がんじがらめの契約と狂愛〜聖女になれなかった異邦者の唯一〜

く〜いっ

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06 淫らな奸計

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 ――なに? ――くすぐったい……

 なにかが、身体をサワサワと這う感触に身じろぎした。

 ――どこ? ――ここ?

 見なれない豪華な広いベッド。頬にふれる手触りのよい白い毛のウサギ(?)のぬいぐるみ……うさピョン……?
 ――ああ、そうだ。ここは異世界だったっけ。

 ――ぺちゃ

「――ん? ――くすぐったい……」

 薄暗い室内のようすが、ぼんやり開いた目にも少しずつハッキリしてくる。

「――約束通り、魔力を高める方法を教えてあげようね。――リオ」
「――ジリオ……様……?」

 ――――ひゅっ!!

 悲鳴はのどにはりついて、音にならなかった。馬乗りになり、ベッドに私を縫いつけているジリオ様に、夜着の前リボンをほどかれている。
 こぼれた乳房をジリオ様が、撫で、口づけていた。

「――ああ、ステキだよリオ。あどけない姿にこんな立派な果実をかくしていたなんて。なんて、たわわな果実だろう……」

 うっそりと微笑む紫の瞳――その瞳に青ざめる自分の姿がうつっている……

「やっ! 誰か!」
「――ふふっ。魔力を高める方法を教えてあげるって約束しただろ。遠慮することはない」

 上に乗っているジリオ様の胸を、ふるえる手で押す――恐怖で体がうまく動かないせいか、びくともしない。目尻から涙がこぼれ落ちた。

「いやああぁぁ! やめて、やめて!」

 扉の前に騎士様が立っているはずなのに、室内のようすに気がつかないのか、そこから助けがくる気配はなかった。そもそもジリオ様が入ってきているのだから……騎士様が通したってこと??

「リオ……気持ちよくしてあげるから、シシーリア聖皇国へ行こう――私の聖女」

 ジリオ様が胸の先端の突起を容赦なく吸った。

 ――怖い! なにが起こっているのか、理解できない。ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。

 ご一緒した夕食の時間までは普通だった。開かれるだろう歓迎式典のこととか……神殿のこと、聖典に記載されている過去の来訪者がもたらした軌跡……
 はては、主食や、通貨のことまで、気になる質問に答えつづけてくれていた優しい瞳が――今は仄暗い光でゆれている。

「ほら、ツンと立って、なんて愛らしい」

 胸の先端をきゅっと、つままれ、思わず体が跳ねる。私のようすに満足そうにうなずき、つつーっと首筋に舌を這わせてきた。

 ――嫌悪感に体が強張る。

 ――男性とおつきあいらしいことは、学生時代のグループ交際で行った、遊園地が最初で最後だった。
パレードが始まる……と、手を取られたのが、唯一の甘酸っぱい思い出。
 同時に、トイレのかげで彼らが私の胸が予想外に大きくてエロい、小柄で色白、巨乳はマニア受けする……と、もりあがっていて……初めて意識した男性からのHな視線が、急に怖くなった。
「乗りもの酔いして気分が悪くなった」と、言い訳して帰宅した。
 ――気分が落ちこむ思い出でもあった。

 ――男性の欲を孕んだ眼差しが苦手になった。胸をかくすようになり、高いヒールで武装するようになった。

 ――かくしていた胸が、男の目にさらされている。

「やだ、やだ、やだ、やだ……」

 子供のようにイヤイヤと首を振ることしかできない。「助けて、助けて」扉に向かって叫ぶが、無情な扉は開くようすがなかった。

「リオ、これは君が了承した行為だよ」

 目の前でヒラヒラと振られた小さくたたまれた紙は――浴槽の準備をしてくれた宿のかたが、着替えと一緒に持ってきた手紙?


 魔力を高める方法は邪魔がはいらないほうが都合がいいから、ふたりのときに教えてあげる。
 貴方と別室だと、私の聖女に出会えたことが、夢か現か錯覚しそうだよ。貴方とすごせる時間が現実だと実感させて。
 シャルナ王国の騎士に気づかれるとうるさいから、こっそりこの手紙の下に返事を請う。
 今宵、静寂の夜の夢を貴方に捧ぐ――ジリオーラ・エバンティス・セフィロース


 わかりました。ご親切にありがとうございます。私もジリオ様に出会えて嬉しいです。おやすみなさい――リオ


 ――そう書きたして、宿のかたにわたした……

「この紙はね、神殿発行の『約定の証書』。貿易開発会議のために持参してきたものだったけれどね」

 ふふっと、笑うジリオ様の顔に寒気がする。やわやわと胸を揉みながら……

「魔力を高める方法を勉強したいんでしょ? ――お互いの魔力をまぜあわせながら抱きあえば、愛の女神の名のもとに魔力が高まる。ファリアーナ神は愛と慈愛、豊穣の女神でもあるからね、快楽をあたえればより効果が高くなる」

 ――さすがに未成年もいる学園で、その勉強は……ダメだろ。

 ――魔力を高めることは成人まで禁止されている……

 ――子供の体には負担がかかる……

 あのときの微妙な空気を思いだし、カッと顔に血がのぼった。

「この紙に書いた内容は正式な『契約』になる。――だ・か・ら! ふふっ……邪魔がはいらない――貴方とすごせるふたりのときに――シャルナ王国の騎士に気づかれることなく――魔力を高める方法を教えてあげる――
 はは! ……署名もしっかりされている、れっきとした『契約』の書! どれだけ騒いでもシャルナ王国の騎士はこない。目の前でこの部屋の扉を開けて入ってきたのに、気づきもしなかったよ」

 ――笑うジリオ様の顔が歪んで見えた……気持ち悪い……気持ち悪い……助けを求めて、扉に向かって伸ばした手は、空を切るだけでなにも掴めない。

「やめて、やめて、やめて……」
「いいよ」
「?」彼のあっさりとした了承に動きがとまった。

「シシーリア聖皇国に行くって言えば、リオの嫌なことはしないであげる」

 ――そう言いながらも、みずからの顔を私の顔に近づけ、耳たぶを舐めあげる。手は夜着の下から滑りこみ、太腿を撫で、胸を揉んでいたほうの手が立ちあがっていた先端を、指の腹でクルクルと円を描くように押しつぶした。

「どちらでもいいよ。このまま朝まで愛しあうか、リオが私を心から欲っするまで私が我慢するか――シシーリア聖皇国に来てくれるのなら、我慢できると思うよ」

 太腿を撫でていた手が内股に滑りこみ、かくされていた秘部をかすめる。

「――ひっ!」

 足元から全身に恐怖の波が駆けあがり、この行為から逃れたい気持ちいがい、なにも考えられない。

「――わかったから! やめて――――!!」

 バァ――――――ン!!

 切実に開くことを願った扉が――大きな音をたて開いた。
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