【完結】ままならぬ僕らのアオハルは。~嫌われていると思っていた幼馴染の不器用な執着愛は、ほんのり苦くて極上に甘い~

Tubling@書籍化&コミカライズ決定

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久しぶりに結人宅へ

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 「昨日、結人はすぐ帰ったの?」
 
 「そうよ~~あなたがぐっすり眠ってるから帰るって。せっかく晩御飯を一緒にと思ってたんだけど」

 「そっか」

 「制服のまま眠っちゃうんだから……寝ぼけてるから着替えさせるの大変だったのよ」

 「ごめん、ごめん。すっかり疲れ切っちゃって」


 朝ごはんを食べながら、母さんと昨日の話を聞いていた。

 何だか気まずい夢を見たせいで、結人の話を聞くのが躊躇われたけれど、母さんから彼の話が出ると喜んでいる自分がいる。

 そっかー……すぐに帰っちゃったのか。

 一緒に晩御飯食べたかったな……すぐ帰ったならあの夢もただの夢か…………って、なんで僕はガッカリしてるんだ。

 
 「結人くんに感謝しなきゃね!また連れてきなさいよ」

 「うん」

 「今日でもいいわよ。結人くんと御飯なんて小学生以来だわ。あの子を見てると加奈を思い出す~~そっくりね!」


 母さんも加奈おばさんにそっくりの結人と会えてご機嫌だ。

 結局眼鏡は新しいのを新調するのに時間がかかるので、作っている間、古いのがあるのでひとまずそれで間に合わせる事にした。


 「いってきます!」


 意気揚々と家を出て、颯爽と学校へと向かった。

 結人が学校に来ていたら、昨日のお礼を言わないと……なんでもいいから話すキッカケが出来たので、喜び勇んで登校したのだった。

 早めに学校に着いたので、まだクラスには人がまばらだ。

 今の内に結人のクラスに行こうかな……早く会いたいし。


 「お、はよ~~亮!」

 「雫!おはよう」

 「ってお前、眼鏡変えた?怪我してるし!」

 「あ――……ははっ、実は……」


 僕は結人のところに行くのを一旦諦め、席で雫に昨日の出来事を説明したのだった。

 話していく内にだんだん雫の顔が悲し気になり、最終的に目が潤み出したので、ちょっと内心焦ってしまう。


 「亮~~俺がそばにいればそんな奴らぶっ飛ばしたのに!」

 「いやいや、そんなんなったら雫に迷惑かけるだけだから嫌だよ」


 あの時、もし結人がやり返していたら暴力沙汰で停学になっていたかもしれないし、雫が空手教室に通っていたのもあって強いのは知っていたけど、友達にそんな事はさせられない。


 「雫の手をそんな事に使ってほしくないんだ」
 
 「亮…………俺、一生お前の事推すから。次は俺が守るからな!」

 「それは必要ねぇな」

 「「?!」」
 

 突然結人の声が聞こえたので顔を上げたら、すぐ近くに結人が立っていたのだった。


 「え、結人?!どうしてウチのクラスに?」

 「ん、昨日痛めたところ大丈夫かなって。違う眼鏡かけてるな」

 「うん、母さんが新しいの出来るまで古いの使えって。そういや晩御飯に誘えって言われちゃった」


 また昔みたいに誘ったら嫌がられるかな……顔色を窺うようにチラリと結人の表情を見ると、少し考えたような仕草を見せるもすぐに快諾してくれる。


 「昨日帰る時にもおばさんに誘われてんだ。今日でもいいぜ」

 「本当?!じゃあ今日一緒に帰ろう」

 「ああ。じゃあな」


 僕は去っていく結人の背中に向かって手を振った。

 今日は一緒に帰れるんだ――――嬉しくて顔が緩みっぱなしの僕に、雫が恐る恐る声をかけてくる。


 「あのヤンキー幼馴染、どうしちゃったわけ?あんなに態度悪かったのに。昨日何があった?」

 「結人はもともと良いヤツなんだよ。昨日も沢山助けてくれて……母さんの力もあるのかな。昔に戻ったみたいだった」


 そう思うとじんわり涙が浮かんできて、眼鏡をずらして涙を拭う。

 ずっとそばにいるって約束したのは僕なのに――――ごめんね、結人。中学時代に約束守れなくて。いつかちゃんと謝ろう。


 「お、おい亮~~泣くな。良かったな!亮が嬉しいなら俺も嬉しいぜ」

 「うん。ありがとう、雫」

 「どうした?」

 「真司……聞いてくれよぉぉ」


 ギリギリに登校してきた真司が声をかけてきたので、僕は一連の出来事をかいつまんで話した。

 黙って聞いてくれた真司は全部聞いたあと、「そうか。良かったな」と言ってくれて、その日の学校生活は朝からとても幸せな一日になったのだった。


 ~・~・~・~・~


 「んふふっ」

 「なんだよ。気持ち悪ぃぞ」

 「なんでもいいんだ。今日も一緒に帰れるなんて思ってなかったから、嬉しくて」


 電車を降り、自宅へ向かう道すがら、ずっとご機嫌の僕に対して結人が若干引き気味だけど、そんなの全く気にならなかった。

 こんな風に下校出来る日が来るなんて……!


 「……こんなんでいいなら、バイトない日だったら一緒に帰ってもいいぜ」

 「え!本当?!」

 「…………っ、そんなに喜ぶ事かよ!」

 「当たり前だろぉぉ約束だよ!!」

 「わ、分かった……分かったから手を離せ……」


 つい勢い余って手を握ってしまう。

 結人は照れているのか顔を赤くしていて、僕は現実に戻り、パッと手を離した。

 良かった、普通に話せてる……それにバイトない日は一緒に帰ってくれるって…………嬉し過ぎる!

 最初に再会した時はいつも彼に睨まれてばかりいたけれど、今は話の途中でほんの少し微笑が見られる事もあり、だいぶ進化してきたかもしれない。

 僕の家に着き、母さんが出迎えてくれて、一緒に晩御飯をいただく……本当に昔みたいな光景だな。


 「早めにRINEしてくれて良かったわ!沢山用意出来ちゃった」

 「本当に凄い量だね……いつもの3倍くらいあるよ」


 目の前にはちらし寿司や肉じゃが、サラダにオードブルなど、何のお祝いかというくらい料理が並べられている。


 「これ、全部おばさんが?」


 結人の驚く顔を見て、母さんが嬉々として話す。
 

 「もちろんよ!結人くんと晩御飯なんて久しぶりだもの~~さぁ、沢山食べてね」
 

 僕も結人と話したかったけど、母さんも負けないくらい話したかったんだな。親友の息子だもんね。

 自分の息子くらいに思っているのかもしれない。

 僕たちは目の前に広げられたご馳走をこれでもかと堪能し尽くし、途中で父さんも帰ってきたので四人で懐かしい話に花を咲かせながら、とても楽しい時間を過ごしたのだった。


 「もう食えねぇ……」

 「僕も…………」

 「いっぱい食べてくれて嬉しいわ~~3人だと絶対に残っちゃうから。そうだ、昨日のお礼を結人くんのお父さんにしたいんだけど……」

 
 母さんの突然の話に結人が驚き固まってしまう。


 「え……いや、気にしなくていいっス」

 「そんなわけにはいかないわよ~~亮が助けてもらったんだし。これから同じ学校でお世話になるんだし……お父さんはお元気?」

 「はい……」


 母さんとの会話を見て、何だか小さな違和感を感じてしまう。

 なんだろう……お父さんと上手くいってなのかな。もしかしておじさんの調子も良くないとか?

 まさかおばさんのように体調良くないとかじゃないよね……何となく嫌な予感がした僕は、母さんの話に乗っかる事にした。


 「結人が帰る次いでに挨拶しに行こうよ!まだ18時前なんだし、この時間なら迷惑じゃないだろうから」

 「ちょっ……!」

 「そうね!おとうさんも一緒に行きましょう。久しぶりじゃない?昔はよくキャンプしたりしてたから」

 「そうだな、すぐそこだし。いいかい?」


 慌てていた結人だったけれど、父さんに聞かれていよいよ観念した表情になる。
 
 
 「はい、RINEしときます」

 
 僕の家と結人の家は徒歩3分ほどで着く距離なので、両親はサッと準備し、手土産を持って四人で結人宅に向かったのだった。

 
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