃ。
戦場からトンボ返りのエルザは、ひとりだけ軍装で浮きまくっていた。
「カイ、おめでたい日なんだから、彼女も休ませてあげたら……?」
「やったぁ! 奥方様、そうだよね!? という訳で、カイ様、ぜひ領地を!」
「まだグリゼルダの家臣たちは、エリザを許していない。もっと手柄をあげてからだな」
「はぅうううッ!?」
エルザはコレットに取り入ることで、魔王軍での地位を得ようとしているようじゃった。
抜け目の無い娘じゃな。
しかし、カイ様はエルザを信用していないので、手厳しい。
「だが、働きは見事だった。今日は休んで良いぞ。いずれ領地をやるから、励んでくれ」
「はぃいいいッ! やったぁ!」
エルザは言質を取ると、スキップせんばかりに喜んで離れて行く。
「いずれですか……ふふふっ、カイ様もお人が悪いですね。いつになることやら」
サーシャは微笑ししつ、酒をわらわに注いでくれた。
含みのある言い方じゃが。もしや、エリザが領地を与えられるのは100年後とかかの……?
「では、グリゼルダ様! 今日は、とことん飲みましょう!」
「うむ……ッ!」
カイ様の幸せが、わらわの幸せじゃ。
わらわが奪われた大切なモノを、カイ様はすべて取り返してくれた。
カイ様が現れなかったら、わらわは勇者アレスにサーシャともどもなぶり殺しにされていたじゃろう。
なにより、カイ様は、わらわを大切な存在だと言ってくれた。
その一言が、どれほど嬉しかったことか……
胸に響いたことか……
何があろうとも、わらわはカイ様に付いて行くのじゃ。
そう誓って、わらわはやるせない気持ちと一緒に酒をあおった。
『魔王グリゼルダ。お前こそ真の魔王』
その時、わらわの頭の中に、不思議な声が響いた。
「……誰じゃ?」
周りを見回すが、声の主らしき者は見つからない。
『お前が望むなら、お前が欲するモノを手に入れる力をくれてやろう。聖女コレットを討ち、愛しい男を自分のモノにしたくないか?』
「……なんじゃと?」
こやつ、何者じゃ?
わらわが真の魔王とは、何の冗談じゃ?
信じられぬことに、カイ様がやってきた未来では、わらわが魔王になってたそうじゃが……
「グリゼルダ様、どうなさいましたか? もう酔われたのですかぁああ?」
意外と酒に弱いサーシャは、もう呂律が回らなくなっておる。
『お前が魔王となれば、その望みが叶うぞ。さあ、我と契約を……』
「ふんッ! 誰だか知らぬが断るのじゃ。わらわは魔王カイ様の四天王がひとり。そのカイ様をさしおいて魔王になるなんぞ、あり得んのじゃ!」
『……』
「それに、コレットを討つなどもってのほかじゃ。そんなことをすれば、カイ様が嘆き悲しむじゃろう。失せるが良い!」
わららが強く拒絶すると、声は聞こえなくなった。
はて、なんだったのじゃろう……?
「それでは、誓いのキスを……!」
ちょうど式はクライマックスとなり、カイ様はコレットと口付けを交わすこととなった。
ふたりはとても幸せそうじゃった。
わらわの胸がズキンと痛む。
……じゃが、これで良い。
この先、いかなることがあろうとも。
わらわはカイ様の家臣として、お仕えし続けるのじゃ。
カイ様の幸せこそ、わらわの幸せであるが故に……
※※※
やがてカイは世界を統べる史上最強の魔王となっていく。
カイには、その覇業を助けた四天王がいた。
グリゼルダは四天王筆頭として、いついかなる時も先頭に立ち、魔王カイのために戦い続けたという。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~
仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。 そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。
しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。
ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。
武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」 登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。
これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
主人公が強くて痛快なザマァがいくつもあって非常に楽しく読ませて頂いております!今後も楽しみにしてます、頑張って下さい!