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ユキと千夜 気に食わないけど実力は認めてるケンカップル

お菓子パーティーをするまで出れない部屋

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「今度は何の部屋?」
「甘い匂いがするね」

 中に入るとスナック菓子やジュースが結構な量おかれていた。

「凄い量だな」
「カード見つけた。お菓子パーティーすればしろって書いてる」
「え、僕パス。さすがにさっきパンケーキ食べたばっかだもん」

 不健康という概念を体現化したような食生活をしているユキはいいだろう。
 だが僕はそれなりに健康に気をつけている。
 スポーツをする上で健康な体というのは非常に重要だ。
 パンケーキという甘いものを食べた日にお菓子パーティーはまずい。

「いいじゃん。今日はチートデーみたいな感じにしなよ」

 ユキはさっそくコップにオレンジジュースをそそぎ、ポテトチップスをつまんでいる。
 さらにチョコレートの袋も開けて食べ始める。

 ポテチ。チョコ。ポテチ。チョコ。

 ずっと食べている。

「塩味と甘味の無限ループには誰も逆らえないよ」

 そういってユキが私の口にポテトチップスとチョコレートを捩じ込んできた。

「……何するんだ」
「美味しいでしょ。ほら、リンゴジュースでさっぱりして、また食べな」

 ユキにコップを渡される。

「部屋を出るためだからね」
「まったく。千夜は素直じゃないね」

 僕はジュースを一気飲みしてからユキの隣に座る。
 そしてクッキーに手を伸ばす。

 サクサクで優しい甘さで美味しい。
 もう一枚、もう一枚、と手が伸びてしまう。

「明日から帳尻合わせ、頑張らないとな」
「一人で勝手にしてね。私を巻き込まないでね」
「太るぞ」
「わかったよ」

 しゅんとしながらも、ユキの手はマシュマロへと伸びている。

「……今はお菓子に集中するか」
「それがいいよ」

 僕たちは満足するまでお菓子を食べ続けた。
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