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09 はじまりのはじまり
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むかし、むかし。
この世界の神は、ある少女に一目惚れをしました。
森の中の神殿に住む少女は、神と同じ薄い金色の髪を持ち、瞳はエメラルドグリーンに輝いていました。
祭壇で神に祈る姿は、可憐で美しく目が離せません。
性格も優しく、いつも笑顔で人々を和ませつつ、時には熱い正義感に溢れていたのです。
少女が17歳になると、神は“まじない”をかけました。
――自分と同じように年を取らないように。
――その美しさをずっと保つように。
神はいつまでも、少女の美しさを見ていたいと思ったのです。
そうとは知らない少女。
10年が経ち、20年が経ち、30年が経っても一向に姿を変えない少女に神殿の者達は、奇跡だと讃えました。
少女からは笑顔がなくなり、日に日に痩せていきました。
老いないのは、自分が何か罪をおかしたのではないかと考えるようになったのです。
その姿に、神は大層嘆き、少女の元に降りて直接話をしたのです。
「私が願ってやったこと。そなたには罪はない」
少女は突然現れた神に驚き、そしてその“まじない”を解いてくれるように懇願しましたが、神は受け入れてくれません。
それどころか「そなたは私の花嫁になった」と言う始末。
「神の花嫁」として、ずっと、ずっと、傍にいて欲しいというのです。
少女は恐怖で慄きました。
すでに、少女は人間ではなく「神の花嫁」にされていたのです。
「神の花嫁」とは、孤独な心を癒すため神が生涯に一度だけかける事の出来る“神自身の祝福”。
神の選んだ者を、神と同じだけ生きられるよう、その者の時を止めたのでした。
もはや“人間”で無くなった少女のいいようのない悲傷に涙が溢れ、泣いて暮らす日々が続きます。
自ら命を経とうとしましたが、身体に傷一つ負えませんでした。
絶望する少女に、神は毎日会いに来ました。
魔物によって世界のバランスを崩したはじめた時の頃。
神は世界の均等の為に力を使い果たし、数年の間少女の元に訪れられなくなりました。
魔物の勢力におされていた国は“異世界から勇者を召喚する”という話で持ちきりでした。
『異世界』その言葉は少女の心に残りました。
それから数年後、世界は勇者によって救われたのです。
ある日、少女は神官達の噂話を耳にしました。
森を抜けた城で、明日に勇者を異世界に“送還”するので、お祭り騒ぎだと。
(異世界に行けば神の影響下から逃れられかもしれない)
少女は、直様、森を抜け城を目指しました。
城を護っていた門番は少女の美しさに心奪われました。
それに、少女は最上級の神官の服を着ていましたので簡単に城の中にいれてくれたのです。
城の中は、賑わいをみせ人が沢山いました。
人々の噂話で送還する場所を知った少女は、その場に潜り込んで一晩過ごしました。
次の日。
儀式が滞りなく行われ、光が勇者を包んだ瞬間、少女はその光の中に飛び込みました。
偶然にたどり着いた先は、命の灯火が消える直前の赤ん坊の中。
この世界では“異世界人”だった少女は、食べ物が合わずにガリガリに痩せていました。
両親はとても心配しましたが、ある食べ物が元に居た世界の食べ物と合致したのでしょう。その栄養素のお陰で少女は生き延びる事ができました。
従来の少女だった時の美しさとは、正反対といっていい容姿になった少女――ナオ。
“山田奈央”となった少女は幸せでした。
山田奈央としての約17年間は「神の花嫁」として生きた数十年よりも価値があったのです。
神の花嫁だった時の記憶は早々と封印し、このままこの世界で生涯を迎える。
そんな事を夢見ていました。
しかし、ナオの夢は叶えられませんでした。
花嫁がいない事に気付いた神によって、再び元の世界に戻されることになったのです。
――アイリという少女を巻き込んで。
この世界の神は、ある少女に一目惚れをしました。
森の中の神殿に住む少女は、神と同じ薄い金色の髪を持ち、瞳はエメラルドグリーンに輝いていました。
祭壇で神に祈る姿は、可憐で美しく目が離せません。
性格も優しく、いつも笑顔で人々を和ませつつ、時には熱い正義感に溢れていたのです。
少女が17歳になると、神は“まじない”をかけました。
――自分と同じように年を取らないように。
――その美しさをずっと保つように。
神はいつまでも、少女の美しさを見ていたいと思ったのです。
そうとは知らない少女。
10年が経ち、20年が経ち、30年が経っても一向に姿を変えない少女に神殿の者達は、奇跡だと讃えました。
少女からは笑顔がなくなり、日に日に痩せていきました。
老いないのは、自分が何か罪をおかしたのではないかと考えるようになったのです。
その姿に、神は大層嘆き、少女の元に降りて直接話をしたのです。
「私が願ってやったこと。そなたには罪はない」
少女は突然現れた神に驚き、そしてその“まじない”を解いてくれるように懇願しましたが、神は受け入れてくれません。
それどころか「そなたは私の花嫁になった」と言う始末。
「神の花嫁」として、ずっと、ずっと、傍にいて欲しいというのです。
少女は恐怖で慄きました。
すでに、少女は人間ではなく「神の花嫁」にされていたのです。
「神の花嫁」とは、孤独な心を癒すため神が生涯に一度だけかける事の出来る“神自身の祝福”。
神の選んだ者を、神と同じだけ生きられるよう、その者の時を止めたのでした。
もはや“人間”で無くなった少女のいいようのない悲傷に涙が溢れ、泣いて暮らす日々が続きます。
自ら命を経とうとしましたが、身体に傷一つ負えませんでした。
絶望する少女に、神は毎日会いに来ました。
魔物によって世界のバランスを崩したはじめた時の頃。
神は世界の均等の為に力を使い果たし、数年の間少女の元に訪れられなくなりました。
魔物の勢力におされていた国は“異世界から勇者を召喚する”という話で持ちきりでした。
『異世界』その言葉は少女の心に残りました。
それから数年後、世界は勇者によって救われたのです。
ある日、少女は神官達の噂話を耳にしました。
森を抜けた城で、明日に勇者を異世界に“送還”するので、お祭り騒ぎだと。
(異世界に行けば神の影響下から逃れられかもしれない)
少女は、直様、森を抜け城を目指しました。
城を護っていた門番は少女の美しさに心奪われました。
それに、少女は最上級の神官の服を着ていましたので簡単に城の中にいれてくれたのです。
城の中は、賑わいをみせ人が沢山いました。
人々の噂話で送還する場所を知った少女は、その場に潜り込んで一晩過ごしました。
次の日。
儀式が滞りなく行われ、光が勇者を包んだ瞬間、少女はその光の中に飛び込みました。
偶然にたどり着いた先は、命の灯火が消える直前の赤ん坊の中。
この世界では“異世界人”だった少女は、食べ物が合わずにガリガリに痩せていました。
両親はとても心配しましたが、ある食べ物が元に居た世界の食べ物と合致したのでしょう。その栄養素のお陰で少女は生き延びる事ができました。
従来の少女だった時の美しさとは、正反対といっていい容姿になった少女――ナオ。
“山田奈央”となった少女は幸せでした。
山田奈央としての約17年間は「神の花嫁」として生きた数十年よりも価値があったのです。
神の花嫁だった時の記憶は早々と封印し、このままこの世界で生涯を迎える。
そんな事を夢見ていました。
しかし、ナオの夢は叶えられませんでした。
花嫁がいない事に気付いた神によって、再び元の世界に戻されることになったのです。
――アイリという少女を巻き込んで。
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