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任命される
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私、星野愛美が星空中学校2年A組に進学して初日の出来事だった。
「星野さん、先生からお願いがあるんだけど聞いてくれる?」
担任の先生から放課後に呼び出されたかと思ったら、職員室でそんなことを言われた。
「なんですか?」
先生からのお願いといえばクラスにプリントを運ぶとか明日の理科の授業で実験室の準備をすると行ったものが浮かんでくる。
「実は星野さんにお世話係としてほしいと思っているの」
「お世話係ですか?」
私は瞬きして聞き返す。
お世話係と聞いて思い浮かぶのは金魚とか、ウサギのお世話だ。
あれは生き物係とも呼ばれているんだっけ。
でも、うちの学校に生き物なんていたんだっけ?
まだ私が知らないだけかと思っていたら、先生が顔の前で手を合わせて「お願いできる?」と、聞いてきた。
私は胸を張って「もちろん、できます」と、頷いた。
家では猫を飼っているし、生き物は好きだ。
ヘビとかトカゲになるとちょっと苦手だけれど、そういうものを学校で飼っているとはあまり聞いたことがないからきっと大丈夫。
「よかったわ。こういうのを頼めるのはしっかり者の星野さんだけなのよ」
私が承諾したことで先生は心底ホッとしたような笑みを浮かべた。
そう言ってもらえるとなんだか誇らしくて背筋が伸びる。
私は受験のときに推薦枠を狙っているから、こうして今からコツコツと内申点をよくして行っている。
先生もそれを知っていたから私に頼んだんだと思う。
「それじゃ、さっそく案内するわね」
先生と一緒に私は放課後の廊下を歩く。
どこに生き物がいるんだろうとワクワクしながらついていくと、先生は渡り廊下を歩いて部室棟へと向かった。
「部活で動物を飼っているところがあるんですか?」
先生の後ろ姿へ向けて質問すると「う~ん、まぁ、そんなところね」と、曖昧な返事が返ってきた。
なんだろう?
と余計に不審に感じていたとき、先生がなんのプレートも出ていない教室の前で立ち止まった。
「ここよ」
「ここってなんですか?」
その質問には答えて貰えず、先生はスーツのポケットから名札を取り出して私に手渡してきた。
それには《お世話係》とだけ書かれている。
「それを右胸につけてから入室してね」
「え。先生は一緒に入らないんですか?」
「先生はここまでよ。じゃ、頑張ってね」
先生は私の肩を軽く叩いてもと来た廊下を戻っていく。
私はその後姿を見送ってから、自分の左胸に受け取ったネームをつけた。
お世話係としての説明とかなにもなかったけれど大丈夫だろうか。
そんな不安を懐きながらドアをノックする。
中から「はい」と、短い返事が聞こえてきてひとまずホッとした。
誰かがいるのは確かみたいだ。
「失礼します」
小さく声をかけながらドアを開けると、まず最初に目に入ったのは大きな黒いソファだった。
カタカナのロの文字にテーブルを囲むように置かれた重厚そうなソファが黒光りしていて、足を踏み入れるのを躊躇してしまう。
そのソファには4人の男子生徒が座っていて、一斉に私を見ていることに気がついた。
全員の視線が突き刺さってくるのを感じてゆっくりと後ずさりをする。
部屋の中をざっと見た感じ生き物もいないみたいだし、きっと先生は間違えて私をここへ案内したんだ。
「間違えました」
そう言って退室しようとしたときだった。
一番手前のソファに座っていた可愛らしい感じの男のが慌ててかけてきて私の腕を掴んでいた。
「待って待って、間違えてないから」
そう言って微笑むとエクボが見えてなんだか子供みたいに見える。
栗色の髪の毛には少しクセがあってふわふわしていて、まるでマルチーズみたいだ。
「え? いや、間違えたと思います。私、お世話係に任命されてここに来たので」
「うん。だからね合ってるよ?」
男子生徒が大きな目でクリクリと私を見上げて言う。
その可愛さに見とれていると「まぁ、とにかく座って」と、他の男子生徒に言われた。
マルチーズ男子に手をひかれてロの字形に置かれているソファの隙間から中へと入っていく。
ソファに座ろうとしたところで、他の3人の男子生徒たちもみんなカッコイイことに気がついた。
クールっぽい男子や優しそうな男子や筋肉質な男子。
みんな雰囲気が違うものの、それぞれが整った顔立ちをしている。
「俺から説明する」
そう言ったのは少し吊り目で冷たい印象を受ける男子生徒だった。
冷たく見えるのは左右対称の整いすぎた顔のせいかもしれない。
「ここはホスト科。君には俺達のお世話係をしてもらう」
えーっと。
今なんて?
聞き間違いかと思ってまばたきを繰り返す。
「汰斗。もっとちゃんと説明しなきゃ混乱してるよ。ホスト科の存在なんてほとんどの生徒が知らないんだから」
隣にいるマルチーズくんが呆れ顔をしている。
だけど汰斗と呼ばれたその人はもう説明する気がないのか、ふんっと鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。
なにか機嫌を損ねるようなことをしてしまっただろうかと沈んでいると「汰斗はいつもあの調子だから気にしないで」と、柔らかな笑みを見せた1人に言われた。
「僕は神里尋。よろしくお願いしますね」
大きな手を差し出されて咄嗟に握り返す。
やっとまともに会話できそうな人がいてひと安心だ。
「私は星野愛美です。よろしくお願いします」
ふたりで丁寧に挨拶を交わしていても汰斗と呼ばれた男子生徒は興味なさそうに窓の外を見つめている。
「ボクは増田侑介だよ。こっちの筋肉質なのが坪井大」
「よろしく」
マルチーズ侑介に紹介されて大が白い歯をのぞかせて笑いかけてくる。
「よろしくお願いします。で、ホスト科ってなんですか?」
それが一番肝心なところだ。
先生に言われるがままここまで来たはいいが、肝心の生き物もいなければよくわからない4人組に囲まれるハメになってしまって居心地が悪くて仕方ない。
「僕たちはこの学校で女子生徒を癒やすための部活動をしてるんだよ」
説明してくれたのは尋だった。
さっきから人を包み込むようなおおらかな笑みを浮かべていて、心を許してしまいそうになる。
「はぁ……」
「一応部活動ではあるんだけどさ、ボクらはホスト科って呼んでるんだよ」
侑介が呼び名への疑問を拭うように言った。
「それと、私のお世話係はなにか接点があるんですか? 見た所、金魚とかもいなさそうですけど」
「別に動物の世話をしてもらうわけじゃねぇよ。お世話係ってのは、オレたちの世話をしてもらう係のことだからな」
大の説明に私は目を見開いた。
「ホ、ホストのお世話ってことですか!?」
驚きすぎて声が上ずってしまう。
「今さらわかったか」
と、冷たく言ったのは汰斗だ。
その視線もとても冷たい。
「お世話係なんて言うからわかりにくいんですよね、すみません。マネージャーみたいなことをしてもらうと思っていただけたらいいですよ」
尋の説明になんだか納得しそうになってしまったけれど、ホストのお世話係なんてできるわけがない!
慌ててソファから立ち上がって出口へと向かう。
「ごめんなさい。私には無理そうです」
と、ドアを開けようとしたところで、また侑介に手を掴まれていた。
可愛い目で見つめられると、どうしてもその手を振りほどくことができず、固まってしまう。
「ボクたちにはどうしてもマネージャーが必要なんだぁ。みんなホストの仕事で忙しくて自分のスケジュール管理をするだけで一杯一杯なんだ」
そう言われてから部室内をもう一度見つめてみると、窓辺に置かれている花瓶にはなんの花も飾られていないし、床の隅っこにはほこりが積もっている。
掃除が行き届いていないのがすぐにわかった。
「ここに来たってことは、内申点を上げてぇんだろ?」
そう聞いてきたのは大だった。
図星だったのでグッと喉の奥に言葉が詰まってしまう。
自分の内申点のために何かをしようとするなんて、性格の悪いヤツだと思われてしまうかもしれない。
「それくらいのことみんなわかってるから、大丈夫だ」
以外にも安心させてくれる言葉を言ったのは汰斗だった。
さっきからクールで冷たい人だと思っていたけれど、実は人のことを考えてくれているのかもしれない。
「ホスト科の仕事を手伝ってくれると、内申点すごーく上がると思うよ!?」
侑介にまでそんなことを言われると、帰るに帰れなくなってしまう。
その場で立ち尽くしている私に追い打ちをかけるように大が「説明だけでも聞いてみねぇか?」と声をかけてきた。
説明だけなら聞いてもいいかもしれない。
先生が私にしか頼めないと言ってきたことも思い出されると、なにも聞かずに帰るのはさすがに失礼な気がしてきてしまった。
私は何事でもとにかくやってみる主義なのだ。
「わかった。じゃあ、ホスト科と、そのお世話係の仕事について教えてもらってもいい?」
私がそう言うと、侑介が嬉しそうにぱあっと微笑んだのだった。
☆☆☆
今、私の目の前のテーブルに人数分の麦茶が用意されていた。
部室にはガスなどないから、小型冷蔵庫から取り出したペットボトルのお茶が用意されていた。
用意してくれたのは優しげな笑みを浮かべている尋だった。
「はい、どうぞ」
と差し出されたグラスを両手で受け取って一口飲むと、緊張しているせいかあまり味を感じなかった。
「ホストクラブは知ってるか?」
無理茶を一口飲んでテーブルへ戻したタイミングで汰斗が言った。
ここでは汰斗が部長なのかもしれない。
「知ってます」
コクンと頷くと「それなら話は早い。ここはホストクラブの部活版だと思ってくれればいい」と、言われた。
おおよそ予想していた回答だけれど、ホストクラブと学校がどうしても結びつかない。
それに最近ではホストクラブの印象はあまりよくないから、つい顔をしかめてしまった。
「安心してください。 僕らの相手は同じ学校の生徒たちですから、大金を用意してもらうこともないです」
と、私の不安をぬぐうように尋が言う。
「それで、私の仕事はなにをするんですか?」
「基本的には俺たちのスケジュール管理。それに冷蔵庫の飲み物食べ物の補充。部室の掃除だな」
部室の掃除については行き届いていないのがわかっていたから、納得だった。
「スケジュール管理って、そんなに忙しいんですか?」
「オレら、結構人気あんだぜ?」
大が自信満々に親指で自分のことを指して答える。
そんな仕草も様になるくらい、たしかにみんなカッコイイ。
「でも、私はホスト科があるなんて知りませんでした」
「中には3年間ホスト科の存在を知らないまま卒業する生徒もいる。だけどそっちの方がいいんだ」
「どうしてですか?」
汰斗に聞き返すと真面目な顔つきになって「ホスト科を利用する子たちはみんななにかに悩んでいたり、なにかで傷ついて癒やしてほしいと思ってるんだ。不思議と、そういう子たちにしか俺たちの存在は知られていない。もちろん、先生たちは知ってるけどな」と、教えてくれた。
まるで秘密の部活動みたいでちょっとワクワクしてくる。
「ちなみに、これがスケジュール帳だよ」
侑介が電話の置いてある下の棚から分厚い手帳を取り出して見せてくれた。
ここ1年間の活動履歴がビッシリと書き込まれていて、学校が休みの日を除けばすべての日にスケジュールが組み込まれていることがわかった。
「こんなに毎日活動してたの!?」
驚きすぎて敬語も忘れてしまった。
私の反応に尋がクスッと笑って「これからは敬語を使わなくてもいいですからね」と、言ってくれた。
これならスケジュール管理が大変になっても納得だ。
それに掃除だって行き届かなくても不思議じゃない。
「ここに女子生徒たちが集まってくるの?」
「いや、オレたちは基本的に部室の外で会うようにしてんだ。こんな狭い場所にみんなが集まってきたら、大変だろ」
大の返答に大きく頷いた。
だったら余計にスケジュール管理は必要になってきそうだ。
誰とどこで、何時に待ち合わせをするか。
それをちゃんと把握しなきゃいけないんだから。
それだけでも大変そうだなと思っていると侑介が更になにかを持ってきてテーブルに広げ始めた。
それはホスト科を利用する際の決め事が書かれたプリント用紙だった。
「1回のデートに必要な金額は千円。それをデート代として僕らが受け取って、相手の子と会うんだ。学校外で会うことはないから、食堂でなにか飲んだり食べたりする程度だね。残ったお金で冷蔵庫の中のものを補充してる」
1回千円なら思ったよりも安い。
だけど私達はまだ中学生だ。
一月のお小遣いが三千円とすれば、結構な高額ということになる。
「千円支払ってでも話したいことがある。だからホスト科を使うんだ」
汰斗の説明に頷きそうになるけれど、やっぱり納得いかなかった。
「余ったお金を返金してあげないの?」
「そういうことをするとデートでケチる利用客が出てくるんだ。俺たちの部費は基本的にお客さんからもらったお金で成り立ってるから、部費が減ることになる」
「そういうことなんだね。でもどうして学校が部費を出してくれないの?」
部活動をするときには基本的に年に何円か決められた額のお金を学校が支払ってくれるようになっている。
「俺たちホスト科は学校からちゃんと認められた部活動じゃないからだ。先生たちは一応目をつむってくれているけれど、学校にホストクラブがあるのはどうしても許可できないらしい」
汰斗がため息交じりに言う。
だから、先生も部室の中に入らずにそのまま職員室へ戻ってしまったのかもしれない。
「そんなのでよく部活を続けられるね? この教室だって、貸してもらってるんだよね?」
聞くと、真剣な顔で頷いたのは尋だった。
「実はホスト科は僕たちが入学するより前からあったんですよ。その頃にはもっと先生からの風当たりも強くて、部室らしい部室もなかったんです。ホストに会いたい生徒は、放課後校舎裏に来てプランターの下に手紙を置いておくん、翌朝それを確認したホストが、手紙に書かれている時間と場所に行って、やっと会うことが叶っていたとか」
「それってほとんど都市伝説なんじゃ……」
「その通りだな。けどな、地道な活動を続けていたとき1人の女子生徒が本気で思い悩んでだんだ。その子はクラスでイジメに遭っていて、誰にも相談できなかった。いっそ死んでしまおうかとも思ってたらしいぜ。それが、ホスト科の噂を聞いて利用してみたら生きる気力を取り戻したんだってよ。女子生徒は必死で先生にホスト科をちゃんとした部活として認定してもらえるように頼み込んだんだってよ。それがキッカケになって、オレは今こうして部室を手に入れることができたってわけだ」
大が説明を終えて麦茶を一気に飲み干した。
部費は出せないけれど、ホスト科をないがしろにもできない。
学校側も宙ぶらりんな状況なんだろう。
ようやくホスト科の現状が見えてきた。
「そんな中で、よくこんな立派な備品を揃えることができたね?」
私がずっと座っているソファはふかふかで立ち上がるのが面倒になるくらいに心地いい。
「これは自分たちで持ち寄ったんだよ」
侑介が笑顔で答えてくれる。
なるほど。
だからこの部屋には統一感がないみたいだ。
「俺たちは少しでも救える生徒がいるかも知れないと思って、活動を続けてる」
「うん。気持ちはよくわかるよ」
私は汰斗の言葉に頷いた。
思っていたよりもずっとしっかりとした歴史がある活動みたいで、ちょっと安心した。
それでもまだこの星空中学校にホストクラブがあるなんて信用できないけれど。
「今は専用の電話で予約を取るようになっています」
尋が手帳を取り出した棚の上を目で指して教えてくれた。
この部活専用の固定電話みたいだ。
「受付時間は朝、昼、放課後の休憩時間だけ。朝からここへ来ることはできますか?」
尋に聞かれて私は「まぁ、なんとかなると思うよ」と、答えた。
私は部活もしていないから、朝も放課後もバッチリ開いている。
ただ、昼休憩時間にここに来られるかどうかは日よって変わるかも知れない。
先生はよく私にちょっとした頼みごとをしてくるから、そっちを優先しなきゃいけないときもあると思う。
「わかった。昼間はそれでもいい」
私の説明に汰斗は頷いた。
「それじゃ明日の朝からここに来て、掃除と電話当番をすること。放課後もここに来て、電話当番と冷蔵庫の中のチェックをしてもらって……」
「ちょ、ちょっと待って!」
どんどん話を進める汰斗を慌てて止めた。
「どうした?」
「私まだお世話係をするって決めたわけじゃないよ? まだわからないことだらけだし」
「でも内申点がほしいんだろ?」
大に言われて「ほしいけど、でも」と、口ごもってしまう。
そもそも生き物のお世話だと思ってここまで来たんだ。
急にホスト科の話しとかされてもやっぱり頭が追いつかない。
「えぇ~? ボク愛美ちゃんにお世話してほしいのにぃ」
侑介が唇をとがらせて頬をふくらませる。
そんな可愛い顔をされたらついOKしてしまいそうになるけれど、その気持ちをグッと抑え込んだ。
「侑介。そんな無茶を言っちゃダメですよ? 愛美ちゃんが困っていますから」
と、尋にたしなめられている。
「それなら、お試しで一ヶ月間だけやってみて、それから決めるってーのはどうだ?」
そう提案してきたのは大だ。
大は我ながらいいことを閃いたと言わんばかりの笑顔を浮かべている。
「一月くらいなら、まぁ」
できなくもないかな?
と、承諾してしまった。
途端に隣に座っていた侑介が抱きついてきて「うわぁい! ありがとう!」と体を揺らして喜び始めた。
いくら可愛い侑介が相手と言っても相手は男の子だ。
私は自分の顔がカーっと熱くなるのを感じて固まってしまった。
「侑介、星野さんが困ってるから離れろ」
汰斗から冷たい視線を送られても侑介は気にしていない。
ぎゅーっと抱きしめられて心臓がドキドキしてきてしまう。
「全く。離れろって言ってるだろ」
私の目の前のソファに座っていた汰斗がため息まじりに席を立ち、私から侑介を引き剥がしてくれた。
ようやく開放されてホッとため息を吐く。
「とにかく、お試し期間ってことで、明日からよろしく頼む。ここの鍵は職員室にあるから、朝来たらまず職員室へ行ってくれ」
「わ、わかった」
汰斗の説明に頷いて、私はそそくさとホスト科を出たのだった。
「星野さん、先生からお願いがあるんだけど聞いてくれる?」
担任の先生から放課後に呼び出されたかと思ったら、職員室でそんなことを言われた。
「なんですか?」
先生からのお願いといえばクラスにプリントを運ぶとか明日の理科の授業で実験室の準備をすると行ったものが浮かんでくる。
「実は星野さんにお世話係としてほしいと思っているの」
「お世話係ですか?」
私は瞬きして聞き返す。
お世話係と聞いて思い浮かぶのは金魚とか、ウサギのお世話だ。
あれは生き物係とも呼ばれているんだっけ。
でも、うちの学校に生き物なんていたんだっけ?
まだ私が知らないだけかと思っていたら、先生が顔の前で手を合わせて「お願いできる?」と、聞いてきた。
私は胸を張って「もちろん、できます」と、頷いた。
家では猫を飼っているし、生き物は好きだ。
ヘビとかトカゲになるとちょっと苦手だけれど、そういうものを学校で飼っているとはあまり聞いたことがないからきっと大丈夫。
「よかったわ。こういうのを頼めるのはしっかり者の星野さんだけなのよ」
私が承諾したことで先生は心底ホッとしたような笑みを浮かべた。
そう言ってもらえるとなんだか誇らしくて背筋が伸びる。
私は受験のときに推薦枠を狙っているから、こうして今からコツコツと内申点をよくして行っている。
先生もそれを知っていたから私に頼んだんだと思う。
「それじゃ、さっそく案内するわね」
先生と一緒に私は放課後の廊下を歩く。
どこに生き物がいるんだろうとワクワクしながらついていくと、先生は渡り廊下を歩いて部室棟へと向かった。
「部活で動物を飼っているところがあるんですか?」
先生の後ろ姿へ向けて質問すると「う~ん、まぁ、そんなところね」と、曖昧な返事が返ってきた。
なんだろう?
と余計に不審に感じていたとき、先生がなんのプレートも出ていない教室の前で立ち止まった。
「ここよ」
「ここってなんですか?」
その質問には答えて貰えず、先生はスーツのポケットから名札を取り出して私に手渡してきた。
それには《お世話係》とだけ書かれている。
「それを右胸につけてから入室してね」
「え。先生は一緒に入らないんですか?」
「先生はここまでよ。じゃ、頑張ってね」
先生は私の肩を軽く叩いてもと来た廊下を戻っていく。
私はその後姿を見送ってから、自分の左胸に受け取ったネームをつけた。
お世話係としての説明とかなにもなかったけれど大丈夫だろうか。
そんな不安を懐きながらドアをノックする。
中から「はい」と、短い返事が聞こえてきてひとまずホッとした。
誰かがいるのは確かみたいだ。
「失礼します」
小さく声をかけながらドアを開けると、まず最初に目に入ったのは大きな黒いソファだった。
カタカナのロの文字にテーブルを囲むように置かれた重厚そうなソファが黒光りしていて、足を踏み入れるのを躊躇してしまう。
そのソファには4人の男子生徒が座っていて、一斉に私を見ていることに気がついた。
全員の視線が突き刺さってくるのを感じてゆっくりと後ずさりをする。
部屋の中をざっと見た感じ生き物もいないみたいだし、きっと先生は間違えて私をここへ案内したんだ。
「間違えました」
そう言って退室しようとしたときだった。
一番手前のソファに座っていた可愛らしい感じの男のが慌ててかけてきて私の腕を掴んでいた。
「待って待って、間違えてないから」
そう言って微笑むとエクボが見えてなんだか子供みたいに見える。
栗色の髪の毛には少しクセがあってふわふわしていて、まるでマルチーズみたいだ。
「え? いや、間違えたと思います。私、お世話係に任命されてここに来たので」
「うん。だからね合ってるよ?」
男子生徒が大きな目でクリクリと私を見上げて言う。
その可愛さに見とれていると「まぁ、とにかく座って」と、他の男子生徒に言われた。
マルチーズ男子に手をひかれてロの字形に置かれているソファの隙間から中へと入っていく。
ソファに座ろうとしたところで、他の3人の男子生徒たちもみんなカッコイイことに気がついた。
クールっぽい男子や優しそうな男子や筋肉質な男子。
みんな雰囲気が違うものの、それぞれが整った顔立ちをしている。
「俺から説明する」
そう言ったのは少し吊り目で冷たい印象を受ける男子生徒だった。
冷たく見えるのは左右対称の整いすぎた顔のせいかもしれない。
「ここはホスト科。君には俺達のお世話係をしてもらう」
えーっと。
今なんて?
聞き間違いかと思ってまばたきを繰り返す。
「汰斗。もっとちゃんと説明しなきゃ混乱してるよ。ホスト科の存在なんてほとんどの生徒が知らないんだから」
隣にいるマルチーズくんが呆れ顔をしている。
だけど汰斗と呼ばれたその人はもう説明する気がないのか、ふんっと鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。
なにか機嫌を損ねるようなことをしてしまっただろうかと沈んでいると「汰斗はいつもあの調子だから気にしないで」と、柔らかな笑みを見せた1人に言われた。
「僕は神里尋。よろしくお願いしますね」
大きな手を差し出されて咄嗟に握り返す。
やっとまともに会話できそうな人がいてひと安心だ。
「私は星野愛美です。よろしくお願いします」
ふたりで丁寧に挨拶を交わしていても汰斗と呼ばれた男子生徒は興味なさそうに窓の外を見つめている。
「ボクは増田侑介だよ。こっちの筋肉質なのが坪井大」
「よろしく」
マルチーズ侑介に紹介されて大が白い歯をのぞかせて笑いかけてくる。
「よろしくお願いします。で、ホスト科ってなんですか?」
それが一番肝心なところだ。
先生に言われるがままここまで来たはいいが、肝心の生き物もいなければよくわからない4人組に囲まれるハメになってしまって居心地が悪くて仕方ない。
「僕たちはこの学校で女子生徒を癒やすための部活動をしてるんだよ」
説明してくれたのは尋だった。
さっきから人を包み込むようなおおらかな笑みを浮かべていて、心を許してしまいそうになる。
「はぁ……」
「一応部活動ではあるんだけどさ、ボクらはホスト科って呼んでるんだよ」
侑介が呼び名への疑問を拭うように言った。
「それと、私のお世話係はなにか接点があるんですか? 見た所、金魚とかもいなさそうですけど」
「別に動物の世話をしてもらうわけじゃねぇよ。お世話係ってのは、オレたちの世話をしてもらう係のことだからな」
大の説明に私は目を見開いた。
「ホ、ホストのお世話ってことですか!?」
驚きすぎて声が上ずってしまう。
「今さらわかったか」
と、冷たく言ったのは汰斗だ。
その視線もとても冷たい。
「お世話係なんて言うからわかりにくいんですよね、すみません。マネージャーみたいなことをしてもらうと思っていただけたらいいですよ」
尋の説明になんだか納得しそうになってしまったけれど、ホストのお世話係なんてできるわけがない!
慌ててソファから立ち上がって出口へと向かう。
「ごめんなさい。私には無理そうです」
と、ドアを開けようとしたところで、また侑介に手を掴まれていた。
可愛い目で見つめられると、どうしてもその手を振りほどくことができず、固まってしまう。
「ボクたちにはどうしてもマネージャーが必要なんだぁ。みんなホストの仕事で忙しくて自分のスケジュール管理をするだけで一杯一杯なんだ」
そう言われてから部室内をもう一度見つめてみると、窓辺に置かれている花瓶にはなんの花も飾られていないし、床の隅っこにはほこりが積もっている。
掃除が行き届いていないのがすぐにわかった。
「ここに来たってことは、内申点を上げてぇんだろ?」
そう聞いてきたのは大だった。
図星だったのでグッと喉の奥に言葉が詰まってしまう。
自分の内申点のために何かをしようとするなんて、性格の悪いヤツだと思われてしまうかもしれない。
「それくらいのことみんなわかってるから、大丈夫だ」
以外にも安心させてくれる言葉を言ったのは汰斗だった。
さっきからクールで冷たい人だと思っていたけれど、実は人のことを考えてくれているのかもしれない。
「ホスト科の仕事を手伝ってくれると、内申点すごーく上がると思うよ!?」
侑介にまでそんなことを言われると、帰るに帰れなくなってしまう。
その場で立ち尽くしている私に追い打ちをかけるように大が「説明だけでも聞いてみねぇか?」と声をかけてきた。
説明だけなら聞いてもいいかもしれない。
先生が私にしか頼めないと言ってきたことも思い出されると、なにも聞かずに帰るのはさすがに失礼な気がしてきてしまった。
私は何事でもとにかくやってみる主義なのだ。
「わかった。じゃあ、ホスト科と、そのお世話係の仕事について教えてもらってもいい?」
私がそう言うと、侑介が嬉しそうにぱあっと微笑んだのだった。
☆☆☆
今、私の目の前のテーブルに人数分の麦茶が用意されていた。
部室にはガスなどないから、小型冷蔵庫から取り出したペットボトルのお茶が用意されていた。
用意してくれたのは優しげな笑みを浮かべている尋だった。
「はい、どうぞ」
と差し出されたグラスを両手で受け取って一口飲むと、緊張しているせいかあまり味を感じなかった。
「ホストクラブは知ってるか?」
無理茶を一口飲んでテーブルへ戻したタイミングで汰斗が言った。
ここでは汰斗が部長なのかもしれない。
「知ってます」
コクンと頷くと「それなら話は早い。ここはホストクラブの部活版だと思ってくれればいい」と、言われた。
おおよそ予想していた回答だけれど、ホストクラブと学校がどうしても結びつかない。
それに最近ではホストクラブの印象はあまりよくないから、つい顔をしかめてしまった。
「安心してください。 僕らの相手は同じ学校の生徒たちですから、大金を用意してもらうこともないです」
と、私の不安をぬぐうように尋が言う。
「それで、私の仕事はなにをするんですか?」
「基本的には俺たちのスケジュール管理。それに冷蔵庫の飲み物食べ物の補充。部室の掃除だな」
部室の掃除については行き届いていないのがわかっていたから、納得だった。
「スケジュール管理って、そんなに忙しいんですか?」
「オレら、結構人気あんだぜ?」
大が自信満々に親指で自分のことを指して答える。
そんな仕草も様になるくらい、たしかにみんなカッコイイ。
「でも、私はホスト科があるなんて知りませんでした」
「中には3年間ホスト科の存在を知らないまま卒業する生徒もいる。だけどそっちの方がいいんだ」
「どうしてですか?」
汰斗に聞き返すと真面目な顔つきになって「ホスト科を利用する子たちはみんななにかに悩んでいたり、なにかで傷ついて癒やしてほしいと思ってるんだ。不思議と、そういう子たちにしか俺たちの存在は知られていない。もちろん、先生たちは知ってるけどな」と、教えてくれた。
まるで秘密の部活動みたいでちょっとワクワクしてくる。
「ちなみに、これがスケジュール帳だよ」
侑介が電話の置いてある下の棚から分厚い手帳を取り出して見せてくれた。
ここ1年間の活動履歴がビッシリと書き込まれていて、学校が休みの日を除けばすべての日にスケジュールが組み込まれていることがわかった。
「こんなに毎日活動してたの!?」
驚きすぎて敬語も忘れてしまった。
私の反応に尋がクスッと笑って「これからは敬語を使わなくてもいいですからね」と、言ってくれた。
これならスケジュール管理が大変になっても納得だ。
それに掃除だって行き届かなくても不思議じゃない。
「ここに女子生徒たちが集まってくるの?」
「いや、オレたちは基本的に部室の外で会うようにしてんだ。こんな狭い場所にみんなが集まってきたら、大変だろ」
大の返答に大きく頷いた。
だったら余計にスケジュール管理は必要になってきそうだ。
誰とどこで、何時に待ち合わせをするか。
それをちゃんと把握しなきゃいけないんだから。
それだけでも大変そうだなと思っていると侑介が更になにかを持ってきてテーブルに広げ始めた。
それはホスト科を利用する際の決め事が書かれたプリント用紙だった。
「1回のデートに必要な金額は千円。それをデート代として僕らが受け取って、相手の子と会うんだ。学校外で会うことはないから、食堂でなにか飲んだり食べたりする程度だね。残ったお金で冷蔵庫の中のものを補充してる」
1回千円なら思ったよりも安い。
だけど私達はまだ中学生だ。
一月のお小遣いが三千円とすれば、結構な高額ということになる。
「千円支払ってでも話したいことがある。だからホスト科を使うんだ」
汰斗の説明に頷きそうになるけれど、やっぱり納得いかなかった。
「余ったお金を返金してあげないの?」
「そういうことをするとデートでケチる利用客が出てくるんだ。俺たちの部費は基本的にお客さんからもらったお金で成り立ってるから、部費が減ることになる」
「そういうことなんだね。でもどうして学校が部費を出してくれないの?」
部活動をするときには基本的に年に何円か決められた額のお金を学校が支払ってくれるようになっている。
「俺たちホスト科は学校からちゃんと認められた部活動じゃないからだ。先生たちは一応目をつむってくれているけれど、学校にホストクラブがあるのはどうしても許可できないらしい」
汰斗がため息交じりに言う。
だから、先生も部室の中に入らずにそのまま職員室へ戻ってしまったのかもしれない。
「そんなのでよく部活を続けられるね? この教室だって、貸してもらってるんだよね?」
聞くと、真剣な顔で頷いたのは尋だった。
「実はホスト科は僕たちが入学するより前からあったんですよ。その頃にはもっと先生からの風当たりも強くて、部室らしい部室もなかったんです。ホストに会いたい生徒は、放課後校舎裏に来てプランターの下に手紙を置いておくん、翌朝それを確認したホストが、手紙に書かれている時間と場所に行って、やっと会うことが叶っていたとか」
「それってほとんど都市伝説なんじゃ……」
「その通りだな。けどな、地道な活動を続けていたとき1人の女子生徒が本気で思い悩んでだんだ。その子はクラスでイジメに遭っていて、誰にも相談できなかった。いっそ死んでしまおうかとも思ってたらしいぜ。それが、ホスト科の噂を聞いて利用してみたら生きる気力を取り戻したんだってよ。女子生徒は必死で先生にホスト科をちゃんとした部活として認定してもらえるように頼み込んだんだってよ。それがキッカケになって、オレは今こうして部室を手に入れることができたってわけだ」
大が説明を終えて麦茶を一気に飲み干した。
部費は出せないけれど、ホスト科をないがしろにもできない。
学校側も宙ぶらりんな状況なんだろう。
ようやくホスト科の現状が見えてきた。
「そんな中で、よくこんな立派な備品を揃えることができたね?」
私がずっと座っているソファはふかふかで立ち上がるのが面倒になるくらいに心地いい。
「これは自分たちで持ち寄ったんだよ」
侑介が笑顔で答えてくれる。
なるほど。
だからこの部屋には統一感がないみたいだ。
「俺たちは少しでも救える生徒がいるかも知れないと思って、活動を続けてる」
「うん。気持ちはよくわかるよ」
私は汰斗の言葉に頷いた。
思っていたよりもずっとしっかりとした歴史がある活動みたいで、ちょっと安心した。
それでもまだこの星空中学校にホストクラブがあるなんて信用できないけれど。
「今は専用の電話で予約を取るようになっています」
尋が手帳を取り出した棚の上を目で指して教えてくれた。
この部活専用の固定電話みたいだ。
「受付時間は朝、昼、放課後の休憩時間だけ。朝からここへ来ることはできますか?」
尋に聞かれて私は「まぁ、なんとかなると思うよ」と、答えた。
私は部活もしていないから、朝も放課後もバッチリ開いている。
ただ、昼休憩時間にここに来られるかどうかは日よって変わるかも知れない。
先生はよく私にちょっとした頼みごとをしてくるから、そっちを優先しなきゃいけないときもあると思う。
「わかった。昼間はそれでもいい」
私の説明に汰斗は頷いた。
「それじゃ明日の朝からここに来て、掃除と電話当番をすること。放課後もここに来て、電話当番と冷蔵庫の中のチェックをしてもらって……」
「ちょ、ちょっと待って!」
どんどん話を進める汰斗を慌てて止めた。
「どうした?」
「私まだお世話係をするって決めたわけじゃないよ? まだわからないことだらけだし」
「でも内申点がほしいんだろ?」
大に言われて「ほしいけど、でも」と、口ごもってしまう。
そもそも生き物のお世話だと思ってここまで来たんだ。
急にホスト科の話しとかされてもやっぱり頭が追いつかない。
「えぇ~? ボク愛美ちゃんにお世話してほしいのにぃ」
侑介が唇をとがらせて頬をふくらませる。
そんな可愛い顔をされたらついOKしてしまいそうになるけれど、その気持ちをグッと抑え込んだ。
「侑介。そんな無茶を言っちゃダメですよ? 愛美ちゃんが困っていますから」
と、尋にたしなめられている。
「それなら、お試しで一ヶ月間だけやってみて、それから決めるってーのはどうだ?」
そう提案してきたのは大だ。
大は我ながらいいことを閃いたと言わんばかりの笑顔を浮かべている。
「一月くらいなら、まぁ」
できなくもないかな?
と、承諾してしまった。
途端に隣に座っていた侑介が抱きついてきて「うわぁい! ありがとう!」と体を揺らして喜び始めた。
いくら可愛い侑介が相手と言っても相手は男の子だ。
私は自分の顔がカーっと熱くなるのを感じて固まってしまった。
「侑介、星野さんが困ってるから離れろ」
汰斗から冷たい視線を送られても侑介は気にしていない。
ぎゅーっと抱きしめられて心臓がドキドキしてきてしまう。
「全く。離れろって言ってるだろ」
私の目の前のソファに座っていた汰斗がため息まじりに席を立ち、私から侑介を引き剥がしてくれた。
ようやく開放されてホッとため息を吐く。
「とにかく、お試し期間ってことで、明日からよろしく頼む。ここの鍵は職員室にあるから、朝来たらまず職員室へ行ってくれ」
「わ、わかった」
汰斗の説明に頷いて、私はそそくさとホスト科を出たのだった。
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