運命に花束を

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君と僕の物語

孤独な王様

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 メリア王の誕生日の日、僕は彼に気持ち程度のプレゼントを用意した。
 とは言っても、囚われの身で自分が用意できる物などたかが知れていて、いつも呼び出される部屋に少しばかりの飾り付けと、用意したのはそれこそお城の庭に咲いている花の小さな花束、それに「誕生日おめでとう」のメッセージカードを添えて、彼のいつも座る席にそれを用意して置いておいた。
 彼は部屋に現れると、それを不思議そうな顔で眺めていた。

「お誕生日おめでとうございます、陛下」
「うむ……」

 彼は一言そう呟いて、置かれたメッセージカードをいつまでも眺めている。
 実はある意味サプライズなのだが、そのメッセージカードは僕からだけのものじゃないんだ。ルネーシャに手伝って貰って、そのメッセージカードのほとんどを製作したのは彼の娘レイシアだった。

「これは、なんの絵だ?」
「たぶんそれは陛下の顔だと思いますよ」

 メッセージカードには子供らしいイラストが描かれていて、その脇にやはり子供の字でお祝いの言葉が並んでいる。

「お前には私がこんな風に見えているのか? しかもずいぶん汚い字だ」
「最後まで読んでください、ちゃんと書いてくれた人のサインも入ってますよ」

 彼はその読みにくい字を眉を顰めて凝視して、その字面を追う。
 そして読み終わると「ふん」と一言言ったきり黙り込んでしまった。
 彼女からのメッセージはそんなに大した物ではない「お父様の誕生日を心からお祝いします。お父様の仕事は大変で忙しいのは分かっているけど、たまにはレイシアの所にも遊びに来てね」という短い文章だったのだが、彼はそれをぼんやり眺めていた。

「……これを私は喜ぶべきなのだろうか……」

 長く続いた沈黙の先に彼の口から放たれた言葉がそれで、僕はどういう顔をしていいか分からない。

「祝われるのは、嬉しくないですか?」
「どうなのだろうな、心の底から嬉しいかと聞かれたら『さして嬉しくもない』と答えざるを得ないが、あの赤子がこんな字を書けるようになっているのかと思えば感慨深くもある」
「姫とはそんなに長い事会っていないのですか?」
「そうだな。何か行事の折には顔を合わせる事もあるが、興味もなくてな」
「血を分けた娘なのに……」
「私の望んだ子ではない」

 メリア王の言葉は感情も見えずに淡々としている、本当に彼女に一切の興味が無いのだろう。

「だったら何故子供を作ったのですか」
「言わなかったか? 私には跡継ぎが必要だった、それだけの事だ」
「彼女はこんなに父親を求めているのに……」
「そもそも私自身父親という物がよく分かっていないからな」

 彼はそう言ってメッセージカードを置いて、遠く窓の外を見やった。

「先王は私の父であったが、同時に私にとって人生を縛る独裁者でしかなかった。母は私に見向きもしなかったし、私の唯一家族と呼べる人間は『グノーシス』しかいなかった。私に父親を求めるのが最初から間違っているのだ、私は父が子にどのように接するのか分からない、もし娘がそれを望むなら、私は父と同じ事をするだろう」
「それは人生を縛る、という事ですか?」
「あぁ、そうだな。だから逆に言えば今のこの状況の方が、彼女にとっては救いの道だ。私は娘に興味がない、この国の行く先がどうなろうとも『グノーシス』さえいればそれでいい。娘もこんな父親を見限って自由に生きればいいのだ」
「娘さんはグノーシスさんと同じ、あなたの家族じゃないのですか?」

 メリア王はまた眉間に皺を寄せる。

「お前は私に何を期待している? グノーシスから私の目を逸らして、国に帰る算段でも立てているのか?」
「別にそんな事は考えてないです。僕はただ、彼女もあなたの家族なのに、彼女はあなたを求めているのに、何故あなたは彼女を見てあげないのか、僕はそれが不思議で仕方がないのです」

 彼女だけではない、黙って城を見上げていたあの「グノーシス」さんの偽者の彼もきっとこの目の前の男を愛しているのに、何故彼がその愛情に目を背け続けるのか僕には分からなかったのだ。

「お前は不思議な人間だな。それを知ってお前は一体どうしようと言うのだ?」
「どうしようという事も無いですが、僕にはあなたが自ら進んで孤独になろうとしているようにしか見えない」
「孤独?」
「何もかも手にしているのに、あなたはいつでも一人ぼっちだ……」
「私はいらない物は幾らも持っているが、欲しい物は何一つ持っていないからな」
「陛下の欲しいものって……なんですか?」

 メリア王はまた少し考え込むように遠くを眺めた。
 長く続く沈黙。深く刻まれた眉間の皺に彼の中に踏み込み過ぎたか、と肝を冷す。

「あの……」
「昔はあの子が妬ましかった……」

 彼はぽつりとそう言った。
 あの子? 誰? それはグノーシスさんの事?

「生まれたばかりのあの子は、とても可愛くていい匂いがした。母もあの子には私に向けるような視線は向けはしなかったし、何よりあの子には愛してくれる人間がいた」

 何かを思い出すように彼は語り続ける。

「自分には無い物をすべて持って生まれた子だとそう思った。同じ母親の腹から生まれたというのに、何故にこんなに違うのか……と当時はそんな事ばかり考えていたな」
「陛下は……グノーシスさんが嫌いだったのですか?」
「グノーシスという名は私が付けた。その名の付いたあの子は私だけのグノーシスだ。その前の、セカンドであったあの子を、私は少なからず憎んでいたのは事実だな。二番目に生まれておきながら、一番であるはずの私より優れていたあの子を、私は……そう、きっと嫌いだったのだろうな……」

 そんな事は考えてもいなかったというような顔で、メリア王は自身の掌を見詰めた。

「あの子が母に捨てられ、周りに誰もいなくなって、ようやく私はあの子を愛する資格を得たとそう思った……」

 彼の独白は続く、僕はただ黙ってそれを聞いている。

「名を与え、居場所を与え、あの子が望むのならなんでも与えた……私だけを見て、私だけに笑いかけるあの子が愛しくて仕方がなかった……だから、未来永劫この子は私だけの物だとそう思ったのだ」

 人は物ではない、人の気持ちを縛る事はできない。
 彼はそれを分かっていない。

「私があの子を愛するように、あの子も私を愛するのが当然で……なのにあの子は私の前から姿を消した……」
「それは何故だと思いますか?」
「私の成長を促すために……私が不甲斐ない王だから、あの子は私を見限った……」

 僕はそれは違うと首を振る、何故グノーシスさんがこの王様の前から姿を消したか、その真実など分かりはしない、けれど、その結論だけは違うと僕はそう思ったのだ。

「彼はきっとあなたを見限ってなどいない、彼はただあなたと2人だけの世界には住めなかったのではないかと、僕はそう思います」
「2人だけの……世界?」
「あなたの世界はとても閉鎖的で閉じている。あなたはグノーシスさんだけいれば良かったのかもしれませんが、彼はきっとそうじゃなかった」
「……お前に、あの子の何が分かる!」

 突然怒り出した王に身を震わせながらも、僕は彼を見据える。

「分かりません、僕はグノーシスさんではありませんから。ですが、陛下、あなたもグノーシスさんではない、別人です。だったらあなたにも彼の思いなど分かるはずがない」
「私には分かる! あの子の考えている事が全部、何故ならあの子は私の『運命』だからな!」
「あなたはその言葉に逃げているだけです。僕にも『運命の番』がいますが、僕は彼の考えている事なんて何一つ分かりはしない、彼は彼だ、僕じゃない」
「だったら『運命』とは一体何なんだ!!」

 『運命』初めて会った時から、エディは僕だけの王子様だった。
 彼も僕に『運命』を感じてくれて、僕達は2人でいる事を誓い合った。だけど、それは本当にただお互いがそう思っているだけで、何かが目に見える訳でもない不確かな物だ。
 僕にだって『運命』が何なのかなんて分からない、だけど!

「少なくとも、それは相手を縛る為の言葉じゃない」
「相手を縛る? 私がグノーシスを縛っていたと……お前はそういうのか?」
「過去ではなく、今もあなたはその言葉でグノーシスさんを縛ろうとしている。いいえ、グノーシスさんだけじゃない、あなたはその言葉に捕らわれて、自分自身さえも縛り付けているのではないですか?」
「自分を……?」
「ただ『運命』なんて言葉に縋って、あなたは自分の周りにある『愛情』を見ようともしない、そんなモノ『運命』なんかであるはずない!」

 僕の言葉にメリア王は黙り込み、その日そのままお茶会はお開きになった。
 机の上に残されたままのメッセージカードが、僕は悲しくて仕方がなかった。




 数日間お茶会は開かれる事もなく過ぎていった。
 僕はメリア王を怒らせたのだろうか?だが、彼の去って行く後姿からは怒りはあまり感じなかったのだ、それよりももっと強く感じたのは彼の悲しみ。
 もしかして僕は彼を傷付けたのかもしれない、だけど僕は言わずにはいられなかったんだ。
 窓の外テラスの方からカタンと物音がした。
 またルネーシャが遊びに来てくれたのかと思い顔を上げたら、そこには僕の王子様が立っていた。

「エディ!」

 窓を開け放って広げられた彼の腕の中に飛び込んだ。
 今回は格子なんて無粋な物は間に無い。彼とこうして直接抱き合ったのは一体何時ぶりだろう。

「遅くなって、ごめん」

 彼も僕を抱きしめ返してくれて、なんだかまるで夢を見てるみたいだ。
 エディの匂いが僕の鼻を擽る、あぁ、エディの匂いやっぱり大好き。

「僕は来てくれただけで嬉しいよ」
「ランティスと違ってここは警備が厳重でなかなか忍び込めなかった、帰ろうアジェ」

 エディは僕を抱きしめたまま、抱き上げるように抱え上げた。

「ちょ、ちょっと待ってエディ! 駄目だよ!! 僕は行けない」
「なんで?」
「だって、まだルネちゃんいるし! っていうかルネちゃんの方、誰か別の人が行ってるの?」
「いや……今日は自分だけで……」
「だったら余計駄目! ルネちゃんと一緒に来てるマリアさん、あんまり調子良くないんだ、手荒な事したら危ないよ。それに僕達が黙って消えたらそれこそメリアとランティス、それにファルスまで巻き込んで戦争になっちゃう! 駄目だよ、絶対!!」
「そっちはもうじき片が付きます」
「そうなの?」

 抱えられたまま、エディの瞳を覗き込むようにすると、彼は何故だか瞳をそらした。

「あ! エディなんか隠してる!!」
「別に隠し事なんてないですよ」
「嘘、今瞳そらしたもん、それエディが嘘吐く時の癖だからね!」

 渋々と言った感じでエディはこちらを見やる。

「実を言えば総ての片が付くのにはもう少し時間がかかりそうで……」
「そうなんだ? 大丈夫だよ、僕ちゃんと待ってるから」

 エディは眉間に皺を寄せて「物分りが良すぎる……」とそう呟いた。

「アジェはなんでそんなに物分りよく、いい子でいようとするんだ」
「そう見える?」

 僕の返答に彼は不機嫌を隠さない顔で頷いた。

「たぶん嫌われるのが怖いんだよ。憎まれるのも嫌だなぁ、僕のせいで戦争が起こったなんて事になったら、それこそ幸せになんてなれないから」
「お前のせいじゃない、全部メリア王とあいつのせいだ」
「あいつ?」

 エディはまた瞳をそらす。

「ねぇ、聞いてもいい? 結局グノーはセカンドだったの? それとも人違いだったの?」
「……あいつはメリアのセカンドで間違いない」

 あぁ、やっぱりそうだったんだ。
 頭の中でいくら違うと否定しても、僕の中で否定しきれない部分が幾つもあった。
 2人は似ていない兄弟だけど、本質的な所はそっくりな、悲しい魂を持っている……そんな気がする。

「エディの言う『あいつ』ってグノーの事だよね? だったら違うよね? これはひとつもグノーのせいなんかじゃない」
「あいつが自分だけの幸せを求めたりしたから、こんな事に……」
「それって、間違った事?」

 僕は逃げるエディの瞳を追い詰める。

「自分の幸せを求める事は間違った事? ねぇ、エディはなんでそんな風に瞳をそらすの?」
「お前がまた、自分を犠牲にしてそうやって周りの幸せばかり考えるのが、俺は、本当に嫌なんだ!」
「でも、エディはそれが間違った事じゃない事も分かってるよね?」
「お前はなんであいつを恨もうとしない? あいつと一緒にいなければ、こんな風に捕らえられる事もなかったのに……」

 僕はエディの顔を覗き込んでその眉間の皺を突く。

「エリィもそうだけど、そんな顔してたら眉間に皺刻まれちゃうよ」
「アジェ!」
「僕は平気。だってエディが守ってくれるから」

 にっこり笑ってそう言うと、彼は泣きそうな顔をする。

「俺は何もできない、俺一人じゃ駄目だった……俺一人じゃお前を守れない」
「でも、エディはここまで来てくれた。大変だったよね? ありがとう」
「来たから何だって言うんだ! お前を取り戻せないんじゃ意味がない!!」
「僕もなんとか頑張るから、もう少し待ってて」

 「何を……?」とエディはこちらを不審気な顔で見やるが、僕はまたにっこり笑ってスルーする。

「ねぇ、グノー子供できたんだよね? もう生まれた? あ……グノーの居場所エディは知らないのかな?」
「え? あ……いや、知ってる。子供も生まれた。赤毛の……女の子だ」
「女の子なんだ! 可愛い? ねぇ可愛い? 見た? エディは見たの?」
「あ……あぁ、可愛い子だよ」
「ねぇ、名前は? 名前なんていうの?」
「え? あ……『ルイ』とか言ってたかな……」
「ルイちゃんかぁ~僕も見たいなぁ」

 エディは少し困ったような表情でこちらを見てる。

「なんでお前は……」
「僕はエディと幸せになる事だって諦めてないよ。時間はかかっても片付く算段は立ってるんでしょ?」
「それは、まぁ……」
「だったら、僕ちゃんと待ってるよ」
「上手くいくかなんて分からない……」

 そんな見えない先を待つくらいなら、今ここでお前を攫いたい、エディの心は叫んでいる。

「そんな顔しないでエディ、すべて終わったら一緒にルーンに帰ろう、ね」

 エディに酷い事を言っているのは分かってる、きっと皆を守るのはとても大変なのも分かってる、僕がここで素直に彼の腕の中に飛び込んで僕達だけで逃げる事が本当は一番簡単だっていう事も僕は分かっている。でも、駄目なんだ。それじゃあ駄目なんだよ。
 触れるだけのキスをして、彼はやはり眉間に皺を寄せているのだが、僕はそれを見ないふりで彼の頬を撫でた。

「大丈夫、きっと全部上手くいく」

 口元を引き結んで、彼は何も言わずに僕を一度抱きすくめると身を離して踵を返した。

「必ず迎えに来る」
「うん、待ってる」

 彼はテラスを飛び降り駆けて行った。
 僕はランティスにいた時と同じに、彼の背中をずっと見守っている。
 でも、僕もやらなきゃ、ただ待ってるだけじゃ何も変えられない。

「エディ、ありがとう」

 いつも傍にいて欲しい時を見計らったように彼は僕の前に現れる、僕に勇気をくれる。
 きっと僕にだってできる事はあるはずだ。僕はここにいる、だったらここでしかできない事をやらないと。
 出来る事なんてたかが知れている、それでも僕は何かを変えたいとそう思っていたのだ。


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