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第十五話 不安
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朝起きると、少し楽になっていた。まだ体はだるいけれど、立って歩くぐらいなら壁を伝わなくてもできる。
私は死神ちゃんの様子が気になり、リビングに向かう。すると、彼女はすでに起きて、洗い物をしていた。
「おはよう」
「あら、おはよう。あなたも早いのね」
彼女は洗い物の手を止めてこちらへ向かってきた。
「体調はどう? 熱は?」
彼女は背伸びをすると、私の前髪をかきあげ、額に手を当てられる。少し濡れてひんやりとした彼女の手が心地よい。
「まだちょっと熱があるんじゃないかしら。ほら、そこに座ってて」
私は半ば押し倒されるようにしてソファーに座らされた。手持ち無沙汰な私はとりあえず、深夜起きた時に死神ちゃんにかけた毛布にくるまり、死神ちゃんの様子を眺める。
手際よく見覚えのない綺麗な食器を洗い、拭いていく。死んだお母さんに重なってみえた。
優しくて、いつも笑顔で、暖かいお母さんはもういない。お母さんの料理は、もう二度と食べられない。二度と……
思い出していると、死神ちゃんに声をかけられた。
「あなた、どうして泣いているの?」
慌てて頬に手をやると濡れていた。私、寂しいんだな。そう気づくと余計に寂しさを思い出し、死神ちゃんに抱きつく。
「死神ちゃんはいなくならないでよね」
彼女は静かに背中をさすってくれた。その優しさが嬉しくて、私はしばらくの間、幼子のように泣いてしまった。
「落ち着いたかしら?」
私がようやく泣き止んだ頃に死神ちゃんに聞かれた。
「うん。おかげさまで」
「良かった。あたしはあなたが嫌いにならない限り、ずっと一緒だから、安心して」
そうだ、気になっていたことがあった。
「死神ちゃん、昨日言ってた嫌われたら消えるって……」
「そんなことよりお腹空いてない? 朝ごはんにしましょ」
そう言って死神ちゃんはキッチンへ向かう。はぐらかされてしまった。ということは……本当に私が嫌いになったら消えるのかもしれない。
私が死神ちゃんを嫌いになるなんてありえないが、絶対がないこの世界。もし彼女が消えてしまったら。考えるだけで怖い。
不安が私を襲いそうになったが朝ごはんの美味しい匂いによってかき消された。
「姉さん! 朝ご飯できたわよ!」
今後死神ちゃんがどうなるかは逆立ちしたってわかりっこない。だから今は朝ごはんを食べ、死神ちゃんを堪能することを優先させようと思う。大事な家族に対して、後悔しないために。
「今日も朝からありがとうね、死神ちゃん。今いくよ」
私は死神ちゃんの様子が気になり、リビングに向かう。すると、彼女はすでに起きて、洗い物をしていた。
「おはよう」
「あら、おはよう。あなたも早いのね」
彼女は洗い物の手を止めてこちらへ向かってきた。
「体調はどう? 熱は?」
彼女は背伸びをすると、私の前髪をかきあげ、額に手を当てられる。少し濡れてひんやりとした彼女の手が心地よい。
「まだちょっと熱があるんじゃないかしら。ほら、そこに座ってて」
私は半ば押し倒されるようにしてソファーに座らされた。手持ち無沙汰な私はとりあえず、深夜起きた時に死神ちゃんにかけた毛布にくるまり、死神ちゃんの様子を眺める。
手際よく見覚えのない綺麗な食器を洗い、拭いていく。死んだお母さんに重なってみえた。
優しくて、いつも笑顔で、暖かいお母さんはもういない。お母さんの料理は、もう二度と食べられない。二度と……
思い出していると、死神ちゃんに声をかけられた。
「あなた、どうして泣いているの?」
慌てて頬に手をやると濡れていた。私、寂しいんだな。そう気づくと余計に寂しさを思い出し、死神ちゃんに抱きつく。
「死神ちゃんはいなくならないでよね」
彼女は静かに背中をさすってくれた。その優しさが嬉しくて、私はしばらくの間、幼子のように泣いてしまった。
「落ち着いたかしら?」
私がようやく泣き止んだ頃に死神ちゃんに聞かれた。
「うん。おかげさまで」
「良かった。あたしはあなたが嫌いにならない限り、ずっと一緒だから、安心して」
そうだ、気になっていたことがあった。
「死神ちゃん、昨日言ってた嫌われたら消えるって……」
「そんなことよりお腹空いてない? 朝ごはんにしましょ」
そう言って死神ちゃんはキッチンへ向かう。はぐらかされてしまった。ということは……本当に私が嫌いになったら消えるのかもしれない。
私が死神ちゃんを嫌いになるなんてありえないが、絶対がないこの世界。もし彼女が消えてしまったら。考えるだけで怖い。
不安が私を襲いそうになったが朝ごはんの美味しい匂いによってかき消された。
「姉さん! 朝ご飯できたわよ!」
今後死神ちゃんがどうなるかは逆立ちしたってわかりっこない。だから今は朝ごはんを食べ、死神ちゃんを堪能することを優先させようと思う。大事な家族に対して、後悔しないために。
「今日も朝からありがとうね、死神ちゃん。今いくよ」
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