無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸

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第2章 丹梅国グルメ戦記・四象の蛇亀

第141話 釣り問答 その2

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 気が付いたら私は一歩前に出て、フェニ子のことを庇っていた。

親愛的ますたあ……!」
『たしかにフェニ子はトラブルメーカーで、普段から騒がしくて、鬱陶しいことこの上ないですけど――』
親愛的ますたあ……?」
『でも、彼女なりに私たちを慮ってくれてはいるんです。だから、私はフェニ子を信じてます』

 気が付くと、私はそんなこっ恥ずかしいことを口走っていた。
 けど、恥ずかしい事それこそが私の本心でもあった。

『おっと、悪い』

 呂さんはそう言うと、申し訳なさそうに立ち上がって謝罪してきた。

『勘違いされるような言い方になっちまったが、大前提として、俺は批判してるわけじゃあねえ。なにせ、俺だってこの鳳凰様が何を考えてるかはわからねえからな。まあ、たとえそれを知ってたところで、俺は誰かを真っ向から批判できるほど偉くねえ。……だが、それ・・を意図して隠しているのか、それとも言う機会を逃しただけなのか――おまえさんがたの雰囲気を見てると、後者なんじゃねえかと思って、それで機会を作ろうとしただけなんだ』
『そ、そう……だったんですね……』

 彼のその言葉が本当か嘘かはわからない。
 しかし、その力強い眼にはどこか、説得力のようなものがあった。

 そうして私たちは改めてフェニ子を見た。
 彼女は恥ずかしそうに、気まずそうに、その場でもじもじしている。

 思えば、彼女はなにか、私に伝えようとしていなかっただろうか。
 呂さんの言うとおり、たしかにこれは彼が作ってくれたいい機会だ。
 私はフェニ子の言葉に耳を傾けてみた。

「ま、親愛的ますたあ……」
『大丈夫だよ、フェニ子。ゆっくりで』
「んむ……すまぬ。ここではちょっと……じゃ」

 フェニ子はそう言って、辺りを見回す。
 たしかに今、ここには私だけでなく紅月や呂さんも……いつの間にか、玄冥もいた。

『なんであんた、ここにいんの』
「仲間はずれ……いくない……」

 そう言っている彼女の横で、蛇媧がシュルシュルと舌を動かす。

蛇媧あんたもか』
「す、すまぬのう、親愛的ますたあ……またいずれ、きちんと話すのじゃ」
『いや――』

 急がなくても大丈夫。
 言わなくても大丈夫。

 そんなことを言いかけて私は口をつぐむ。
 彼女は、フェニ子は少なからず私に言おうと意思表示してくれている。
 ここで私が引いてしまうと、彼女のその感情が行き場を失ってしまうかもしれない。
 だから、ここで私が放つべき言葉は――

『うん、そうだね。待ってるよ』

 そんな彼女を真正面から受け止めることだ。
 隠し事それが何なのかは、この際、重要ではない。
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