叔父にできること

すいすい

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4.叔父、下準備に入る(1)

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「オナ、ホ......?」

 自分の耳がおかしくなったのかと思って思わず聞き返した。

「そうオナホ。だって優君が応募した風俗って壁穴にケツ突っ込んで知らない人達の肉便器になるんでしょ?それならオナホと変わらないじゃん」

 晃の口からスラスラと聞きなれない下品な単語が飛び出したことに俺はひどく驚いた。

「あ、えっでも、話してた人は優しそうな感じだったし、仕事でもそんな怖いこととかはされないかなって、思ったんだけど......」

 しどろもどろになりながら言い訳がましく話す俺を晃は冷めた目で見つめてきた。その目は本当に勘弁してくれ......。いたたまれなくなった俺は慌てて目を逸らした。

「もしかして業務内容ちゃんと確認してなかったとか言わないよね?」

「......」

 図星だったので俺は何も言い返すことができなかった。穴があったら入りたい......俺のそんな切実な願いはかなしいかな、手を縛られてしまっている今、俺は自分の顔を隠すことも出来ずに悶えることしかできない。
 そんな俺を尻目に晃は顔を覆ってがくりと項垂れてしまった。きっと俺の馬鹿さ加減に呆れているのだろう。おれだって、俺だって自分に往復ビンタしたいぐらいには呆れてるよ!!

「......よく分かったよ。優君は一度痛い目にあわないと学習できないみたいだから僕が一から全部教えてあげるね」

 晃は深い溜息をついてから作り物のような笑みを浮かべて死の宣告をしてきた。

 終わった。今日が俺の命日になる予感しかしない。この後起こるであろうことを考えると恐怖で思わず震えてしまう。

「痛いのだけはいやだ!もう馬鹿なことなんて絶対にしないって約束するから!!」

 おっさんが目をうるませて懇願したってただ気持ち悪いだけだろうがそうせずには居られない。昔から擦り傷ができただけでも大怪我をしたかのように喚いていた俺からしたら痛みだけはなんとしてでも避けたい問題だった。笑えよ!いくらでも笑っていいから頼む......!
 そんな情けない俺を晃は鋭い目つきで睨みながら再び溜息をついた。

「そうやっていつも煽るのやめてくれないかな――とにかく心配しなくても大丈夫だよ、一応準備はしていたからね。まあこうなるって分かってたらもっと色々買ってたんだけどそれはまた今度にしようか」

 よく分からないことを言ってから晃は部屋を出て何かを取りに向かった。
 つかの間の平穏に俺はほっと息をつく。そして俺はふと自室にいるにもかかわらず、ずっと気を張っていたからか無駄に汗をかいていることに気がついた。
 もう早く風呂にでも入って何も考えずに寝たい......それで朝起きたら何もかも忘れてるんだ......。そうやって現実逃避をしながらぼーっと天井の染みを数えているうちに大きなダンボール箱を抱えた晃が戻ってきた。

「待たせてごめんね。それじゃあ始めようか」

 新しい玩具を買い与えてもらった子どものように無邪気な笑みを浮かべる晃を見て思わず泣きそうになる。
 サイコキラーに捕まった人ってこんな気分なのかな......。

「優君が応募していた風俗を参考にして立派なオナホになれるように頑張ろうね」

 ダンボール箱を床に置きながら晃は俺にちゃんと返事をするようにと促して来た。

「一生懸命頑張ります......」

「ふふっいい返事だね。手首痛いだろうし外してあげるからその代わりに目隠し付けていい?」

 一体何のために目隠しなんか付けるんだ?そうは思いつつも腕が楽になるならと俺はそこまで考えることもなく目隠しすることを承諾した。
 それに対して晃は何故か呆気に取られたようにぽかんとしている。

「おい早く外してくれよ」

「あ、ごめん今外すね」

 俺に声をかけられたことで気がついたのか、慌てた様子で晃はネクタイを解き、その流れでそのまま俺に目隠しを付けてきた。
 視界が見えないと少し不安にはなるものの、体が動くというのはやはり楽だな。腕をぶらぶらとほぐしながらいつでも逃げられる体勢を整えていると、いきなり晃が俺の頭をわしゃわしゃと撫でてきた。

「ちょっいきなり何すんだよ」

 元々猫っ毛の上に寝癖がついているとはいえ、雑に頭を撫でられるのは腹が立って晃の手をぱしりと払い除ける。そして見えない視界の中でじとりと睨みつけた。
 しかし晃のどこか哀れみを含むような声のトーンに俺の怒りはさらに加速する。

「僕が言うのもなんだけどさ、物事にはなんでも疑ってかかった方がいいよ。まぁこの先優君が外の世界に出ることはほぼないと思うけど」

「なっ!お、おお俺だってやろうと思えば仕事なんてすぐできるし社会復帰だって簡単にできるんだからな......!」

「はいはいそうだね。とりあえず下の服自分で脱ぐのと脱がされるのどっちがいい?」

「そんぐらい自分でできるわ馬鹿にすんな!」

 やけになった俺は履いていたジャージのズボンを乱暴に脱ぎ捨ててどうだと言わんばかりにベッドの上でふんぞり返った。

「うん上手に脱げてえらいね。後はその色気のないパンツも脱げるともっと偉いんだけどな~」

「なっ!俺の一番お気に入りのゆるキャラ柄に失礼だろ!てかこれも脱がないといけないのか......?」

「当たり前でしょ、お店ではどうせ脱がないといけなかったんだし。ほら早く脱ぎなよ、自分で出来るんだよね?」

 できると言ってしまった手前、後がなくなった俺は恥ずかしさを押し切ってパンツを脱いだ。
 が、羞恥心は収まるどころか当然増す一方でいたたまれなくなった俺は手探りで布団を引っ張った。これでひとまず安心だ。そう思ったのもつかの間、晃は無情にも俺から布団を取り上げた。

「ちょっと隠すぐらい別にいいだろ!返せよ」

「ダメに決まってるでしょ。知らない人の前でケツ放り出そうとしてたのに何言ってんの」

「そ、それとこれとは別だろ......!」

「いや一緒でしょ。まあ優君はただのオナホだから何もせずにその貧相なお尻を貸すだけでいいよ」

 晃は冷めた声でそう言うと、無理やり腰のあたりを掴んできた。

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