叔父にできること

すいすい

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3.叔父、脅される

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「優君、どういうことか説明できるよね?」

 こちらを見つめる晃の目は笑っておらず、相当キレていることが伝わってくる。なんでそんなに怒ってるんだ......?分からない、分からないけどこれは素直に言わないとダメなやつだ。

「あ、あの、俺もそろそろ働こうと思って、ほら俺だって一応大人だし社会に出て働かなきゃなって!」

 焦りを誤魔化すようにヘラヘラ笑って言うと、晃の目がゴミを見るように蔑んだ目に変わった。うぅ、なんだよそんな目で見ないでくれよ......。

「うん、それで?風俗で働くの?え、馬鹿なの??」

「ば、馬鹿っていくら俺でも言って良いことと悪いことがあるだろ!お、おおお俺の勝手だろ!準備するから出てけよ!!」

 晃から初めて辛辣な言葉を言われた俺は動揺してしまい、無理やり部屋から追い出そうと晃を押しのけた。
 ......はずなのに晃は少しも動かない。もう一度グイグイと押してみる。
 それでもやはりビクともしない。ムカついた俺は晃の広い胸を殴りつけるが、普段全く運動しないせいで子どもの力ぐらいしかダメージを与えられず、すぐに両腕を掴まれて止められてしまった。

 いつの間にこんなに俺より大きくなったんだ......?晃の顔を伺おうとするとわざわざ見上げなければならず首が痛い。おまけに俺の手を掴む力も無駄に強い。こいつは爽やかイケメンの皮を被ったゴリラだ。そうに違いない。だってそうでも思わなければ晃との圧倒的な力の差に俺の心が耐えられそうにない。俺は悔しくて涙が出そうになるのを必死に堪えることしかできなかった。

「ううう、出てけって言ってんじゃんなんで出ていってくれないんだよぉお!おれ、おれ一生懸命がんばって働こうと思ってるのになんで、ひっく、もうおれの邪魔すんなよ......」

 声に出した途端目から涙が溢れてきて慌ててゴシゴシとジャージの袖で擦る。

 ずっと俺は自分自身が恥ずかしかった。家族は皆俺に優しくしてくれるから、それに甘えて働かずに今日まで生きてきたんだ。皆に心配かけて迷惑もたくさんかけて、だから俺も頑張ろうと思ったのに。晃だって俺が働いた方がいいはずなのになんで止めるんだよ!
 言いたいことがぐちゃぐちゃになって自分でもよく分からなくなってきた。まともなことも言えずに、その上自分より年下の奴に力でも勝てずに泣いてしまうなんて自分が情けなくてしょうがなかった。

 しかしそんな俺を不憫に思ったのか、晃は今まで冷たかったのが嘘のように穏やかな表情に戻り、ポケットからシワひとつない高そうなハンカチを取り出すと、俺の顔を子どもを労る母親のように優しく拭ってきた。

「泣かないでよ、僕も言い過ぎたからごめんね?でも優君が風俗で働くのだけは絶対に許せないよ」

「ぐすっ、なんでだよ......!もういい歳だしおっさんに体売るぐらいどうでもいいだろ!」

 優しくされてもそれが余計に腹立たしく思えてヤケになって言い返してしまう。そうだよ、俺だってもうアラサーなんだしおっさんがおっさんに身体売ろうがなんだっていいだろ。そう思いながら俺は晃の方を睨んだ。

「どうでもいい??」

 俺の言葉に晃の綺麗に整えられた眉毛が不快感を表すかのようにピクリと動いた。

「あぁどうでもいいだろうが!というか風俗だってサービスはあれかもしれないけど社会に貢献する立派な仕事だろ!?」

 捲し立てるようにして言った俺に、晃は目を見開いて固まってしまった。晃が何も言い返さないから沈黙が続き、俺の荒い呼吸だけが周囲に響く。
 気まずい......さすがに強く言い過ぎたかもしれない。まあでもこれで晃も分かってくれたはずだ。そろそろ時間的にも急がないといけないし晃には悪いけど家を出なければ。そう思った俺は晃に出かける旨を伝えようとした。
 しかし突然腕を取られてベッドの方まで引きずられるようにして連れていかれてしまった。

「なっ!ちょっと離せよ!俺出かけなきゃいけないんだって!!」

 俺は手足をばたつかせて抵抗するが、全く離してくれない。晃は無表情で俺の顔を覗き込んでいた。

「優君は誰にでもそういうことができるんでしょ?じゃあそこまで言うんだったら僕にも奉仕してみてよ」

 突然意味不明なことを言い出したかと思えば、晃は制服のネクタイを外して俺の腕をベッドの柱に括りつけた。

「お、おお前何言ってるんだよ!これ外せって!!」

「何って優君が自分で社会に貢献する立派な仕事だって言ったんじゃん。ほら僕にも出来るでしょ」

 そう言うと晃はベルトを緩めて、スラックスに手をかけた。

「ちょちょちょちょっと待て!落ち着け、一回落ち着こ?な?ほら深呼吸、息吸って~吐いて~」

 俺は必死で晃を止めるために深呼吸を促すが、晃には全く止まる気配はない。

「僕はいつだって冷静だから心配しなくて大丈夫だよ。優君は優しいね、ありがとう」

 晃はいい子いい子と俺の頭を優しく撫でながら微笑んだ。
 まずい、本当にこのままだとまずい。

「ほ、ほ、本当にこんなことしていいのか?姉さんと義兄さんにバレたらお前大変なことになるんだぞ!?ほら今だったら黙っといてやるし全部水に流してやるよ!やめなかったら俺叫ぶからな!?」

 俺は必死に訴えかけた。晃のこの意味不明な行動を止められるのは姉さんたちしかいない。他力本願でも自己防衛のためには致し方ない。そう思うのと同時に若干晃よりも有利に立てた気がして俺はにやりと笑った。
 しかしそんな俺を見ても晃は動揺を見せることなく、むしろ楽しそうにしている。

「優君は本当に馬鹿で可愛いね。この状況でバレて大変なのは大人としての責任が問われる優君の方だし、なんなら風俗で働くなんて母さんが知ったら優君たくさん怒られちゃうよ?それに助けを求めたって今日からおじいちゃん達旅行行ってて帰って来ないよ?ふふっ残念だったね」

 晃の言葉に俺は絶句した。もう何も言い返せなくて、涙がぽろぽろとこぼれていく。
 いやだ、姉さんに怒られるのだけは絶対に嫌だ......!アラサーにもなってまたおしりを叩かれて叱られるなんて考えただけでゾッとする。その上晃に変なことをさせたなんて家族にバレたら、俺はこの家から追い出されてもう生きていくことはできないだろう。

「奉仕でもなんでもするから家族にだけは言わないでくれ!俺が悪かったよ許してくれ......!」

 もう情けないとかそんなのどうでもいいくらい切羽詰まった状況に俺は泣きながら甥に許しを乞うていた。
 こんなはずじゃなかったのに......たくさん稼いで晃に俺のことを見直して欲しかっただけなのに......己の馬鹿さ加減に呆れながら涙が止めどなく溢れ続ける。
そしてそんな俺の様子を晃はこの上なく楽しそうに見ている。
悪魔だ......。晃がこんな奴だと知っていたら、俺は関わることなくこの狭い世界で閉じこもって幸せに暮らしていたのに。
晃は俺の様子をじっくりと観察してから微笑んで言った。

「いいよ、誰にも言わないでおいてあげる。その代わり優君は今日から僕のオナホだから」




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