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09.スタジオ拉致と大麻

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 いつもの家でだらりと過ごしていた。
なにもない日だけど何となくいつものように集まっていた。

「暇じゃね?」
「暇だな」
「スタジオ行くか」
「よし、行こう」
「俺、電話するわ」

私以外はみんな楽器ができた。ちょうどその時はギタリスト、ベーシスト、ドラマーと3人揃っていた。せっかく集まったのにスタジオ行くなら帰らなきゃな、と考えていたら
「早く、行くよ」
と車に乗せられた。
 スタジオに行くのは生まれて初めてだった。

 スタジオに着いてみんながセッティングしてる様子を観察していた。すると、
「まぁまぁまぁ・・・・」
と粗茶でも出すような仕草で誰からともなく大麻がまわってくるから笑ってしまった。

そしてそのついでにマイクを握らされてしまった。自分がバンドのメンツに入れられてたのにそのとき気づいた。突然のことに戸惑っていたら、

「envy(バンド)とか好きじゃん?歌えるよ!」
妙な励まされ方をした。確かにenvyは好きだけれど・・・・・そんな高尚で格好の良いデスボイスが出せるはずがない。

ハードコアな音楽が大好きだった3人はセッティングが終わると、重くてダークな音を爆音で鳴らしはじめた。

全部その場の思いつきセッション、つまりは即興。

私はその音を聴いて心で感じたまま自由に歌ってみろという漠然としているが、答えが一切ない、強烈なコミュニケーションのバトンを手渡されたのだった。

みんなで鳴らす爆音でスタジオ全体がひび割れそうなぐらい震えていた。

私はしばらく何もできないで呆然とその場に突っ立って音を聴いていた。

ただ聴いていた。
聴いていた。
聴いていた。

そしてだんだん何もできない自分が嫌になってきて、私はマイクに向かってデスボイスでめちゃくちゃに叫びまくった。

とても格好のつかない情けない声だったが、その瞬間みんな嬉しそうな顔になったのを今でも覚えている。
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