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攻め入ってくる
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シーラが作ったスープは結局すべて売り切れてしまった。
ブツブツと文句を言っていた姫君たちも時間が経つにつれてお腹が減ってきたのか、温め直したものを食べることになったのだ。
そのときは気まずそうな顔をしながら「ごちそうさま」と言ってくれたのでひとまず許してあげることにした。
「あとどれくらいの時間ここにいるのかしら」
リディアがつぶやく。
地下室へ来てから、もう5時間くらい経過しているはずだ。
幸いにも毛布やシーツがあるから眠るのに困ることもないだろうけれど、外の様子がわからないことは不安だった。
「少し、様子を見てみましょうか」
シーラが立ち上がったそのときだった。
頭上から複数の足音が聞こえてきたのだ。
時折男たちの怒号も入り混じり、混乱しているのが伝わってくる。
「なにかあったんだわ」
シーラはすぐに出口へと急いだ。
リュナも慌てて後を追いかけてくる。
「シーラ様、外へ出てはいけません!」
「少し確認するだけだから」
リュナへそう答えてドアを開けると複数の兵士たちが城の中を逃げ惑う光景が広がっていた。
「これは一体どういうこと!?」
敵は城の中までは入ってこないんじゃなかったの!?
だけど今の光景はどうみてもこの城の中に敵が攻め入ってきている様子だった。
「シーラ様、ドアを閉めてください!」
リュナの言葉にシーラは重たいドアを閉じた。
だけど敵軍にここを見つかれば、ここにいる姫君たち全員が犠牲になってしまうかもしれない。
シーラはその場に立ち尽くして拳を握りしめた。
「シーラ様、ねぇどうしたの? なにを見たの?」
仲良くなったリディアが近づいてくる。
「私、行かなくちゃ」
幼い頃から龍を使えるという異能があった。
それはいずれ役立つときがくると信じていた。
今がまさに、そのときだ。
たとえ異能使いとして死刑にされてしまったとしても、今ここで力を発揮しなければ沢山の命が奪われてしまうのだ。
「行くってどこへ?」
シーラはリディアの両肩を掴むと微笑んだ。
「大丈夫ですわ。リディア様はここにいてね」
シーラはそう言うと躊躇すること無くドアを押しのけて外へ出た。
この城の兵士たちが次々と逃げ惑う。
時に立ち止まって剣を抜く兵士もいるが、相手は銃を持っているようで圧倒的に不利な状況だ。
シーラは両足を踏ん張って敵軍へと向かう。
「いけません!」
敵軍を目前にしてそんな声が聞こえてきて振り向くと、そこにはリディアの姿があった。
リディアはシーラへ向けて懸命に手を伸ばしている。
「リディア、どうして!?」
驚いて声を上げた瞬間、敵軍に気が付かれてしまった。
「見ろ、姫様だ」
剣を持った赤色の甲冑姿の兵士が足を止めてこちらへ視線を向ける。
その声色からなにかよからぬことを考えていることは明白だった。
シーラは咄嗟にリディアの手を引いて自分の後に立たせた。
「シーラ様、逃げないと!」
「私は大丈夫。あいつらは私が引き止めるから、そのすきに逃げて!」
赤い敵軍ふたりがシーラとリディアめがけて走ってくる。
距離を縮められる前に龍を召喚して攻撃するつもりだった、そのときだ。
赤い兵士の後に人影が迫ってきたかと思うと、剣が振り下ろされ、ふたりはほぼ同時にその場に崩れ落ちたのだ。
なにが起こったのかわからず棒立ちになっているシーラの前に現れたのはフィリップ王子だ。
フィリップおうじは青い髪をなびかせて「地下室へ戻れ!」と手で合図する。
しかし振り向いたとき、そこにも赤い敵軍が近づいてきていた。
みな手に剣を持っていて、銃を持っている兵士がいないのは幸いだった。
「くそっ、囲まれたか」
逃げるが遅れたせいでフィリップ王子とふたりの姫君はあっという間に敵軍に囲まれてしまった。
この3人の中で武器を持っているのはフィリップ王子ただひとりだ。
リディアはその場に腰を抜かして座り込んでしまった。
「その姫様たちは俺たちがいただく!」
赤い兵士がフィリップ王子へ斬りかかる。
フィリップ王子はなれた様子でその剣を剣で止めた。
キィンと甲高い音が鼓膜を揺るがす。
さすが、一国を背負う王子は日々の鍛錬を欠かしていないようで、それは実践でも役立っていた。
けれど人数が人数だ。
フィリップ王子1人でどうこうできるものではなかった。
最初は優勢を保っていたフィリップ王子だけれど、すぐに劣勢状態へと持ち込まれてしまった。
「ここは俺が囮になる。その間に地下室まで走るんだ!」
「でも、リディア様が……」
座り込んだリディアはまだ立ち上がることができないでいる。
腰が抜けてしまったリディアと共に地下室まで走るのは無理があった。
かといってここで放置して1人だけ逃げるわけにはいかない。
シーラは覚悟を決めて赤い兵士たちを睨みつけた。
「フィリップ王子様、ここは私がどうにかします。リディア様と共に地下室へ逃げてください」
姫君からの信じられない申し出にフィリップ王子は目を見開いた。
ここは自国であるのに、王子である自分が姫君を置いて逃げるなんて考えられないことだった。
それでもシーラの意思は強い。
一歩も引かないことがわかった。
「それならリディア姫を地下室へ連れて行ってから、すぐに戻ってこよう。これを」
フィリップ王子が剣を差し出すが、シーラがそれを「いりません」と、断った。
いくら自分が赤い兵士たちをひきつけていたとしても、きっとフィリップ王子たちも攻撃されるだろう。
そのときに剣がなければふたりともやられてしまって、本末転倒だ。
「剣もなくどうする気だ!?」
フィリップ王子の言葉にシーラは優しく、聖母のような笑みを浮かべた。
「フィリップ王子様、どうか驚かないでください」
そう言うシーラのすぐそばまで赤い兵士が迫ってきている。
兵士たちはシーラを生け捕りにしたいのか、その手には剣は握られていなかった。
剣などなくても、姫君1人くらい素手でどうとてもなると思っているんだろう。
シーラがスッと目を細めたかと思った矢先、その背後からスルリとりゅうのシッポが見えた。
フィリップ王子が大きく目を見開く。
それは昨日の夕飯時にシーラが見せてくれた手品で間違いなかった。
ただそれは現実のものと見紛うほどの迫力がある。
あれを使って相手をひるませるつもりか。
フィリップ王子がそう考えた次の瞬間には龍はシーラの体から全容を現して天井へと舞い上がった。
赤い兵士たちはさすがに驚きの声を上げて足を止める。
「早く逃げてください!」
シーラの声に我に返ったフィリップ王子はリディアの体を支えて駆け出した。
小柄なリディアは普段の鍛錬で持ち上げている鉄の塊よりも遥かに軽い。
フィリップ王子はあっという間に地下室への入り口までやってきていた。
そのドアを開けてリディアを中に押し込むと、自分はすぐさまシーラの元へと戻った。
そこで見たのは敵軍へ向けて火を吹く龍の姿だった。
そしてそれを操っているのは紛れもないシーラなのだ。
「今こそあなたの力を見せてちょうだい!」
龍へ向けて声をあげると、龍はひときわ大きな咆哮を上げて敵軍へ襲いかかる。
ある者は焼け焦げる前に逃げ出し、ある者は果敢に龍たちむかうものの、赤子の手をひねるように倒れて行く。
何百といた赤い兵士たちは次々に逃げ去っていき、残るは銃を持った1人の兵のみになった。
が、彼もまた強い武器を持ちながらも冷や汗が流し、ジリジリと後ずさりを続けている。
「殺したくないの。逃げてちょうだい!」
シーラの声が聞こえると同時に龍が火を吹いた。
兵士が背を向けて駆け出すが一歩遅く、その尻に火が燃え移った。
「ぎゃああ! 熱い熱い熱い!」
兵士はたまらず銃を投げ捨てて中庭へと走ると、そのままの勢いで井戸の中に頭から突っ込んで行ってしまった。
シーラがハッとして駆け寄り、井戸の中を確認する。
井戸の中にはたっぷりと水が入っているからきっと大丈夫だと思うけれど……。
そのときザバリと音がして赤い兵士が水面から顔を出した。
シーラはそれを見てホッとして微笑む。
そしてフィリップ王子へ振り向くと「これで敵軍はいなくなりましたわ」と、微笑んだのだった。
ブツブツと文句を言っていた姫君たちも時間が経つにつれてお腹が減ってきたのか、温め直したものを食べることになったのだ。
そのときは気まずそうな顔をしながら「ごちそうさま」と言ってくれたのでひとまず許してあげることにした。
「あとどれくらいの時間ここにいるのかしら」
リディアがつぶやく。
地下室へ来てから、もう5時間くらい経過しているはずだ。
幸いにも毛布やシーツがあるから眠るのに困ることもないだろうけれど、外の様子がわからないことは不安だった。
「少し、様子を見てみましょうか」
シーラが立ち上がったそのときだった。
頭上から複数の足音が聞こえてきたのだ。
時折男たちの怒号も入り混じり、混乱しているのが伝わってくる。
「なにかあったんだわ」
シーラはすぐに出口へと急いだ。
リュナも慌てて後を追いかけてくる。
「シーラ様、外へ出てはいけません!」
「少し確認するだけだから」
リュナへそう答えてドアを開けると複数の兵士たちが城の中を逃げ惑う光景が広がっていた。
「これは一体どういうこと!?」
敵は城の中までは入ってこないんじゃなかったの!?
だけど今の光景はどうみてもこの城の中に敵が攻め入ってきている様子だった。
「シーラ様、ドアを閉めてください!」
リュナの言葉にシーラは重たいドアを閉じた。
だけど敵軍にここを見つかれば、ここにいる姫君たち全員が犠牲になってしまうかもしれない。
シーラはその場に立ち尽くして拳を握りしめた。
「シーラ様、ねぇどうしたの? なにを見たの?」
仲良くなったリディアが近づいてくる。
「私、行かなくちゃ」
幼い頃から龍を使えるという異能があった。
それはいずれ役立つときがくると信じていた。
今がまさに、そのときだ。
たとえ異能使いとして死刑にされてしまったとしても、今ここで力を発揮しなければ沢山の命が奪われてしまうのだ。
「行くってどこへ?」
シーラはリディアの両肩を掴むと微笑んだ。
「大丈夫ですわ。リディア様はここにいてね」
シーラはそう言うと躊躇すること無くドアを押しのけて外へ出た。
この城の兵士たちが次々と逃げ惑う。
時に立ち止まって剣を抜く兵士もいるが、相手は銃を持っているようで圧倒的に不利な状況だ。
シーラは両足を踏ん張って敵軍へと向かう。
「いけません!」
敵軍を目前にしてそんな声が聞こえてきて振り向くと、そこにはリディアの姿があった。
リディアはシーラへ向けて懸命に手を伸ばしている。
「リディア、どうして!?」
驚いて声を上げた瞬間、敵軍に気が付かれてしまった。
「見ろ、姫様だ」
剣を持った赤色の甲冑姿の兵士が足を止めてこちらへ視線を向ける。
その声色からなにかよからぬことを考えていることは明白だった。
シーラは咄嗟にリディアの手を引いて自分の後に立たせた。
「シーラ様、逃げないと!」
「私は大丈夫。あいつらは私が引き止めるから、そのすきに逃げて!」
赤い敵軍ふたりがシーラとリディアめがけて走ってくる。
距離を縮められる前に龍を召喚して攻撃するつもりだった、そのときだ。
赤い兵士の後に人影が迫ってきたかと思うと、剣が振り下ろされ、ふたりはほぼ同時にその場に崩れ落ちたのだ。
なにが起こったのかわからず棒立ちになっているシーラの前に現れたのはフィリップ王子だ。
フィリップおうじは青い髪をなびかせて「地下室へ戻れ!」と手で合図する。
しかし振り向いたとき、そこにも赤い敵軍が近づいてきていた。
みな手に剣を持っていて、銃を持っている兵士がいないのは幸いだった。
「くそっ、囲まれたか」
逃げるが遅れたせいでフィリップ王子とふたりの姫君はあっという間に敵軍に囲まれてしまった。
この3人の中で武器を持っているのはフィリップ王子ただひとりだ。
リディアはその場に腰を抜かして座り込んでしまった。
「その姫様たちは俺たちがいただく!」
赤い兵士がフィリップ王子へ斬りかかる。
フィリップ王子はなれた様子でその剣を剣で止めた。
キィンと甲高い音が鼓膜を揺るがす。
さすが、一国を背負う王子は日々の鍛錬を欠かしていないようで、それは実践でも役立っていた。
けれど人数が人数だ。
フィリップ王子1人でどうこうできるものではなかった。
最初は優勢を保っていたフィリップ王子だけれど、すぐに劣勢状態へと持ち込まれてしまった。
「ここは俺が囮になる。その間に地下室まで走るんだ!」
「でも、リディア様が……」
座り込んだリディアはまだ立ち上がることができないでいる。
腰が抜けてしまったリディアと共に地下室まで走るのは無理があった。
かといってここで放置して1人だけ逃げるわけにはいかない。
シーラは覚悟を決めて赤い兵士たちを睨みつけた。
「フィリップ王子様、ここは私がどうにかします。リディア様と共に地下室へ逃げてください」
姫君からの信じられない申し出にフィリップ王子は目を見開いた。
ここは自国であるのに、王子である自分が姫君を置いて逃げるなんて考えられないことだった。
それでもシーラの意思は強い。
一歩も引かないことがわかった。
「それならリディア姫を地下室へ連れて行ってから、すぐに戻ってこよう。これを」
フィリップ王子が剣を差し出すが、シーラがそれを「いりません」と、断った。
いくら自分が赤い兵士たちをひきつけていたとしても、きっとフィリップ王子たちも攻撃されるだろう。
そのときに剣がなければふたりともやられてしまって、本末転倒だ。
「剣もなくどうする気だ!?」
フィリップ王子の言葉にシーラは優しく、聖母のような笑みを浮かべた。
「フィリップ王子様、どうか驚かないでください」
そう言うシーラのすぐそばまで赤い兵士が迫ってきている。
兵士たちはシーラを生け捕りにしたいのか、その手には剣は握られていなかった。
剣などなくても、姫君1人くらい素手でどうとてもなると思っているんだろう。
シーラがスッと目を細めたかと思った矢先、その背後からスルリとりゅうのシッポが見えた。
フィリップ王子が大きく目を見開く。
それは昨日の夕飯時にシーラが見せてくれた手品で間違いなかった。
ただそれは現実のものと見紛うほどの迫力がある。
あれを使って相手をひるませるつもりか。
フィリップ王子がそう考えた次の瞬間には龍はシーラの体から全容を現して天井へと舞い上がった。
赤い兵士たちはさすがに驚きの声を上げて足を止める。
「早く逃げてください!」
シーラの声に我に返ったフィリップ王子はリディアの体を支えて駆け出した。
小柄なリディアは普段の鍛錬で持ち上げている鉄の塊よりも遥かに軽い。
フィリップ王子はあっという間に地下室への入り口までやってきていた。
そのドアを開けてリディアを中に押し込むと、自分はすぐさまシーラの元へと戻った。
そこで見たのは敵軍へ向けて火を吹く龍の姿だった。
そしてそれを操っているのは紛れもないシーラなのだ。
「今こそあなたの力を見せてちょうだい!」
龍へ向けて声をあげると、龍はひときわ大きな咆哮を上げて敵軍へ襲いかかる。
ある者は焼け焦げる前に逃げ出し、ある者は果敢に龍たちむかうものの、赤子の手をひねるように倒れて行く。
何百といた赤い兵士たちは次々に逃げ去っていき、残るは銃を持った1人の兵のみになった。
が、彼もまた強い武器を持ちながらも冷や汗が流し、ジリジリと後ずさりを続けている。
「殺したくないの。逃げてちょうだい!」
シーラの声が聞こえると同時に龍が火を吹いた。
兵士が背を向けて駆け出すが一歩遅く、その尻に火が燃え移った。
「ぎゃああ! 熱い熱い熱い!」
兵士はたまらず銃を投げ捨てて中庭へと走ると、そのままの勢いで井戸の中に頭から突っ込んで行ってしまった。
シーラがハッとして駆け寄り、井戸の中を確認する。
井戸の中にはたっぷりと水が入っているからきっと大丈夫だと思うけれど……。
そのときザバリと音がして赤い兵士が水面から顔を出した。
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