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西羽咲 花月

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病院に来るのはこれで何度目だろうか。
相変わらずおしゃれな院内だけど、この建物の中では今日も誰かが死んでいるのだ。
前に教えてもらった4階の病室へ迷わず向かうと、愛子が額に脂汗を浮かべていた。
一見して様子がおかしいことはわかった。
しかし、見舞客はおらず、看護師たちも異変に気がついていない状態だった。
「どうしたの愛子?」
あたしはベッドに近づいて声をかけた。
あたしの顔を見た瞬間、愛子の顔に恐怖が浮かんできた。
こんな状況でもあたしたちの存在は愛子にとって怖いものなのだと思い、笑ってしまいそうになった。
それほど怖いくせに、どうしてあたしたちのことをイジメていたのだろう。
「胸が……」
愛子はそれでも懸命に訴えた。
両手で胸を抑え、喘ぐようにあたしと夢を見つめる。
あたしたちならすぐに愛子を助けることができる。
前回と同じようにベッドから落ちてしまったナースコールを押すことだってできる。
でも……。
「なんで、あんなことをしたの?」
夢が一歩ベッドに近づき、愛子へ向けてそう聞いた。
愛子は目に涙を浮かべて「ごめんなさい……」と、呟いた。

☆☆☆

あれは2年生に上がってすぐのことだった。
D組になる前から、あたしたちは愛子の存在を知っていた。
同じ中学校出身だったのだ。
中学時代の愛子はとても大人しく目立たない存在だった。
高校に入学してからもそれは変わらなかった。
決して誰かをイジメるようなタイプじゃない。
むしろ、美紀みたいな子に目をつけられるタイプだったのだ。
そして、それは当たっていた。
1年生の頃から愛子は美紀にイジメられ続けていたのだ。
2年生になってから同じクラスになったあたしたちはそのことを知らなかった。
だから愛子が同じクラスだとわかったとき、普通に話しかけていたのだ。
『愛子おはよう! 同じクラスなんて偶然だね』
下駄箱の前に張り出されていたクラス分けの紙を見て、すでに愛子の名前は見つけていた。
『お、おはよう』
愛子はおどおどとした様子で言い、やけに周囲を気にしていた。
今思えば、美紀の姿を探していたんだと思う。
イジメられっ子の愛子があたしたちと仲良く会話をしていたら、それをネタに更にイジメられるかもしれないから、
『どうしたの愛子、顔色が悪いよ?』
夢が心配そうに声をかける。
それでも愛子は『うん』と小さな声で返事をするだけだった。

なるべく人と関わらないようにしているのがわかって、あたしと夢は無理に愛子に近づかない方がいいのだろうかと思い、自分たちの席に戻った。
『なんか、昔よりも暗くなったよね』
あたしは夢にだけ聞こえる世に行った。
『だよね。中学時代も大人しかったけど、あんなに挙動不審じゃなかったよ』
愛子はキョロキョロと教室内を見回して、なにかに怯えたように不安そうな顔をしている。
そんな愛子を見て他のクラスメートたちも怪訝そうな表情になっている。
このままじゃ愛子はD組の中で浮いてしまうかもしれない。
そんな風に考えた時、美紀と陸が教室に入ってきた。
途端に夢が2人から視線を外す。
この時に、夢はすでに美紀にいい印象は抱いていないからだ。
あたしは美紀と陸の存在はよく知っていた。
派手な子たちで、自分たちの言いたいことを何でも口にだす。
敬遠されているものの、嫌われたら面倒くさい相手のため、みんな愛想笑いで付き合っているのだ。
なんにせよ、仲良くはなれない相手だった。
『あ、愛子じゃん!』
教室に入った美紀が愛子に近づいて行く。
『え、あの2人って仲いいの?』
意外な組み合わせに夢が驚く。
しかし、愛子は美紀を見た瞬間青ざめたのだ。
怯えた表情を隠せていない。

『違う、あれ友達なんかじゃないよ』
あたしは小声で夢に言った。
美紀は愛子の机の上に座り、陸と会話を始めてしまった。
椅子に座ったままの愛子は青ざめた顔でうつむいている。
『はよ~って、まぁた愛子の机に座ってんのか』
教室に入ってきた靖がその光景を見てゲラゲラと声を上げて笑う。
『だってこの子なぁんにも文句言わないんだもん。あたしが座ったって平気なんだよ。ね、愛子?』
美紀に話しかけられた愛子はビクリと体を震わせたが、無理やり笑顔を作って頷いている。
『お前ってマジでマゾだよなぁ』
陸が愛子を見て言う。
『そうだよ。こぉんなことしても怒らないんだよ?』
美紀が机に座ったまま体を反転させて、愛子の両ひざに自分の足を乗せる。
もちろん上履きを履いたままだ。
そのまま愛子の膝の上で何度も足踏みをして見せた。
愛子はうつむき、グッと耐えている。
『そう言えば1年の時は美紀に髪の毛切られたのに、ずっとヘラヘラ笑ってたよな』
靖が思い出したように言う。
『そうそう! あれはうけたよねぇ!』
美紀たちの笑い声が教室中に響き渡る。
『これからも1年間よろしくねぇ?』
美紀は愛子へ向けてそう言ったのだった。

☆☆☆

『美紀って最低』
呟いたのは休憩時間の女子トイレだった。
あたしと夢以外には誰もいない。
『ほんと。まさか愛子のことイジメてたなんてねぇ』
夢は鏡で前髪を整えながら言った。
『でも、どこの学校絵もそう言うことってあるよね。誰かがやられる役で、誰かがやる役に、どうしてもなっちゃうんだよ』
夢はどこか冷めた声色だ。
『それはわかってるけどさぁ』
今まであからさまなイジメを目撃したことがないあたしは、どうしても胸にひっかかるものがあった。
あれだけのことをされていて、どうして愛子は黙っているんだろう?
クラスのみんなだって、先生に伝えることくらいできるはずなのに。
もんもんとした気分になっていると、トイレのドアが開いて愛子が入ってきた。
無視してトイレから出ればよかったのだけれど、愛子の頬に光る涙を見てしまい、思わず立ち止まってしまった。
あたしたちは中学から一緒だったんだ。
このまま一言も声をかけずにトイレから出ていいのだろうかと、悩んでしまった。
『あ、あのさ……大丈夫?』
声をかけた瞬間、愛子の涙のダムが決壊してしまった。
次々と涙があふれ出し、嗚咽を漏らしながら泣きじゃくる。
今までこうして泣くこともできなかったのかもしれない。
『ちょ、ちょっと愛子』
夢が困ったように手を差し伸べる。
しかし愛子はその手を握らなかった。
その変わりあたしたちにこう言ったんだ。
『今日の放課後、校舎裏に呼び出されたの。お願い助けて』
と……。

☆☆☆

『どうする?』
愛子に言われた放課後まで、残すところ1時間となっていた。
夢の言葉にあたしは『う~ん』と、唸り声を上げる。
あれから愛子のことを気にしてみていたけれど、休憩時間の度になにかしら嫌がらせを受けているようだった。
『先生に言う?』
『そうだね。それがいいかもしれない』
あたしたち2人が言ったところで美紀がイジメをやめるとは思えなかった。
むしろ更にエスカレートするかもしれない。
こういうのは教育現場のプロに任せればいい。
そう思っていたのだけれど『お願い、先生にだけは言わないで。バラしたら、あの写真をばら撒かれる!』
放課後になり、教室を出ていく愛子がそう声をかけてきたのだ。
あたしは唖然として愛子を見つめた。
なんでそんなこと言うの?
あたしたちにどうしろって言うの?
そう質問したかったけれど、愛子はすぐに美紀に連れられて出ていってしまったのだ。

『どうしたの靖子?』
『愛子が、先生には言わないでって』
そう言うと夢は困ったように眉を寄せた。
先生の協力をあおげないなら、2人で愛子を助けに行くしかない。
でも、正直そんな度胸は持っていなかった。
『美紀たちを敵に回すってこと?』
『そんな……』
それだけは避けたかった。
せっかくここまで平穏な高校生活を送ってきていたのだ。
みすみすそれを手放す気はなかった。
『愛子、ちょっと気になることを言ってたんだよね』
『なに?』
『先生にばれたら、写真をばら撒かれるって』
『写真? なんのこと?』
『わかんない』
あたしは左右に首を振った。
考えられることはただひとつ。
美紀たちになにか弱みになる写真を握られているということだ。
このまま愛子たちをほっておいて本当に大丈夫なのか、不安が膨らんでいく。
それは夢も一緒だったようで、2人して少しだけ様子を見に行くことにしたのだった。

☆☆☆

校舎裏はジメジメとしていて薄暗い空間だった。
壁に隠れるようにして確認してみると、そこには美紀と陸、そして靖の姿があった。
愛子がいないと思ったが、枯れた花が放置されている花壇にその姿はあった。
突き飛ばされたか殴られたかしたのだろう、愛子は花壇に倒れ込んでいて制服は泥だらけになっていた。
『2年生になったからってスカート丈短くしてんじゃねぇよ!』
美紀が愛子の足を踏みつけて怒鳴る。
『ご、ごめんなさい!』
愛子は泥だらけになりながら必死で謝っている。
『愛子のスカートって短かったっけ?』
小声で夢が聞いてきたのであたしは左右に首を振った。
別に短いとは感じなかった。
きっと美紀は適当な言いがかりを付けているだけなのだ。

『謝る時は土下座だろ!』
美紀が言うと、靖がスマホを取り出して愛子を動画撮影し始めた。
『で、でも……』
『まだ口応えすんのかよ? いい加減学習しろよ?』
陸が持っていたタバコを愛子に近づける。
愛子はヒッ! と悲鳴を上げて花壇の中で正座をした。
美紀は仁王立ちをして愛子を見下ろしている。
『すみませんでした!』
愛子は花壇に額を付けて謝罪した。
それを笑いながら見ている3人。
美紀は愛子の頭部に自分の足を乗せて、体重をかけた。
愛子の顔が花壇にめり込む。
土下座をしている体がガタガタと震えているのが、ここからでもわかった。
恐怖のためか、それとも屈辱のためかわからないが。
『あははははは!』
美紀の不快な笑い声が聞こえてきて、あたしは無意識のうちに飛び出していた。
後ろから夢も付いてくる。
『なにしてんだよ!!』
あたしは今まで発したことのない怒号を上げて、美紀を突き飛ばしていたのだ。
美紀の体が横倒しに倒れる。
愛子が驚いて顔をあげた。
その顔は泥だらけで、何度か殴られたのは頬が赤くなっていた。

『なんだお前ら』
陸がこちらに睨みをきかせる。
その間に夢は愛子の体を支えて起こしていた。
さすがに男相手じゃかなわない。
今は愛子を連れて逃げることが先決だった。
『行こう!』
あたしたちは必死に走ってその場から離れたのだった。

☆☆☆

『ありがとう』
学校から離れた公園で顔を洗い、ようやく愛子はそう言った。
目は真っ赤に充血しているし、殴られたらしい頬は腫れてきていてひどい有様だ。
痛々しい愛子を直視できなくて、あたしは地面に視線を落とした。
するとそこに陸の怒った顔が浮かんできた。
もしかしてあたしはとんでもないことをしてしまったんじゃないか?
そう思ったが、後悔はしていなかった。
あんな場面を目撃して黙っていることなんてできない。
『愛子、いつもあんなことされてるの?』
夢の質問に愛子は頷いた。
あたしはなにも言うことができない。
あんなのひどすぎるから。
『靖子から聞いたんだけど、写真ってなに?』
その質問には愛子は一瞬口ごもった。
しかし、黙っていることもできないと思ったのか、素直に説明してくれた。
『1年生の時、本を万引きしたの』
『え?』
あたしは思わず聞き返した、
愛子が万引きなんてするようには見えないからだ。
『どうしても欲しい小説があって、でもお金が足りなくて買えなくてつい……。それを美紀たちに見られてたの。写真も撮られて、それからイジメられるようになった』

『そうだったんだ……』
愛子がイジメられる原因になったのは、ただ性格の問題ではなかったみたいだ。
愛子は美紀たちに弱みを握られているから、逆らうこともできないのだ。
『自業自得だよね』
愛子は自嘲気味に笑う。
その笑顔が痛々しくてあたしは左右に首を振った。
『万引きは確かに悪いことだけど、それをネタにイジメるなんてもっと悪いことだよ』
あたしの言葉に夢も大きく頷いて
『あいつらの方こそ沢山万引きしてるんじゃないの?』
なんて言いだした。
その可能性も大いにある。
だけどこちらにはなにも証拠がないから、どうすることもできない。
『とにかく、なにかあったらまた相談してね?』
あたしはそう言ってその日は帰ったのだった。
これで少しは愛子が元気になってくれればいい。
そう思っていたのだけれど……。

翌日、予期せぬことが起こっていた。
D組の教室に入ると同時にクラスメートたちからの視線を感じたのだ。
それは憐みの視線。
そして好奇心の視線の2つだった。
なんだろうと思いながら自分の席へ向かうと、マジックで大きく偽善者と書かれているのが見えた。
その殴り書きの文字にスッと背筋が冷たくなるのを感じた。
教室後方から笑い声が聞こえてきて振り向くと、そこには美紀の姿があった。
これ見よがしにマジックを手に持っている。
美紀の横には陸と靖、そして……愛子が立っていた。
『愛子?』
名前を呼ぶと愛子はすぐに視線をそらせた。
まるで美紀の背後に隠れるように身を隠す。
なに?
どういうこと?
理解できる前に夢が登校してきた。
そして自分の席を確認するなり青ざめる。
まさかと思って駆け寄ってみると、あたしと同じようにマジックで偽善者と書かれていたのだ。

2人してその場に立ちつくしていると愛子が近付いてきた。
その後ろには美紀たちの姿もある。
あたしたちは咄嗟に身構えていた。
愛子は青い顔をしてあたしたちを見つめる。
『ほら、言ってやりなよ』
後ろから美紀が愛子の背中をつついて言った。
愛子はビクリと震え、そして真っすぐにあたしたちを見つめた。
そして、ハッキリとした声で言ったのだ。
『偽善者』と……。
その瞬間あたしは頭の中が真っ白になった。
愛子になにを言われたのか理解するまで、少し時間も必要だった。
きっと、夢も同じだったんだと思う。
あたしの隣で何も言えないまま立ちつくしていたから。
ただ、周囲の温度がスーッと冷えていくことだけ感じていた。
昨日までは暖かな世界にいたのに、突然氷の世界に投げ出された。
そんな心境だった。
どこからか、クスクスとあたしたちを笑う声も聞こえてきた。
なにがおかしいの?
どうして笑うの?
聞きたいけれど、聞けない。

世界が冷たすぎて、口を開けば凍えてしまいそうだったから。
『ほんと……ウザイからやめてよね』
何も言えないあたしたちへ向けて愛子は言葉を重ねた。
その声はとても震えていて、愛子の本心じゃないんだろうなということは理解できた。
美紀に言わされているのだと。
愛子の後ろで美紀はずっと笑っている。
高みの見物というわけだ。
その瞬間胸の中に嫌なものが広がっていった。
人への嫌悪感だ。
美紀の性格の悪さに胸が悪くなってくる。
『それだけ?』
美紀は愛子に聞く。
愛子はまたビクリと震えた。
明らかに怯えている様子だ。
『あ、あんたたちなんか……友達じゃないから!』
最後は叫んだように聞こえた。
あたしと夢はその言葉に同時に目を見開いていた。
冷たい世界の気温が一気に体内へとなだれ込んでくる感覚がした。
全身が冷えていく。
動けない。
言葉も発せない。
そのときのあたしはまるで、氷の像のようだったと思う。
愛子は尚も罵倒を続ける。

友達じゃない。
大嫌い。
顔もみたくない。
それらは確かに美紀に言わされた言葉だった。
でも、次第に愛子の顔に赤みがさして行ったのだ。
本当に憎い相手へ向けて言うように、唾を飛ばしてののしる。
クラスメートたちはエスカレートしていく愛子を見て声を上げて笑う。
あたしにはそのすべてが歪んで見えていた。
なんなのこの世界は。
あたしはただ、愛子を助けたかっただけなのに。
本当にただそれだけだった。
なのに、どうしてこんなにゆがんだ結果になってしまったのか……。
『死ね』
最後に愛子はそう言うと笑った。
確かに、笑ったのだった。

☆☆☆

その後、教室で愛子が1人になったとき、あたしと夢はどうしてあんなことをしたのか聞いた。
すると愛子は机に額をひっつけて謝罪した。
『ごめんね、ああするしかなかったの。美紀たちに脅されて、それでしかたなくやったの!』
愛子の目には涙も浮かんでいた。
だから信用した。
だけど愛子は4人でいるとき、積極的にあたしたちをイジメるようになっていた。
見下し、罵倒し、嘲笑う。
そしてまた1人の時に声をかけると謝罪する。
だんだん、愛子がわからなくなって行った。
愛子が1人でいる時にも声をかけることはなくなった。
そして愛子は完全に、3人の仲間入りをしたのだった。

☆☆☆

そして、現在。
ベッドの上で苦しんでいる愛子がいる。
あたしと夢はそれを見下ろしていた。
愛子は苦しそうに胸を掴んであえいでいる。
「イジメに参加しないと……靖子と夢をもっとひどくイジメるって言われて……」
愛子は喘ぎながら言う。
その目にはあの時と同じように涙が浮かんでいた。
涙の意味が本当なのかどうか、もうあたしたちにはわからない。
何も言えずに愛子を見つめていると、突然愛子は目を向いた。
口を大きく開けて弱い息を何度も吐き出す。
助けを求めるように両手が伸びてきたけれど、あたしは後ずさりをしてその手から逃れた。
ボロボロとあふれ出す涙。
本当に苦しいのだろう、口の端からは唾液が流れ出していた。
目は真っ赤に充血し、眉間にはシワがよっている。
あたしたちは苦しむ愛子を黙って見ていた。
愛子が、イジメられるあたしたちを黙って見ていたのと、同じように。
「助け……て……」
愛子は最後に精一杯の声を振り絞り、そして二度と、動かなくなったのだった。

「こんなのに惑わされちゃダメだからね」
愛子の病室から出た後、夢が言った。
「わかってる」
あたしたちにとって4人の中で愛子は一番憎むべき相手だ。
愛子が助けてというから助けた。
それなのに、愛子はイジメる側に寝返って、あたしたちを必要にイジメたのだから。
エスカレーターへのって1階に下りていく時、看護師の一人が愛子の病室に入っていくのが見えた。
すぐに大騒ぎになるだろう。
そう思ったが、エレベーターのドアはすぐにしまったのだった。

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