無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸

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第2章 丹梅国グルメ戦記・四象の蛇亀

第133話 竿探し

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『おいおい、釣りの試練だろ。なに寝転んでんだ、玄冥』
「果報は寝て待て……」
『阿呆。釣り糸を垂らさずにかかる魚がいるか』
「でも面倒くさ……ひっ」

 そう言いかけて玄冥がたじろぐ。
 呂さんが今まで手に持っていた棒状のものを、パシパシと手に打ち付け始めた。
 たしかにあれでしばかれたら痛そうではあるけど、その絵面は少し問題がありそうだ。

「でも……釣竿とかないし……」

 言われて、私も竿を持っていないことに気が付く。
 いままで試練自体をやるかやらないかの話をしていたので、そこまで気が回らなかった。
 船上で使っていた竿は今、梁さんの診療所にある。

「真緒、もしかして貴女、釣竿……」
「し、しょうがないじゃん。試練で釣竿使うなんて知らなかったし、かさばるし、武器とかにもしてないし」
「そうね。しょうがないわね」

 口ではそう言っているものの、彼女の目はものすごく冷めていた。

『なんだ、竿なんてつくりゃいいだろ』

 呂さんは当然のように言い放ち、近くの――霧でぼやけているが、湿地林らしき場所を親指で指した。

『材料なんざそこらへんに転がってるぜ。ほら、おまえら、自分で選べ』
『選べって……もしかして、枝をですか?』
『そりゃそうだ。葉っぱや草からじゃ竿は作れねえだろ』

 これは麻雀の時みたいにまた準備に時間がかかるやつだ。
 べつに玄冥をフォローするつもりはないが、すでに面倒になってきた。

『そんな面倒くさそうな顔をするな。釣竿ってのは、謂わば〝相棒〟みてぇなもんだ。自分でこれだと思ったやつを選ばねぇと、後々、絶対に後悔するぜ』

 いまいちよくわからないが、なぜか〝この人が言うならそうなのだろう〟という説得力がある。
 とりあえず他に反対意見もなさそうなので、私たちは呂さんが示した湿地林へと向かった。

『こういうのって……細いほうがいいとかあるんですか?』

 近くの枝を一本持ち上げながら呂さんに見せる。

『しなるやつな。折れやすいのはよくねえ。節が少なくて、握ったときに〝嫌な感じ〟がしねぇやつ』
『い、いやな感じ……?』

 そんなことを言われても、湿地林で拾う枝はどれも湿っていて、嫌な感じがする。

『まあ、落ちてるやつはダメだ。ああいうのは基本、乾燥してるからな。狙うは生木。そのうえで〝これだ〟と思う枝を折れ』

 そんなことを言われ辺りを見回すが、いまいち興味をそそられるような枝はない。

「――これなどどうじゃ?」

 そんな中、フェニ子は鼻の穴を大きく膨らませながら、拾ってきた枝を見せてきた。
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