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―― 神の花嫁05
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「!!!」
魔術師の言葉に、ナオは戸惑いを隠せません。召喚時にナオはもう元の世界には戻れないと言われていたのです。
ナオの言いたいことに気付いた魔術師は、果敢無げな表情をして話を続けました。
「それは、花嫁を還さない為の虚実です」
ナオは気付きました。かつて、勇者が送還されていた事を。それに乗って異世界に行った事を。
「でも、送還は成功するのでしょうか? 私が送還された時は、魂だけになって赤ちゃんに宿ったみたいなんですが……アイリ様もそうはならないとは……」
ナオの疑問に答えたのは神でした。
「愛しの花嫁。そなたは私の花嫁ということもあり生命力が強すぎたのだ。そなたの強すぎる力をあの世界の者の生命力と同等の力に合わせると“魂”くらいの大きさになったのだろう。でも、魂だけでは生きられぬ。偶然にもその時に命の灯火が消えかかった赤子にそなたの魂が宿った。…その少女の場合、人間の力程度しかない。大丈夫であろう」
神とナオの話を聞いていた、宰相が恐る恐る、神に問いかけました。
「神の花嫁の加護を失ったとはいえ、加護をもっていた少女です。そのアイリをこの国から消して、我が国は大丈夫なのでしょうか?」
「本物の花嫁がみつかった今、もはやあの呪いはとけた。もう、召喚をする事もなかろう。……今まで、ご苦労であった」
はぁ。
宰相達から、安堵ともいえないため息がでました。
この国に何百年も前から続いていました“神の花嫁の召喚の儀”が、終りを告げられたのです。
神から直接お言葉をいただくという、確かな方法によって。
その感慨深い雰囲気を壊す元気な声をあげたのはナオでした。
「じゃあ、私も! 私も! アイリ様と一緒に帰りたいです!」
姿勢よく右手を真っ直ぐ空に向けて上げて、瞳は期待できらきらと輝いています。
しかし、そんなナオの様子に、その場にいる…神は勿論の事ですが、魔術師、王子達の顔色まで変わりました。
「ダメに決まっておろう! そなたは、私の愛しの花嫁なんだぞ!」
「だって!! 私はもう、あなたの花嫁じゃない。いや、元々違うけど……そうじゃなくて……もう、私は、山田奈央なの! 向こうに大事な両親もいるし、友達もいて……帰れるなら帰りたい…。お父さん、お母さん……私がいなくてどんなに……泣いているか……」
美しいナオの瞳から、大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちます。
ナオは両手で顔を覆い、そのまま座り込んでしまいました。
ヒック
ヒック
その姿に神はオロオロするばかり。
魔術師はナオの傍に行き膝をついて、恐る恐るとですがナオの頭を撫でました。
「ナオ様……僕は、ナオ様がいなくなるのは……死ぬ程辛いです」
「魔術師様……。でも、私、帰りたいのです……」
魔術師に良い所をとられた神は負けずと、ナオに言います。
「花嫁……そなたは帰れぬ。再度、同じことをしても、また“魂”だけ送還され、別の赤子にはいる事になるか、最悪の場合、魂だけが空を彷徨う事となる」
「………っ」
神は、ナオの顔を見ました。その顔は「ドヤァ」という風で、ナオの神経を逆撫でにします。
勢い良く立ち上あったナオは、正座の神の頬めがけて――
「もとはといえば、貴方のせいなのにーー!!」
バチンッ!!
平手を打ちをしたのでした。
ナオの暴挙に魔術師たちは青ざめますが、神の恍惚とした表情に思わず目を逸らすのでした。
魔術師の言葉に、ナオは戸惑いを隠せません。召喚時にナオはもう元の世界には戻れないと言われていたのです。
ナオの言いたいことに気付いた魔術師は、果敢無げな表情をして話を続けました。
「それは、花嫁を還さない為の虚実です」
ナオは気付きました。かつて、勇者が送還されていた事を。それに乗って異世界に行った事を。
「でも、送還は成功するのでしょうか? 私が送還された時は、魂だけになって赤ちゃんに宿ったみたいなんですが……アイリ様もそうはならないとは……」
ナオの疑問に答えたのは神でした。
「愛しの花嫁。そなたは私の花嫁ということもあり生命力が強すぎたのだ。そなたの強すぎる力をあの世界の者の生命力と同等の力に合わせると“魂”くらいの大きさになったのだろう。でも、魂だけでは生きられぬ。偶然にもその時に命の灯火が消えかかった赤子にそなたの魂が宿った。…その少女の場合、人間の力程度しかない。大丈夫であろう」
神とナオの話を聞いていた、宰相が恐る恐る、神に問いかけました。
「神の花嫁の加護を失ったとはいえ、加護をもっていた少女です。そのアイリをこの国から消して、我が国は大丈夫なのでしょうか?」
「本物の花嫁がみつかった今、もはやあの呪いはとけた。もう、召喚をする事もなかろう。……今まで、ご苦労であった」
はぁ。
宰相達から、安堵ともいえないため息がでました。
この国に何百年も前から続いていました“神の花嫁の召喚の儀”が、終りを告げられたのです。
神から直接お言葉をいただくという、確かな方法によって。
その感慨深い雰囲気を壊す元気な声をあげたのはナオでした。
「じゃあ、私も! 私も! アイリ様と一緒に帰りたいです!」
姿勢よく右手を真っ直ぐ空に向けて上げて、瞳は期待できらきらと輝いています。
しかし、そんなナオの様子に、その場にいる…神は勿論の事ですが、魔術師、王子達の顔色まで変わりました。
「ダメに決まっておろう! そなたは、私の愛しの花嫁なんだぞ!」
「だって!! 私はもう、あなたの花嫁じゃない。いや、元々違うけど……そうじゃなくて……もう、私は、山田奈央なの! 向こうに大事な両親もいるし、友達もいて……帰れるなら帰りたい…。お父さん、お母さん……私がいなくてどんなに……泣いているか……」
美しいナオの瞳から、大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちます。
ナオは両手で顔を覆い、そのまま座り込んでしまいました。
ヒック
ヒック
その姿に神はオロオロするばかり。
魔術師はナオの傍に行き膝をついて、恐る恐るとですがナオの頭を撫でました。
「ナオ様……僕は、ナオ様がいなくなるのは……死ぬ程辛いです」
「魔術師様……。でも、私、帰りたいのです……」
魔術師に良い所をとられた神は負けずと、ナオに言います。
「花嫁……そなたは帰れぬ。再度、同じことをしても、また“魂”だけ送還され、別の赤子にはいる事になるか、最悪の場合、魂だけが空を彷徨う事となる」
「………っ」
神は、ナオの顔を見ました。その顔は「ドヤァ」という風で、ナオの神経を逆撫でにします。
勢い良く立ち上あったナオは、正座の神の頬めがけて――
「もとはといえば、貴方のせいなのにーー!!」
バチンッ!!
平手を打ちをしたのでした。
ナオの暴挙に魔術師たちは青ざめますが、神の恍惚とした表情に思わず目を逸らすのでした。
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