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おかしくなりそう
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「私、なんで生きてるんだろ」
深夜三時。心にモヤがかかり漫画を読み終えても眠くならない。
ぼんやりと布団の中で落ちない瞼を無理矢理おろして羊の数を数えているときにふと思った。
誰も私を愛さない。誰も私に期待しない。誰も私をみていない。
私はひとりぼっちだ。ただプログラムに従って私の世話をするロボットがいるだけだ。
だからとても寂しい。
今まではこの状態が寂しいと知らなかった。
けれど、彼と出会って愛され期待されみてもらえる状態を知ってしまった。
それがダメだった。
一度極上のものを食べると安物が美味しく無くなるように私は満たされた状態を知ってしまった。だから寂しくなってしまう。
誰か、誰か私をみて。期待して。愛して。
心の中が空っぽで苦しくなった。
海で溺れたみたいに息ができなくなった。
「誰か私を助けて。空っぽになった私を満たして」
つぶやいた言葉は宙に浮いて溶けて消えた。
いつも話を聞いてくれるフウカは充電中で反応しない。
本当にひとりぼっちだ。
寂しくてたまらない。
今までだったらあと少しで彼と話せるからと我慢できた。
でも今は朝になっても彼と話すことはできない。
一人のままだ。
「スマホでも見るか」
インターネットとはすごいものでみてればあっという間に時間が過ぎていく。
普段生活している時は時間泥棒として悪名高いが、こういう時は便利だ。
「みんな楽しそうだな」
SNS上にはいろんな人がいる。
イラストを描く人。遠くまで旅行にいく人。可愛い食べ物の写真を撮る人。
いろんな人と関わり、いろんな人にみてもらっている。
羨ましい。私もあの人たちのようにみんなに存在を認められたい。
今みたいな宙ぶらりんで不安定な状態ではなく、たくさんの人に認められ、期待され、愛されたい。
「でもな、私にはあの状態になるための努力もできないしな」
みんな最初は誰にもみられずひとりぼっちで、それでも続けるうちに人が集まりいっぱいみてもらえるようになる。インフルエンサーと呼ばれる領域に到達するまでには多くの時間がかかる。
けれど私はそんなに長くは待てない。
もっと即効性のある特効薬が必要だ。
「何か、何かないの?」
私はインターネットの海を彷徨い、さまざまなサイトを巡った。
「結局は運と根気と才能とかいう私に程遠い3ポイントが必要なんだね」
どうにもならないや。
私がスマホを閉じようとしたとき、よくわからないポップアップ広告に指が当たった。
「なにこれ……めっちゃいいねもらってる」
それはエロ垢の中の人の募集広告だった。
「下着姿の写真一枚で〇〇円&××いいね!」
胡散臭いキャッチコピーとともに何人かの投稿がならんでいる。みな10000近くいいねをもらっている。
「たくさんの人に見られて、求められてんだね」
夜中の回らない頭は私をおかしくする。
「写真撮ってみようかな」
鏡の前に行き、寝巻きを捲り上げる。
鏡に向かってカメラを向け、そしてやめた。
「辞めだ辞め。いっぱいクッキー食べて脂肪のついたこのお腹なんか見せるもんじゃない。それに未成年のこういう写真とか持ってたらヤバかった気がするし」
さっさと寝よう。私はスマホを置いて寝た。
さすがにこんな時間だったのでよく眠れた。
「ねむい……」
今日も学校だ。昨日あまり眠れなかったせいで非常に眠い。スマホをみると、昨日の広告が開きっぱなしになっていた。
「もし私が綺麗なままだったら、それで成人してたら、写真撮っちゃってたのかな」
そうしてインターネット上に自分の写真が残り続けるのか。
もし消したいと思うことがあっても消せないのか。
私一人では制御できなくなるのか。
「怖いな」
私はギリギリ回避したけれど、何か少し条件が変われば写真を撮っていたかもしれない。
今まではこんなこと考えもしなかったのに、彼にフラれてからどんどんおかしくなっている。
「あぁ、でも彼に頼まれたら写真撮ってたかもな。なら彼と出会った時点で調子が狂ってたのか」
彼との出会いで歯車のかけ違いが起き、そこからどんどんどんどんズレてるのか。
最初は一度もない小さなズレだったのが、進むにつれて元の道と全然違う道に来たのか。
「どうやったら戻れんだろ」
考えても答えは出ない。
今考えるべきことでもない。
私が答えるべきは中間テストだ。
それを乗り越えるまでは彼についてのアレコレを考えるのはお預けだ。
ただでさえアレのせいで勉強できていないのに、これ以上気を取られるわけにはいかない。
深夜三時。心にモヤがかかり漫画を読み終えても眠くならない。
ぼんやりと布団の中で落ちない瞼を無理矢理おろして羊の数を数えているときにふと思った。
誰も私を愛さない。誰も私に期待しない。誰も私をみていない。
私はひとりぼっちだ。ただプログラムに従って私の世話をするロボットがいるだけだ。
だからとても寂しい。
今まではこの状態が寂しいと知らなかった。
けれど、彼と出会って愛され期待されみてもらえる状態を知ってしまった。
それがダメだった。
一度極上のものを食べると安物が美味しく無くなるように私は満たされた状態を知ってしまった。だから寂しくなってしまう。
誰か、誰か私をみて。期待して。愛して。
心の中が空っぽで苦しくなった。
海で溺れたみたいに息ができなくなった。
「誰か私を助けて。空っぽになった私を満たして」
つぶやいた言葉は宙に浮いて溶けて消えた。
いつも話を聞いてくれるフウカは充電中で反応しない。
本当にひとりぼっちだ。
寂しくてたまらない。
今までだったらあと少しで彼と話せるからと我慢できた。
でも今は朝になっても彼と話すことはできない。
一人のままだ。
「スマホでも見るか」
インターネットとはすごいものでみてればあっという間に時間が過ぎていく。
普段生活している時は時間泥棒として悪名高いが、こういう時は便利だ。
「みんな楽しそうだな」
SNS上にはいろんな人がいる。
イラストを描く人。遠くまで旅行にいく人。可愛い食べ物の写真を撮る人。
いろんな人と関わり、いろんな人にみてもらっている。
羨ましい。私もあの人たちのようにみんなに存在を認められたい。
今みたいな宙ぶらりんで不安定な状態ではなく、たくさんの人に認められ、期待され、愛されたい。
「でもな、私にはあの状態になるための努力もできないしな」
みんな最初は誰にもみられずひとりぼっちで、それでも続けるうちに人が集まりいっぱいみてもらえるようになる。インフルエンサーと呼ばれる領域に到達するまでには多くの時間がかかる。
けれど私はそんなに長くは待てない。
もっと即効性のある特効薬が必要だ。
「何か、何かないの?」
私はインターネットの海を彷徨い、さまざまなサイトを巡った。
「結局は運と根気と才能とかいう私に程遠い3ポイントが必要なんだね」
どうにもならないや。
私がスマホを閉じようとしたとき、よくわからないポップアップ広告に指が当たった。
「なにこれ……めっちゃいいねもらってる」
それはエロ垢の中の人の募集広告だった。
「下着姿の写真一枚で〇〇円&××いいね!」
胡散臭いキャッチコピーとともに何人かの投稿がならんでいる。みな10000近くいいねをもらっている。
「たくさんの人に見られて、求められてんだね」
夜中の回らない頭は私をおかしくする。
「写真撮ってみようかな」
鏡の前に行き、寝巻きを捲り上げる。
鏡に向かってカメラを向け、そしてやめた。
「辞めだ辞め。いっぱいクッキー食べて脂肪のついたこのお腹なんか見せるもんじゃない。それに未成年のこういう写真とか持ってたらヤバかった気がするし」
さっさと寝よう。私はスマホを置いて寝た。
さすがにこんな時間だったのでよく眠れた。
「ねむい……」
今日も学校だ。昨日あまり眠れなかったせいで非常に眠い。スマホをみると、昨日の広告が開きっぱなしになっていた。
「もし私が綺麗なままだったら、それで成人してたら、写真撮っちゃってたのかな」
そうしてインターネット上に自分の写真が残り続けるのか。
もし消したいと思うことがあっても消せないのか。
私一人では制御できなくなるのか。
「怖いな」
私はギリギリ回避したけれど、何か少し条件が変われば写真を撮っていたかもしれない。
今まではこんなこと考えもしなかったのに、彼にフラれてからどんどんおかしくなっている。
「あぁ、でも彼に頼まれたら写真撮ってたかもな。なら彼と出会った時点で調子が狂ってたのか」
彼との出会いで歯車のかけ違いが起き、そこからどんどんどんどんズレてるのか。
最初は一度もない小さなズレだったのが、進むにつれて元の道と全然違う道に来たのか。
「どうやったら戻れんだろ」
考えても答えは出ない。
今考えるべきことでもない。
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