【完結】ままならぬ僕らのアオハルは。~嫌われていると思っていた幼馴染の不器用な執着愛は、ほんのり苦くて極上に甘い~

Tubling@書籍化&コミカライズ決定

文字の大きさ
8 / 35

このドキドキの正体は?

しおりを挟む

 結人に拒絶されてから一週間。

 あの日からまったく彼には会っていない。

 学食に行っても顔を合わせないし、廊下ですれ違う事もない……不良グループの中にもいないのを見て、学校にも来ていないのかもと考えた。

 遠くからチラチラ見ていても埒が明かないので、思い切って6組へと行く事を決意する。


 「亮が行くなら俺も付いて行くよ。6組はガラ悪いの多いし」

 「宝森が行くなら俺も行く」

 「雫……真司まで。ありがとう」


 僕は2人に感謝の気持ちを述べる。

 単純に気遣いがとても嬉しかったのだ。


 「ん、気にするな」


 名前を呼ぶような仲になってしみじみ感じるようになったのは、真司は本当に優しいヤツだという事。

 話し方はぶっきらぼうだけれど、いつも気遣ってくれているのが分かる。

 何となく結人に似ているかもしれない。


 「お前さ~~亮の事は名前呼びで俺の事は雫って呼んでくれないわけ?」

 「宝森は宝森」


 真司にクレームを入れるけれどあっさり流され、ガックリうなだれる雫が面白くて、思わずクスッと笑ってしまう。

 独りじゃないって事が嬉しいなぁ。

 何とか勇気を奮い立たせ、3人で6組へと向かったのだった。

 普段交流する事が滅多にないクラスへ行くという事もあり、ドキドキしながら顔を覗かせると、入口付近にあまり会いたくない人が座っていた。

 結人の仲間でいつも一緒にいる駆流という人だ。

 眼鏡越しだけれどバッチリ視線が合い、突然顔を出した僕に向こうも驚いてビクッとする。


 「ぉわっ!ビックリさせないでよ~~」

 「ご、ごめん」

 「なに?結人を探しに来た?」

 「うん、最近姿が見ないから休んでいるのかなって聞きにきたんだ」

 「ふ――ん」


 『結人には気を付けた方がいいよ』

 あれはどういう意味で言ったんだろうか?まだそれほど会話をした事もないので、聞くに聞けずにいる。

 僕の行動に意味深な目をしながらジッとこちらを見てくるので、眼鏡をしていてもその視線に耐えられなくなり、思わず視線を逸らす。

 そんな僕の様子を見ていた雫が、後ろから助け舟を出してくれたのだった。

 
 「ねぇ、亮を揶揄ってないで、結人って人が休んでるのかどうかだけ教えてよ」

 「やだな~~揶揄ってるだなんて人聞き悪いんだから。なんで君たちはこの子の為にそこまでするの?」

 「? 友達だからだろ」

 「? 友達ってだけで?」

 「それだけじゃない。亮は推しだからな!推しの幸せを全力で後押しするのは当たり前だ」

 「そ、そう」

 
 ふんすと鼻息を荒くしながら得意げに言い返す雫に、結人の友達の駆流クンはちょっと引き気味の反応だった。

 なんだか2人の会話が噛み合ってない感じがする……止めるべきか迷い、真司の方をチラリと見ると、なぜだかニコリと笑顔を向けられてしまう。

 つられて笑顔を返す僕。


 「ちょっとそこ~~何イチャコラしてんの?結人が見たら怒りそうだから」

 「え、なんで?!」


 駆流クンの言葉につい反応してしまう。

 イチャコラしてないけど、してたら結人が怒るってどういうこと?

 僕の頭に疑問符が並んでいたところに、結人の情報が入ってきたので、この話題については流されてしまったのだった。


 「結人は今日も休み。でもバイトには行ってるみたいだし、そのうち来ると思うよ?」

 「そうなんだ。バイト……バイト?!」
 
 
 バイトをしているという事を初めて知った僕は、思わず食いついた。


 「知らなかったの?」

 「うん……」

 「じゃあさ、顔見に行ってみたら?」


 駆流クンの提案に迷惑をかけたらどうしようと思いつつ、働いてる姿を見てみたい好奇心の方が勝り、放課後に行ってみる事にしたのだった。


 ~・~・~・~・~


 「あの――どうしてあなたも?」
 
 「あなたも、だなんて他人行儀だな~~駆流って呼んでよ。亮クン」


 結人のバイト先が割と高校に近いコンビニだという事を教えてくれた駆流クンは、何故だか一緒に行きたいと言い出したのだ。
 
 駆流クンの言葉に一緒に来ていた雫が「気持ちわるっ!」と思いっきりツッコんだ。

 真司も部活が休みなので一緒に来てくれている。

 そして今はバイト先に着き、道路を挟んで向かいの建物からこっそり幼馴染の働く様子を覗き見ながら会話をしている状況だ。

 ほとんど話した事もない違うクラスの人に突然名前呼びをお願いされ、困惑した僕は、クン付けで呼ぶのが精一杯だった。
 

 「え……っと、駆流クン?」

 「もう~~せっかく結人のバイト先教えてあげたのに、つれないなぁ」


 どうにも駆流クンとの距離感がつかめない……気を取り直して結人の様子に目を向けると、コンビニの制服を着ながら髪の長い部分をところどころ留め、仕事に励んでいた。

 背も高くて制服も似合ってるし、カッコいいな……女性からモテそう。

 テキパキ仕事する姿を初めて見て、何だか動悸が早くなってる気がする。

 昔は僕の後ろを歩いて内気な結人だった……昔は昔でとても可愛かったんだよな。

 それに裕福ではないにしてもお金に困っている家でもないと思うのに、バイトしてるという事にも驚きを隠せない。

 中学三年間会わなかった間に、彼を取り巻く環境が驚くほど変わっていて、何も知らない自分に寂しさと後ろめたさを感じてしまう。

 ”中学受験”

 この選択をした事を後悔はしていない。

 
 『夢を叶える為の亮の覚悟を見せてもらう』


 という母さんとの約束だったから、受験勉強も頑張ったし、中学校でいじめられて学校に通うのが辛くても頑張った。

 母さんも親友を亡くし、その為に息子の僕が医療の道に進みたいと言い出したから、いばらの道に進もうとする僕の覚悟を感じたかったのかもしれない。

 この話は結人にするつもりはないけれど、昔のようにとは言わなくとも、何とか距離を縮められたらなぁ。


 「結人のこと考えてるよね?」

 「え?!いや、その……」

 「亮クンって、結人のこと好き過ぎ」

 「「?!」」


 突然駆流クンに恥ずかしいことを言われ、顔に熱が集まり固まってしまう。

 そりゃ好きだから昔みたいに話せたらなとは思ってるけど、あくまで友達としてだし、友達のことを好きだとかそうじゃないとか考えたことがなくて動揺してしまう。

 言葉を返せずにいる僕の後ろから真司の腕が伸びてきて、目隠しされるかのように彼の腕の中におさまったのだった。


 「真司?」

 「亮、そろそろ帰ろう。遅くなるし」

 「え、でも……」


 もう少し結人の姿を見ていたい、あわよくば客としてコンビニの中に入ってみたい。

 そう思っていたけれど、雫が乙春2のイベントが始まると騒ぎ始めたので帰ろうという流れになった。

 乙女ゲームは大好きだし僕もイベントは楽しみにしていた……でも今日は乙女ゲームどころじゃなくて、そんな自分の気持ちに戸惑いつつも(明日は学校で会えるといいな……)と思いながら皆と帰途に着いたのだった。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

溺愛系とまではいかないけど…過保護系カレシと言った方が 良いじゃねぇ? って親友に言われる僕のカレシさん

315 サイコ
BL
潔癖症で対人恐怖症の汐織は、一目惚れした1つ上の三波 道也に告白する。  が、案の定…  対人恐怖症と潔癖症が、災いして号泣した汐織を心配して手を貸そうとした三波の手を叩いてしまう。  そんな事が、あったのにも関わらず仮の恋人から本当の恋人までなるのだが…  三波もまた、汐織の対応をどうしたらいいのか、戸惑っていた。  そこに汐織の幼馴染みで、隣に住んでいる汐織の姉と付き合っていると言う戸室 久貴が、汐織の頭をポンポンしている場面に遭遇してしまう…   表紙のイラストは、Days AIさんで作らせていただきました。

幼馴染が「お願い」って言うから

尾高志咲/しさ
BL
高2の月宮蒼斗(つきみやあおと)は幼馴染に弱い。美形で何でもできる幼馴染、上橋清良(うえはしきよら)の「お願い」に弱い。 「…だからってこの真夏の暑いさなかに、ふっかふかのパンダの着ぐるみを着ろってのは無理じゃないか?」 里見高校着ぐるみ同好会にはメンバーが3人しかいない。2年生が二人、1年生が一人だ。商店街の夏祭りに参加直前、1年生が発熱して人気のパンダ役がいなくなってしまった。あせった同好会会長の清良は蒼斗にパンダの着ぐるみを着てほしいと泣きつく。清良の「お願い」にしぶしぶ頷いた蒼斗だったが…。 ★上橋清良(高2)×月宮蒼斗(高2) ☆同級生の幼馴染同士が部活(?)でわちゃわちゃしながら少しずつ近づいていきます。 ☆第1回青春×BL小説カップに参加。最終45位でした。応援していただきありがとうございました!

笑って下さい、シンデレラ

椿
BL
付き合った人と決まって12日で別れるという噂がある高嶺の花系ツンデレ攻め×昔から攻めの事が大好きでやっと付き合えたものの、それ故に空回って攻めの地雷を踏みぬきまくり結果的にクズな行動をする受け。 面倒くさい攻めと面倒くさい受けが噛み合わずに面倒くさいことになってる話。 ツンデレは振り回されるべき。

陰キャ幼馴染がミスターコン代表に選ばれたので、俺が世界一イケメンにしてやります

あと
BL
「俺が!お前を生まれ変わらせる!」

自己肯定感低めの陰キャ一途攻め×世話焼きなお人好し平凡受け

いじられキャラで陰キャな攻めが数合わせでノミネートされ、2ヶ月後の大学の学園祭のミスターコンの学部代表になる。誰もが優勝するわけないと思う中、攻めの幼馴染である受けは周囲を見返すために、攻めを大幅にイメチェンさせることを決意する。そして、隠れイケメンな攻めはどんどん垢抜けていき……?

攻め:逸見悠里
受け:佐々木歩

⚠️途中でファッションの話になりますが、作者は服に詳しくないので、ダサいじゃん!とか思ってもスルーでお願いします。

誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される

八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。 蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。 リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。 ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい…… スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 一月十日のアルファポリス規約改定を受け、サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をこちらへ移しましたm(__)m サブ垢の『バウムクーヘンエンド』はこちらへ移動が出来次第、非公開となりますm(__)m)

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

処理中です...