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第十四話 死神
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「だいぶ暗いわね」
一人歩いて倉庫に向かいながら死神ちゃんは呟く。自転車のライトが電池切れだったせいで懐中電灯を持って歩いてい向かっている。田も畑も見分けがつかない。
「たしか、ここで曲がって……ここかな」
姉さんを迎えにきた時とは違って真っ暗なせいであまり見えないがおそらくここであってるはずだ。
階段を登り、扉をこじ開ける。中には死体と、吐瀉物のみ。とりあえず、死体を近くにあったブルーシートで包み段ボールに詰める。
そして吐瀉物を片付ける。臭いがきついので手早くすます。
一応屋根裏に登るが特に何もないのでダンボールを持って部屋を出て、自転車で家に戻る。
この死体の処理はどうするのだろう。死神ちゃんにはさっぱりわからない。なにしろいつもは寝ている間に終わっているからだ。
「仕方ないわ。姉さんが起きたら教えてもらいましょう」
死神ちゃんはリビングにブルーシートごと死体を寝かし、自分はクッションの上で寝ることにした。
「ふぁぁ。いま、なんじ?」
私はまだぼんやりする頭を起こして時計を見る。
「3、じ……か」
まだ夜中だ。だがトイレに行きたくなってしまった。節々が痛いがなんとか立ち上がり、壁をつたって歩く。
その帰り道に水を飲もうとリビングへ向かうとソファーで寝ている死神ちゃんがいた。さてはてどうしたものか。本当ならベットまで運んであげたいものだがなにしろ私にそんな力は残っていない。
そういえば毛布がどこかにあったはず。私は周りを見渡す。が、見当たらない。寝室に戻ってその辺にあった毛布から比較的綺麗なものを選び、死神ちゃんにかける。
これで、よし。私は寝室に戻り再び眠りについた。
死神ちゃんは今朝みた偉いらしい人の前に再びきていた。
「どうだった?」
偉いらしい人に聞かれた。死神ちゃんは自分よりも背が高く、立場も上の人間に怯えることなくハキハキと答える。
「姉さんが体調を崩してしまったの。だがらしばらく魂を回収できないわ。でも明日の朝に一つ納品できそうだわ!」
偉いらしい人は死神ちゃんの発した言葉一つひとつに深く頷きなら聞いている。そしてゆっくりと口を開いた。
「そうかい。それは大変だね。私が回収場の人たちに言っておいてあげるよ」
優しい笑顔で答えていた。だが次の瞬間、その顔は硬く重苦しくなっていた。
「君のすべきことはただ一つ。死神を創造できる彼女と三日以内に恋仲になること。そうすれば、君の存在は安定するし、死神を増やすことができる。頼んだよ」
「……頑張るわ」
死神ちゃんは珍しく自信なさげに答えた。そんな彼女を見て、偉いらしい人は優しい笑顔に戻って死神ちゃんの頭を撫でる。
「大丈夫、きっとうまくいくよ。二日、頑張って」
「そうね。アタシ、やるわ」
死神ちゃんは偉いらしい人に別れを告げ、寝ていた世界へと戻っていく。
そんな死神ちゃんの後ろ姿を見つめながら偉いらしい人──死神の長は呟く。
「物心ついてから両親を失い、かつ自身も死にかけている。そして核となる人肉を食べたこと。この条件が揃った人間はなかなかいないんだ。どうか、うまくやっておくれ」
一人歩いて倉庫に向かいながら死神ちゃんは呟く。自転車のライトが電池切れだったせいで懐中電灯を持って歩いてい向かっている。田も畑も見分けがつかない。
「たしか、ここで曲がって……ここかな」
姉さんを迎えにきた時とは違って真っ暗なせいであまり見えないがおそらくここであってるはずだ。
階段を登り、扉をこじ開ける。中には死体と、吐瀉物のみ。とりあえず、死体を近くにあったブルーシートで包み段ボールに詰める。
そして吐瀉物を片付ける。臭いがきついので手早くすます。
一応屋根裏に登るが特に何もないのでダンボールを持って部屋を出て、自転車で家に戻る。
この死体の処理はどうするのだろう。死神ちゃんにはさっぱりわからない。なにしろいつもは寝ている間に終わっているからだ。
「仕方ないわ。姉さんが起きたら教えてもらいましょう」
死神ちゃんはリビングにブルーシートごと死体を寝かし、自分はクッションの上で寝ることにした。
「ふぁぁ。いま、なんじ?」
私はまだぼんやりする頭を起こして時計を見る。
「3、じ……か」
まだ夜中だ。だがトイレに行きたくなってしまった。節々が痛いがなんとか立ち上がり、壁をつたって歩く。
その帰り道に水を飲もうとリビングへ向かうとソファーで寝ている死神ちゃんがいた。さてはてどうしたものか。本当ならベットまで運んであげたいものだがなにしろ私にそんな力は残っていない。
そういえば毛布がどこかにあったはず。私は周りを見渡す。が、見当たらない。寝室に戻ってその辺にあった毛布から比較的綺麗なものを選び、死神ちゃんにかける。
これで、よし。私は寝室に戻り再び眠りについた。
死神ちゃんは今朝みた偉いらしい人の前に再びきていた。
「どうだった?」
偉いらしい人に聞かれた。死神ちゃんは自分よりも背が高く、立場も上の人間に怯えることなくハキハキと答える。
「姉さんが体調を崩してしまったの。だがらしばらく魂を回収できないわ。でも明日の朝に一つ納品できそうだわ!」
偉いらしい人は死神ちゃんの発した言葉一つひとつに深く頷きなら聞いている。そしてゆっくりと口を開いた。
「そうかい。それは大変だね。私が回収場の人たちに言っておいてあげるよ」
優しい笑顔で答えていた。だが次の瞬間、その顔は硬く重苦しくなっていた。
「君のすべきことはただ一つ。死神を創造できる彼女と三日以内に恋仲になること。そうすれば、君の存在は安定するし、死神を増やすことができる。頼んだよ」
「……頑張るわ」
死神ちゃんは珍しく自信なさげに答えた。そんな彼女を見て、偉いらしい人は優しい笑顔に戻って死神ちゃんの頭を撫でる。
「大丈夫、きっとうまくいくよ。二日、頑張って」
「そうね。アタシ、やるわ」
死神ちゃんは偉いらしい人に別れを告げ、寝ていた世界へと戻っていく。
そんな死神ちゃんの後ろ姿を見つめながら偉いらしい人──死神の長は呟く。
「物心ついてから両親を失い、かつ自身も死にかけている。そして核となる人肉を食べたこと。この条件が揃った人間はなかなかいないんだ。どうか、うまくやっておくれ」
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