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狐と蛇と獅子と2
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「み、み、み」
「見たいってさ」
カジャルさんが2人に通訳してくれた。
「いいよ!」
涼鱗がするっと着物を脱いだので、きゃー!って目を手で隠したけど、ちょっと間に合わなくてお尻が見えちゃった……背中にウロコがうっすらあった、白くてやわらかそうな滑らかなウロコ。
光を反射してきれい……って思った瞬間にはもう、空中に大蛇が浮かんでいた。
一番日差しが強い時間、美しい湖畔に白い大蛇が浮かんでいる。
赤い目がこちらを優しげに見ていて、チロっといつもの舌が見えた。
首を振ると、後頭部から生えた柔らかい角のような髭があって、それがサランって揺れてきれいだった。
「あ……」
呆然とする僕に蘭紗様は、ため息交じりに頬にキスしてくれた。
「ほんとに見たい?みんな裸になるんだが」
「服が破けるから先に脱がないと」
カジャルさんも笑う。
「普通はこんな風にさくっと獣化しないんだよ、恥ずかしいだろ?色々と」
カジャルさんの指さすものは大蛇だ。
「で、でもすごく、興味あります!」
僕の目はキラキラだ。
2人は目を見合わせてため息をついて、さっさと着物を脱ぎ始めた。
カジャルさんの体を見ないようにして、蘭紗様の着物を受け取って手に抱きかかえた。
蘭紗様の体は本当にきれいなのだ、きちんとついている筋肉が男らしくて……だけどごつごつしてるわけではなくて、きれいなんだ。
昼間の光の中で神様みたいに輝いてる。
「先いくぞー」
と声がしたので振り返ったら、そこにライオンになったカジャルさんが大蛇に寄り添っていた。
前足を片方大蛇の背に乗せて、こちらを見ている。
羽もないのに飛んでます……
大蛇ほど大きくないけど、普通の民家ぐらいはありそうなそんな大きさなのですごい迫力で、体もたてがみも茶色!
ああこの色はカジャルさんの髪の色ですね!
そういえばライオンって耳が丸かったと思うけど……丸みはあるけど三角で、しっぽも狐と獅子の半分ずつの特徴を備えていた。
さすがハーフ!
驚き顔のまま振り向くと、蘭紗様もフッと笑ってからトンと飛び次の瞬間には3つの尾を持つ美しい銀色の狐が木の上にいてこちらをじっと見ていた。
……蘭紗様、神々しい。
輝く美しい大きな大きな銀色の狐さんは、僕を木の梢から見つめていて、ああ、こんな素敵な一瞬があるなんてと、胸がドキって苦しくなった。
こんな気持ちがあることを僕は知らなかったよ、この瞬間を切り取りたい。
そして、愛する人が目の前にいるのになんだか切ない。
きっと蘭紗様が美しすぎるからだ。
「……」
何も言えなくてじっと見つめ返していると、強い風が急に吹いてきて、油断していた僕の体は攫われそうになった。
でも、いつの間にか隣にいた銀色の狐が、僕の体を支えてくれてた。
「薫、背に乗れるか?」
「え、しゃべれるの?」
「ああ、話せるぞ、これで湖を一周してみよう」
僕はおそるおそる、すべすべふわふわの蘭紗様の背中によじ登って、なんとか座った。
「わあ、ほんとにふわふわ、すごくきれいな毛並みですね、しあわせ!!!」
「喜んでくれてなによりだよ」
蘭紗様は、ふわっと浮かんで、ゆっくりと僕を落とさないように静かに2人に合流して上昇しつつ湖をぐるりと回る。
……あぁ……なんて気持ち良いんだろう。
白い大蛇は獅子とじゃれながら水面すれすれをビューっと飛んでいるかと思えば、湖に2人して潜り、次の瞬間一緒に水の中から急上昇した。
そして空中でぐるっと体をねじった。
大蛇と獅子が一瞬太陽を隠して大きな影になって、水しぶきが周りを彩って虹がさーっと出た。
「す、すごい!!きれい!!!」
すると今度は蘭紗様が湖に急降下し、僕が必死に捕まりながらワーワー言ってるのを笑いながら、一瞬体を水の中に入れた。
……んと、僕も沈んだよ?
で、次の瞬間、グーンと水を飛び出して上昇する。
僕は振り落とされないように必死だ。
そして、パーンって水しぶきを放った。
勢いで水しぶきと一緒に振り落とされる僕!
でも、僕だって負けないよ!
ふん!って踏ん張って空中に浮いて、蘭紗様のふさふさしっぽをつかんだんだ。
なんて素敵な触り心地!
「もう! おちちゃったじゃないの!!」
僕が何を言ってもワハハって笑うばかりの狐と蛇と獅子はしばらく僕と一緒に空の散歩を楽しんだんだ。
なんて素敵な一日だったろうか……
こんな日々がずっと続いてほしい。
それは国を治める蘭紗様とお嫁様の僕にかかっているんだ。
太陽がまぶしかったこの思い出を、僕は何年生きてもきっと忘れない。
きっとだよ。
「見たいってさ」
カジャルさんが2人に通訳してくれた。
「いいよ!」
涼鱗がするっと着物を脱いだので、きゃー!って目を手で隠したけど、ちょっと間に合わなくてお尻が見えちゃった……背中にウロコがうっすらあった、白くてやわらかそうな滑らかなウロコ。
光を反射してきれい……って思った瞬間にはもう、空中に大蛇が浮かんでいた。
一番日差しが強い時間、美しい湖畔に白い大蛇が浮かんでいる。
赤い目がこちらを優しげに見ていて、チロっといつもの舌が見えた。
首を振ると、後頭部から生えた柔らかい角のような髭があって、それがサランって揺れてきれいだった。
「あ……」
呆然とする僕に蘭紗様は、ため息交じりに頬にキスしてくれた。
「ほんとに見たい?みんな裸になるんだが」
「服が破けるから先に脱がないと」
カジャルさんも笑う。
「普通はこんな風にさくっと獣化しないんだよ、恥ずかしいだろ?色々と」
カジャルさんの指さすものは大蛇だ。
「で、でもすごく、興味あります!」
僕の目はキラキラだ。
2人は目を見合わせてため息をついて、さっさと着物を脱ぎ始めた。
カジャルさんの体を見ないようにして、蘭紗様の着物を受け取って手に抱きかかえた。
蘭紗様の体は本当にきれいなのだ、きちんとついている筋肉が男らしくて……だけどごつごつしてるわけではなくて、きれいなんだ。
昼間の光の中で神様みたいに輝いてる。
「先いくぞー」
と声がしたので振り返ったら、そこにライオンになったカジャルさんが大蛇に寄り添っていた。
前足を片方大蛇の背に乗せて、こちらを見ている。
羽もないのに飛んでます……
大蛇ほど大きくないけど、普通の民家ぐらいはありそうなそんな大きさなのですごい迫力で、体もたてがみも茶色!
ああこの色はカジャルさんの髪の色ですね!
そういえばライオンって耳が丸かったと思うけど……丸みはあるけど三角で、しっぽも狐と獅子の半分ずつの特徴を備えていた。
さすがハーフ!
驚き顔のまま振り向くと、蘭紗様もフッと笑ってからトンと飛び次の瞬間には3つの尾を持つ美しい銀色の狐が木の上にいてこちらをじっと見ていた。
……蘭紗様、神々しい。
輝く美しい大きな大きな銀色の狐さんは、僕を木の梢から見つめていて、ああ、こんな素敵な一瞬があるなんてと、胸がドキって苦しくなった。
こんな気持ちがあることを僕は知らなかったよ、この瞬間を切り取りたい。
そして、愛する人が目の前にいるのになんだか切ない。
きっと蘭紗様が美しすぎるからだ。
「……」
何も言えなくてじっと見つめ返していると、強い風が急に吹いてきて、油断していた僕の体は攫われそうになった。
でも、いつの間にか隣にいた銀色の狐が、僕の体を支えてくれてた。
「薫、背に乗れるか?」
「え、しゃべれるの?」
「ああ、話せるぞ、これで湖を一周してみよう」
僕はおそるおそる、すべすべふわふわの蘭紗様の背中によじ登って、なんとか座った。
「わあ、ほんとにふわふわ、すごくきれいな毛並みですね、しあわせ!!!」
「喜んでくれてなによりだよ」
蘭紗様は、ふわっと浮かんで、ゆっくりと僕を落とさないように静かに2人に合流して上昇しつつ湖をぐるりと回る。
……あぁ……なんて気持ち良いんだろう。
白い大蛇は獅子とじゃれながら水面すれすれをビューっと飛んでいるかと思えば、湖に2人して潜り、次の瞬間一緒に水の中から急上昇した。
そして空中でぐるっと体をねじった。
大蛇と獅子が一瞬太陽を隠して大きな影になって、水しぶきが周りを彩って虹がさーっと出た。
「す、すごい!!きれい!!!」
すると今度は蘭紗様が湖に急降下し、僕が必死に捕まりながらワーワー言ってるのを笑いながら、一瞬体を水の中に入れた。
……んと、僕も沈んだよ?
で、次の瞬間、グーンと水を飛び出して上昇する。
僕は振り落とされないように必死だ。
そして、パーンって水しぶきを放った。
勢いで水しぶきと一緒に振り落とされる僕!
でも、僕だって負けないよ!
ふん!って踏ん張って空中に浮いて、蘭紗様のふさふさしっぽをつかんだんだ。
なんて素敵な触り心地!
「もう! おちちゃったじゃないの!!」
僕が何を言ってもワハハって笑うばかりの狐と蛇と獅子はしばらく僕と一緒に空の散歩を楽しんだんだ。
なんて素敵な一日だったろうか……
こんな日々がずっと続いてほしい。
それは国を治める蘭紗様とお嫁様の僕にかかっているんだ。
太陽がまぶしかったこの思い出を、僕は何年生きてもきっと忘れない。
きっとだよ。
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