神の花嫁

果桃しろくろ

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―― 神の花嫁06

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 神に平手打ちをした後、その場でまたグズグズと泣いていたナオも、次第に落ち着きを取り戻しました。
 その間も神にはずっと正座をさせていました。
 長すぎる足を折り曲げてるのに全然辛くなさそうなのが、ナオは気に入りません。
 冷たい水で冷やされた布を魔術師にもらい、少し腫れた目を抑える事によってだんだん冷静になってきました。

(私の事よりも、今は白鳥さんの方が大事)

 今も木の幹を背もたれに、気を打ちなっているアイリを見て、ナオは決心するのでした。


 魔術師が、「パチン」と指をならし、アイリの目が開きました。
 気が付いたアイリに、事の顛末を説明したのです。
 アイリは王子の「断頭台」の話を聞いて、顔を青ざめ「マジで、ギロチン」とつぶやきました。
 元に戻る方法があると話すと、すぐにその案に乗ってくれたのです。




 送還の準備は、滞りなく行われました。

 1年前に召喚をしたので、時間や金や人がかかるかと思われましたが、魔術師の隣国のパイプによってスムーズに事が運んだのです。
 その話を聞いて、宰相の片眉があがり魔術師に何かを問いただそうとしましたが、魔術師は笑顔で話をすり替えていました。

 送還の日時は『3ヶ月後』と取り決め、異例の速さで進行しました。

 アイリはその間、ナオの達ての希望により、森の神殿で一緒に住むこととなりました。
 すっかり毒気が抜けてしまったアイリでしたが、神の美しさに心を奪われ「……マジイケメン。ぱねぇ。美し過ぎ」と神にべったりしていましたので、神との接触が減った大喜びのナオは、意気揚々と納豆の試作品に取り掛かっていました。

 アイリは、ナオの納豆作りを嫌がりましたが、(宇宙で一番嫌いな食べ物らしいです)「確か、テレビで藁で作っているのを観た事があるよ」と重大なヒントをナオに与え、ナオは大喜びでした。

 ナオとアイリは、ほとんど一緒に過ごし、時々、神にアイリがべったりして、神がヤキモチを妬かないナオに対して拗ねたり、準備で疲れ顔の魔術師がアイリと衝突したりと、(アイリは、言葉はわからなくなっても、悪口は感知できるみたいです)色々と小さなハプニングはありましたが、ナオにとって賑やかで楽しい3ヶ月になりました。

 そして、ナオとアイリは送還の前の日になると一緒のベッドで寝て少し泣いて過ごしたのでした。





 ――送還当日。

 

 アイリの送還時に、両親へ手紙を託しました。今までの感謝の言葉と、愛の言葉と、私は元気です。という言葉を載せて。
 両親が手紙を読むと、悲しみが少しでも和らげてくれるよう、魔術師が少しの魔術をかけてくれました。

『白鳥さん、手紙……お願いします』
『うん。任せておいて。……山田さん……ご…………めんね』
『何がですか?』
『ううん。なんでもないの! それより、送還された時間にちゃんと戻してくれるんだよね? アイリ、生徒会のイケメンとカラオケ行くんだ! あの子達、アイリの可愛さにメロメロなんだよ? 羨ましいでしょ?』

 すっかり、いつもの調子を戻したアイリの笑顔に、ナオも笑顔になりました。


 魔術師の術の読み上げが進み、アイリの周りに光が集まります。
 いよいよ、アイリの姿が淡くなってきた時に、神が顎に手をやり何か思い出したようです。

「そういえば、あの少女、召喚時に身体の仕組みをこの世界に合うように変えたのだが……良かったのか?」
「え!! ちょっと、早く言いなさいよ! そういう事は!」

 魔術師に、術を止めてもらおうとしましたが、魔術師はアイリの方をみて「もう遅いです」と言いました。

「……それにこのままこの国に残っても、彼女は言葉も通じず、死刑になるんですよ?」
「!!」

 ナオは、光の中のアイリに向って叫びました。

『白鳥さん!! 納豆! 納豆が全てを解決してくれますから! 納豆を食べて運動していれば、暮らせます!』

『……え?アイリ――な……―っとう……きら…………』

 ふわり。

 アイリの姿が消え、無事に送還の儀式が終わったのです。

「……さよなら、白鳥さん」

 アイリの居なくなった森の神殿は、少し静かになりました。
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