狐の国のお嫁様 ~紗国の愛の物語~

真白 桐羽

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大蛇2 涼鱗視点

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 蘭紗は侍従に、カジャルの父・サヌ羅と近衛隊長を呼ぶように告げた。
それから薫付きの侍女達には、薫の支度をさせるよう告げていた。

「どこでするの?」
「ここでいいさ」

蘭紗は指で上を指さした。

「……ん。蘭紗、相当魔力が高まってるねえ、どうなってんのその尾」
「ああ……隠してるのにわかるのか?お前の察し能力は相変わらずバケモンだな」
「ひどいよ、ひどいよ蘭紗、だけど尾が増えてること何で隠すの?」
「まあ、そのうち公にするがな」
「ふーん、でもやはりそうなったんだね」
「お前どうせ知ってたんだろう?記録には書いてあるだろうから」
「だけど、まだどんな風に増えていくかは調べられてないんだ、今何本なんだ?」

蘭紗はジトリと睨んできた。

「3本だ」
「いつから?」
「……薫と初めて褥を共にした夜だ」

なるほどねえ、お嫁様の力によってそれが発現するのに手っ取り早いのはやっぱりそれか。

「蘭紗様、サヌ羅様と近衛隊長がお着きに」
「通せ」

2人は頭を低くして臣下の礼をしているが、蘭紗はこういうのは嫌いなんだよね。
やはり蘭紗はさっさとそれをやめさせてから、手短にカジャルのことを伝えた。

「ということで、カジャル捜索にはこの時間だし近衛を出すこととし、この涼鱗も隊長とともに現地へ行ってもらう」
「は?」
「お前……お前のせいでカジャルがいなくなったんだ、責任を取れ」
「はあ?言いがかりも甚だしい」
「とにかくだ、我は千里眼でまず森を探す、全域を見るのにもそれほど時間はかかるまい。何時ごろお前の家を出たのかは知らぬが、飛翔していないのであればおそらくまだいるだろう」
「だが、どうして蘭紗の近衛を私が率いるんだ?」
「お前は、自分で迎えにいきたいのではないのか?」
「……」

察しがよろしいことで……

顔色を失ったサヌ羅が緊張しながら私に頭を下げてきた。

「涼鱗王子殿下、愚息のせいで申し訳もありませぬ」
「いや、まああれだ。サヌ羅殿、それは良いとしてね。あなたなんでしょう?カジャルを蘭紗と話もさせずに連れ帰ったのは」

サヌ羅は額から汗を垂らし、それを拭うこともせず頭を下げたままだ。

「私は……陛下に息子をささげ、我が家は長女に婿を取らせ存続することにしましたが、それでも息子がいてくれたらと、そう思わない日は……無かったのです。無礼なことを申し上げてすみませぬ。……しかし、お嫁様がいらしたことで役割が済み、息子がここにいる必要が無くなったとあれば即座に返してもらたかった。ただの親の我がままでございました。不敬なことをいたしました」

思わず蘭紗と目が合った。

「取りあえずね、カジャルと蘭紗はね……話し合う必要があるんですよ、サヌ羅殿、親としてあなたの思いも当然なのでしょうけどね。でも彼ら二人にはもう親と子以上の絆があったのではないですか?考えても御覧なさい。一体何年一緒に暮らしたと思ってるんです」

サヌ羅は額付き蘭紗に許しを請うた。

「陛下、私の身勝手な行動によりこのような事になり、結果お手を煩わせることになろうとは、私の浅はかさが全て元凶でございます。いかようにもお裁きを」
「まあ、ちょっと待て」

うんざりしたように蘭紗が近寄り、その手を取り立ち上がらせた。

「取りあえず、カジャルを探すぞ。サヌ羅、立つんだ」

しおしおとした様子のサヌ羅がよろよろと立ち上がると侍従が寄ってきて椅子に座らせた。

「出発するぞ、近衛隊長は涼鱗の指示を聞いてくれ、我は千里眼で見て、涼鱗に伝える」
「はっ!」
「急ぐぞ」

その時支度を終えた薫が部屋に入ってきた。

「涼鱗、これを、それから薫、共に来てくれ」
「え?僕ですか?……わかりました」

私は蘭紗から通信用の魔石を受け取った。
全員で先ほどの空の門に急ぎ、私は近衛部隊を引き連れ飛翔の準備をする。

薫は「ねえどこにいくの?カジャルさんがどうしたの?」と小さな声で訊いている。
それに優しい声で答えている蘭紗の姿を見て、蜜月ぶりにもはや笑いがこみ上げる。

門に到着すると、蘭紗は凛とした声で「しばし待て」と命令したのち、薫と手を繋ぎ、トンっと地を蹴りスーッと上空に上がった。
それを皆で見上げた。
薫もつたないながら自分で飛んでいるように見える。

防護壁が無ければバチバチと肌に当たる強い降りの中、まだ明けぬ暗闇でポワンと光って見える蘭紗と薫をじっとみつめていると、カーっと一瞬光りそしてギンっ!と空気が揺れる音を感じ、その後ビリビリと痛いほど体に響いてきた。
防護壁もグワンと揺れる。

「ふっ 相変わらず凄い魔力だね」

明らかに大きすぎる魔力、薫が増幅させているのだろう。
近衛も息をのんで見ている。
やがて通信が来た。

『西の方角だ、城の結界を出てすぐあたりで森はまだ出ていない、しかし気になる』
『何がだ?』
『一人ではないからだ、カジャルの他に4人が見える』

え!

門に集まる者全員が緊張状態になった。

『それはどういう』
『まだわからん、もう少し強めて見てみる。とりあえず、西に行ってくれ、目印を魔力でつける。色がつくのでそこへ』
『了解した』

私は即座に近衛部隊と共に飛翔した。


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