血と死神と女子高生

橘スミレ

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第十六話 特別

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「姉さんは動かなくていいから」
 死神ちゃんにそう言われてしまったので私は大人しく座って死神ちゃんを目で追いかける。
 彼女が運んでいるのは血に染まって真っ赤なお味噌汁。水面を一切揺らすことなく運んでいるのを見るとやはり死神であって人ではないのだよ実感する。といっても可愛いのに変わりないが。
「姉さん、あーん」
 今日も彼女が食べさそうとしてくれる。でも昨夜と違って頭がスッキリしているとなんだか恥ずかしい。
 私は彼女の手に自分の手を重ねて自分で口元に運び食べる。
「可愛くないわね」
 少しふてくされている。だが恥ずかしいものは恥ずかしいから許してほしい。
「お姉さんだもの」
 嘘の言い訳するも彼女にはお見通しらしい。
「姉さんが恥ずかしいだけでしょ」
 にやけを隠すことなくいう彼女に恥ずかしさが苛立ちまで連れてくる。こうなったら。
「そんなことないもん」
 私は彼女の顔を引き寄せ頬にキスを落とした。
「ちょっと、姉さん!」
 死神ちゃんは怒ったような、恥ずかしいような、それでいて嬉しいような、そんな顔をしていた。
「顔真っ赤」
「姉さんだって」
「これは風邪のせい」
「ならさっさと食べて風邪を治してよ」
「わかったって」
 死神ちゃんにせかされスプーンを手にとりお味噌汁を掬い、飲む。よく見れば具沢山なお味噌汁にはお米も入っている。これは風邪に効きそうだ。

「ご馳走さま。ありがとうね、死神ちゃん」
 無事完食した私は食器を下げて、戻ってきた死神ちゃんに私は言った。
「美味しかった?」
 どこか照れくさそうにいう死神ちゃん。とても可愛い。妹にしたい。
「とっても。昨日残しちゃったのが惜しいくらい」
「それは良かったわ」
私の隣に座った死神ちゃん。私は彼女の足に自分の使っている毛布をかけながら続ける。
「それにしても不思議なことがあるものね。普通の人の食事なんて全く食べれなくなってたのにあなたが作るととっても美味しくて、ペロリと食べれてしまう。本当に不思議」
 私は死神ちゃんの方を見た。死神ちゃんは前を向いたまま私が話すのを聞きながら私の手を握っている。
「あなたはあたしにとって特別だからだと思うわ。それと……」
「それと?」
 言い淀む彼女に問う。彼女はうつむいて、ポツリと呟いた。
「あ、あなたにとってあたしが特別かもしれない、から」
 後半になるにつれて声が小さくなっていったがそれでもこの距離ならしっかりと聞こえている。
「私はあなたが特別だよ」
 あたしはそっぽを向いてしまった死神ちゃんを抱きしめた。
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