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冷酷無残な国8 出陣
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軍を率いて国を発ってから2日目。
我が出陣する前日にすでに斥候ならび潜入部隊を放っていて、それらはもう到着したと連絡が入っている。
彼らは暗殺部隊の跳光家とその傍系で構成されている。
隠密行動に長けた彼ら一族は、わが紗国が誇る少数精鋭部隊だ。
そしてカジャルの申し出により、その跳光家の次男・僑が軍医として我らに同行している。
この次男は跳光家の家業を継がずに医師になったという変わり者だが、医師としての腕もよく、飄々とした性格で皆の信頼を勝ち得ている。
我の飛翔の速さに付いてこれる者はほんの一握りだが、彼もまた、難なくついてくるあたりやはり跳光家だなと思わせる。
下を見れば無限に広がりを見せる辺境の森……阿羅国は辺境の森に囲まれている上、急峻な山々に囲まれた攻めにくい場所にある。
飛翔ができぬ者が出向くことはほぼ不可能だ。
先発した跳光家はその山肌に張り付き、阿羅国の動向を見ているのだが。
先ほどから入る通信では、まるで動きがないという。
……そんなわけあるか
とは思うのだが……かつて同じ学び舎にいた無表情な男の顔を思い出す。
何もかも諦めたような悲しい目をした黒髪の阿羅国の王子。
波羽彦はどのように動いているのか……
「……陛下」
静かに横に付く男を見た。
渦巻く髪を後ろで一つに結び、跳光家独特の黒い装束に身を包んで闇に溶け込んでいる。
男の目は優し気で愛嬌たっぷりだが、その瞳の奥にある狙ったものを決して外さないという狂気のような熱に我は気づく。
「兄から連絡がありました。陛下の方には?」
「動く気配がないと」
「潜入部隊からも同じですよね?何か妙だと思いませんか?一国の王の婚約者を攫っておいて……攻めてくるのはわかるでしょうに、迎え撃つ準備をしないなど、ありえましょうか?」
「……おそらくだが、本当に動きがないというのなら、波羽彦が何らかの策をしておるのかもしれんし、やつらの奥の手があるのかもしれん、とにかく油断はできない」
「陛下……阿羅国王は本当に今だにこちらの味方なのですか?」
我は頷いた。
「では、潜入部隊に接触させても大丈夫でしょうか」
「そうだな……潜入部隊の隊長はそなたの父・波呂だな」
「はい」
跳光家は自らの見た目を景色に同化させ気配を消す技『隠密』を持つが、それは魔術ではなく異能の類で、代々跳光家には良く発現する。
蛇族の王家もその力を持つので、涼鱗もそれを使える。
その異能の集団を持つ紗国はそれ自体が抑止力となり、世界が戦乱の世も乱れずに済んだと伝えられている。
それほどの力だ。
「私が父に伝えます、なんなりと」
跳光には、血族同士だけが使える思念を使っての連絡方法があるのだ。
薫が転移されたその後すぐに隊を作り向かわせたのだ。
もうあちらについて2日目のはずだ。
すでに城に入り、中を探っているはずだ。
「では、薫の無事を確認し、そして波羽彦に接触せよと」
「ハッ」
涼鱗がうんざりしたように蘭紗を見てきた。
「ねえ蘭紗、我らのみ突出して早すぎるよ、少し速度を落とさないとねえ……少数で素早く動く作戦だってのはわかるけどさ、孤立は良くないよ?」
「うむ」
「ちょうどあの山も見えてきたよ、そろそろ辺境の森も終わりだからね」
「ああ、それではあの山の峰付近で後方部隊を待ちつつ、あちらを伺おう」
紗国の軍勢は少人数だ。
飛翔できるもの、その他能力が秀でているもののみが今回選ばれて出陣した。
阿羅彦と対決するのなら……どうせ一対一だ。
大軍を動かす必要な無いのだ。
「陛下、連絡が来ました。現在城に父の部隊5名が潜入しており、城の見取り図を作っているとのことです、すでに薫様がいらっしゃる可能性が高い部屋はめぼしがついているとのことです……索敵したところ、城内にはほぼ衛兵と呼べるようなものはおらず、みな静かに日常を送るだけのようです……」
我は顔をしかめるしかできなかった。
阿羅彦という男が建国してのち、今だ生きているのが本当ならば、4000才という想像を絶する長さを生きる者だ。
どういう思考をしているのか、果てはそれはまだ人間と呼べるのか、我には見当がつかない。
見ると、目的の峰が見えてきた。
我らはあちらから見えないように慎重に死角を狙い、山に降り立つ。
尖った形の針のような木がうっそうと茂り、足元には雪だ。
空気も薄く、気温も低い。
「うへ……寒いな……」
「ここは年中雪が解けないと聞く」
「この山が阻んで阿羅国はどこにも攻められてないんだからねえ、天然の城壁だねまさに」
木々を少し伐採し、阿羅国が見渡せるほどの隙間を作る。
僑は跳光家秘伝の体力と魔力を戻すのに役立つ薬湯を煎じ出した。
それを手伝うカジャルは、鍋にそこらの雪をどさどさ入れている。
「蘭紗……」
「ああ」
我と涼鱗が見やるのは、阿羅国の城だ。
黒い壁の真四角な様は、まるで単なる黒い箱のようにも見える。
窓も必要ないと言わんばかりに、ほんの少ししか確認できない。
他国のどの様式とも違いすぎる様に、不気味さを感じる。
「ここからじゃまだ遠透視も無理だな……蘭紗おまえ、絶対に千里眼使うんじゃないよ?あれは強すぎて、子供だって異変を感じるよ?」
「……まあ、斥候は跳光家がいるんだから、それはせぬよ。我の目的は薫の奪還と阿羅彦だ、この争いを終わらせてやる」
「え……あらひこ??」
僑が鍋を温める手を止め、呆然とする。
「ああ、4000年を生き延びあの城にいるはずだ、波呂には伝えてある。絶対に無理はするなと」
呆然とする僑の手から鍋がずり落ちそうになり、押さえようとしたカジャルが「アチ!」と騒いだ。
「静かにカジャル」
「すまねえ……」
その時、後続部隊が到着し、順番に2人ずつひらひらと音もなく降りてくる。
皆額に汗しているが、それほど疲れを感じさせない。
さすが選ばれただけあると思った。
「陛下、遅れまして申し訳ございません」
「いや、良い、十分な速さだ」
「様子はどうでありましょうか?」
「まったく普通通りの生活をしており、なんら戦闘態勢にはいっておりません」
僑の報告に皆が押し黙った。
我が出陣する前日にすでに斥候ならび潜入部隊を放っていて、それらはもう到着したと連絡が入っている。
彼らは暗殺部隊の跳光家とその傍系で構成されている。
隠密行動に長けた彼ら一族は、わが紗国が誇る少数精鋭部隊だ。
そしてカジャルの申し出により、その跳光家の次男・僑が軍医として我らに同行している。
この次男は跳光家の家業を継がずに医師になったという変わり者だが、医師としての腕もよく、飄々とした性格で皆の信頼を勝ち得ている。
我の飛翔の速さに付いてこれる者はほんの一握りだが、彼もまた、難なくついてくるあたりやはり跳光家だなと思わせる。
下を見れば無限に広がりを見せる辺境の森……阿羅国は辺境の森に囲まれている上、急峻な山々に囲まれた攻めにくい場所にある。
飛翔ができぬ者が出向くことはほぼ不可能だ。
先発した跳光家はその山肌に張り付き、阿羅国の動向を見ているのだが。
先ほどから入る通信では、まるで動きがないという。
……そんなわけあるか
とは思うのだが……かつて同じ学び舎にいた無表情な男の顔を思い出す。
何もかも諦めたような悲しい目をした黒髪の阿羅国の王子。
波羽彦はどのように動いているのか……
「……陛下」
静かに横に付く男を見た。
渦巻く髪を後ろで一つに結び、跳光家独特の黒い装束に身を包んで闇に溶け込んでいる。
男の目は優し気で愛嬌たっぷりだが、その瞳の奥にある狙ったものを決して外さないという狂気のような熱に我は気づく。
「兄から連絡がありました。陛下の方には?」
「動く気配がないと」
「潜入部隊からも同じですよね?何か妙だと思いませんか?一国の王の婚約者を攫っておいて……攻めてくるのはわかるでしょうに、迎え撃つ準備をしないなど、ありえましょうか?」
「……おそらくだが、本当に動きがないというのなら、波羽彦が何らかの策をしておるのかもしれんし、やつらの奥の手があるのかもしれん、とにかく油断はできない」
「陛下……阿羅国王は本当に今だにこちらの味方なのですか?」
我は頷いた。
「では、潜入部隊に接触させても大丈夫でしょうか」
「そうだな……潜入部隊の隊長はそなたの父・波呂だな」
「はい」
跳光家は自らの見た目を景色に同化させ気配を消す技『隠密』を持つが、それは魔術ではなく異能の類で、代々跳光家には良く発現する。
蛇族の王家もその力を持つので、涼鱗もそれを使える。
その異能の集団を持つ紗国はそれ自体が抑止力となり、世界が戦乱の世も乱れずに済んだと伝えられている。
それほどの力だ。
「私が父に伝えます、なんなりと」
跳光には、血族同士だけが使える思念を使っての連絡方法があるのだ。
薫が転移されたその後すぐに隊を作り向かわせたのだ。
もうあちらについて2日目のはずだ。
すでに城に入り、中を探っているはずだ。
「では、薫の無事を確認し、そして波羽彦に接触せよと」
「ハッ」
涼鱗がうんざりしたように蘭紗を見てきた。
「ねえ蘭紗、我らのみ突出して早すぎるよ、少し速度を落とさないとねえ……少数で素早く動く作戦だってのはわかるけどさ、孤立は良くないよ?」
「うむ」
「ちょうどあの山も見えてきたよ、そろそろ辺境の森も終わりだからね」
「ああ、それではあの山の峰付近で後方部隊を待ちつつ、あちらを伺おう」
紗国の軍勢は少人数だ。
飛翔できるもの、その他能力が秀でているもののみが今回選ばれて出陣した。
阿羅彦と対決するのなら……どうせ一対一だ。
大軍を動かす必要な無いのだ。
「陛下、連絡が来ました。現在城に父の部隊5名が潜入しており、城の見取り図を作っているとのことです、すでに薫様がいらっしゃる可能性が高い部屋はめぼしがついているとのことです……索敵したところ、城内にはほぼ衛兵と呼べるようなものはおらず、みな静かに日常を送るだけのようです……」
我は顔をしかめるしかできなかった。
阿羅彦という男が建国してのち、今だ生きているのが本当ならば、4000才という想像を絶する長さを生きる者だ。
どういう思考をしているのか、果てはそれはまだ人間と呼べるのか、我には見当がつかない。
見ると、目的の峰が見えてきた。
我らはあちらから見えないように慎重に死角を狙い、山に降り立つ。
尖った形の針のような木がうっそうと茂り、足元には雪だ。
空気も薄く、気温も低い。
「うへ……寒いな……」
「ここは年中雪が解けないと聞く」
「この山が阻んで阿羅国はどこにも攻められてないんだからねえ、天然の城壁だねまさに」
木々を少し伐採し、阿羅国が見渡せるほどの隙間を作る。
僑は跳光家秘伝の体力と魔力を戻すのに役立つ薬湯を煎じ出した。
それを手伝うカジャルは、鍋にそこらの雪をどさどさ入れている。
「蘭紗……」
「ああ」
我と涼鱗が見やるのは、阿羅国の城だ。
黒い壁の真四角な様は、まるで単なる黒い箱のようにも見える。
窓も必要ないと言わんばかりに、ほんの少ししか確認できない。
他国のどの様式とも違いすぎる様に、不気味さを感じる。
「ここからじゃまだ遠透視も無理だな……蘭紗おまえ、絶対に千里眼使うんじゃないよ?あれは強すぎて、子供だって異変を感じるよ?」
「……まあ、斥候は跳光家がいるんだから、それはせぬよ。我の目的は薫の奪還と阿羅彦だ、この争いを終わらせてやる」
「え……あらひこ??」
僑が鍋を温める手を止め、呆然とする。
「ああ、4000年を生き延びあの城にいるはずだ、波呂には伝えてある。絶対に無理はするなと」
呆然とする僑の手から鍋がずり落ちそうになり、押さえようとしたカジャルが「アチ!」と騒いだ。
「静かにカジャル」
「すまねえ……」
その時、後続部隊が到着し、順番に2人ずつひらひらと音もなく降りてくる。
皆額に汗しているが、それほど疲れを感じさせない。
さすが選ばれただけあると思った。
「陛下、遅れまして申し訳ございません」
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