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35話 強くなりたい①
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「う・・ん。」
パチっと目が開いた。見慣れた天井、俺はいったいどうしたんだろう。
頭が働かず、しばらく放心状態が続き、いろいろと思い出すのに時間がかかる。
そうだ・・俺は昨日大雅に・・
思い出したくもない現実を思い出す。
それにしても、ここは俺の部屋だ。いったいどうなっているんだ。
コンコン
「健太ー?起きてる?」
身体の節々が痛いが、ゆっくりとベッドから起き上がると、母さんが部屋のドアを開けて俺を心配そうに見ながら側にやって来る。
「母さん、俺いつ帰って来たんだろ」
「健太、あなた昨日友達とふざけて遊んでて学校の階段から落ちちゃったって聞いて、、お母さんびっくりしちゃったじゃない!」
言葉尻が強いも、目尻を下げて今にも泣きそうな母さん。かなり心配かけたみたいだ。
「健太、あなた今は身体も普通に成長したし元気だけれど、小学生の頃は身体も小さくていじめられてたから心配で心配で、、、」
昔はそんなに心配かけてたんだ。
目尻の涙を拭い取とり、落ち着きを取り戻した母さんはニッコリと笑って言った。
「けれど、あの子が助けてくれて良かったわ。あなたと違ってますます体格もしっかり成長してたけど、また同じ学校って聞いてお母さん安心したわ!」
え、、
嫌な予感がする。
「母さん、あの子って誰?」
まさか、、
「やだわ~、再会したなら教えてよね!会ったんでしょう?大雅君に。」
ビシッと俺の視界がひび割れた感覚がした。
ーー嘘だろうーーなんで母さんが大雅が高校にいることを知ってるんだよ。
母さんから事情を聞いたところ、大雅はあの後、俺を自宅まで運んでくれたらしい。ご丁寧に階段から落ちたと嘘までついて。
しかも、、あの大雅からは考えられないような真摯な態度だったとか。スポーツ選手の様な好青年だったとか母さんが言ってたから気でも狂ったのかと思ってしまった。
あの悪魔も外面だけはいいらしい。お陰で俺の母さんはすっかり騙されて、「優しくてかっこいい大雅君が健太のそばにいるなら私も安心だわ。」とか言いだす始末。
これなら俺が何を言っても母さんは信じてくれないだろう。まあ、俺にも男としてのプライドは少なからずあるわけで、、
男なのに同じ男に襲われたなんて、言えやしない。
自分でなんとかするしかない。
強くなりたい。
ーーもっと、身体的にも精神的にも、もっともっと強くなりたいーー
時計を確認すると、大雅に襲われた次の日の夕方になっている。かなり眠っていたようだ。そりゃ母さんも心配するよな。
スマホを確認するも、チハルからの連絡は入っていない。
「・・チハル」
ごめんチハル、どうか、無事でいて。
「どうしたの?難しい顔して、けど、、ふふっ、あんな事があったけど、貴方達がまた再会して仲良くしてる姿が見られるの母さん嬉しいわ。健太、あなたが無事だったのもあの子のお陰だものね。」
母さんは何を言ってるんだ?まるで、あいつが俺を助けた事があるみたいな、
怪訝な表情を向ける息子に、母親は悲しそうに目を伏せる。
「そっか、あなたは忘れてるのね。思い出して欲しくないのが親としての思いだけれど、、とにかく、大雅君は良い子よ。それだけは知っていてね。」
いつもの様にふふっと笑うと、母さんは部屋を出て行った。
俺が忘れている何か
だから大雅は俺を虐めるのか?性的な嫌がらせまでして苦しませようと?
大雅に助けられた恩があるらしいにも関わらず、俺が忘れて反抗しているから、、
どうしたら良いのだろう。
チハルの事、大雅の事、頭がパンクしそうだ。
ピロリン
電子音がした為スマホを開くと、遊佐桜都から連絡が来ていた。
『負け犬君、貧弱で情けないまま親衛隊隊長続けるの?強くなりたいなら、行動を起こしなよ。』
ギュッと手の中のスマホを握りしめた。強く、なりたい。
パチっと目が開いた。見慣れた天井、俺はいったいどうしたんだろう。
頭が働かず、しばらく放心状態が続き、いろいろと思い出すのに時間がかかる。
そうだ・・俺は昨日大雅に・・
思い出したくもない現実を思い出す。
それにしても、ここは俺の部屋だ。いったいどうなっているんだ。
コンコン
「健太ー?起きてる?」
身体の節々が痛いが、ゆっくりとベッドから起き上がると、母さんが部屋のドアを開けて俺を心配そうに見ながら側にやって来る。
「母さん、俺いつ帰って来たんだろ」
「健太、あなた昨日友達とふざけて遊んでて学校の階段から落ちちゃったって聞いて、、お母さんびっくりしちゃったじゃない!」
言葉尻が強いも、目尻を下げて今にも泣きそうな母さん。かなり心配かけたみたいだ。
「健太、あなた今は身体も普通に成長したし元気だけれど、小学生の頃は身体も小さくていじめられてたから心配で心配で、、、」
昔はそんなに心配かけてたんだ。
目尻の涙を拭い取とり、落ち着きを取り戻した母さんはニッコリと笑って言った。
「けれど、あの子が助けてくれて良かったわ。あなたと違ってますます体格もしっかり成長してたけど、また同じ学校って聞いてお母さん安心したわ!」
え、、
嫌な予感がする。
「母さん、あの子って誰?」
まさか、、
「やだわ~、再会したなら教えてよね!会ったんでしょう?大雅君に。」
ビシッと俺の視界がひび割れた感覚がした。
ーー嘘だろうーーなんで母さんが大雅が高校にいることを知ってるんだよ。
母さんから事情を聞いたところ、大雅はあの後、俺を自宅まで運んでくれたらしい。ご丁寧に階段から落ちたと嘘までついて。
しかも、、あの大雅からは考えられないような真摯な態度だったとか。スポーツ選手の様な好青年だったとか母さんが言ってたから気でも狂ったのかと思ってしまった。
あの悪魔も外面だけはいいらしい。お陰で俺の母さんはすっかり騙されて、「優しくてかっこいい大雅君が健太のそばにいるなら私も安心だわ。」とか言いだす始末。
これなら俺が何を言っても母さんは信じてくれないだろう。まあ、俺にも男としてのプライドは少なからずあるわけで、、
男なのに同じ男に襲われたなんて、言えやしない。
自分でなんとかするしかない。
強くなりたい。
ーーもっと、身体的にも精神的にも、もっともっと強くなりたいーー
時計を確認すると、大雅に襲われた次の日の夕方になっている。かなり眠っていたようだ。そりゃ母さんも心配するよな。
スマホを確認するも、チハルからの連絡は入っていない。
「・・チハル」
ごめんチハル、どうか、無事でいて。
「どうしたの?難しい顔して、けど、、ふふっ、あんな事があったけど、貴方達がまた再会して仲良くしてる姿が見られるの母さん嬉しいわ。健太、あなたが無事だったのもあの子のお陰だものね。」
母さんは何を言ってるんだ?まるで、あいつが俺を助けた事があるみたいな、
怪訝な表情を向ける息子に、母親は悲しそうに目を伏せる。
「そっか、あなたは忘れてるのね。思い出して欲しくないのが親としての思いだけれど、、とにかく、大雅君は良い子よ。それだけは知っていてね。」
いつもの様にふふっと笑うと、母さんは部屋を出て行った。
俺が忘れている何か
だから大雅は俺を虐めるのか?性的な嫌がらせまでして苦しませようと?
大雅に助けられた恩があるらしいにも関わらず、俺が忘れて反抗しているから、、
どうしたら良いのだろう。
チハルの事、大雅の事、頭がパンクしそうだ。
ピロリン
電子音がした為スマホを開くと、遊佐桜都から連絡が来ていた。
『負け犬君、貧弱で情けないまま親衛隊隊長続けるの?強くなりたいなら、行動を起こしなよ。』
ギュッと手の中のスマホを握りしめた。強く、なりたい。
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